Cembaloと調律


バロック音楽を愛する人は、誰もがチェンバロを所有したいと思うことでしょうね。
自宅に小型のチェンバロか、スピネットを置いて、友達を呼んで合奏をする・・・、ああ、なんと素敵な事でしょうかね??


私が音楽大学の学生であった頃には、Cembaloという楽器は日本に数台しかない、非常に高価な楽器でした。

そんな、高嶺の花と思われていたチェンバロを購入するという事ですが、こんにちでは、グランドピアノを買う事を想定すると、金銭的にはチェンバロやスピネットを買うという事は、そんなに難しい事では、なくなってきました。
勿論、それだけ一般に普及してきた、ということなのです。

しかし、自分でチェンバロを所有するとなると、そのメンテナンスを自分でしなければなりません。
Cembaloのメンテナンスは、とても大変な事です。



楽器のメンテナンスは、年に何回か、専門のチェンバロの制作の業者にお任せする、としても、チェンバロを所有して、日常的に演奏するためには、必ず、チェンバロの調律を覚えなければならないのですよ。

教室では、Pianoのlessonの一貫として、Cembaloの弾き方やtuningも上級生達には指導しているのだけど、音楽大学のCembalo科で、Cembaloの奏法を学んだとしても、本当のbaroque時代のCembaloの奏法(所謂、period奏法)を学ぶ事も、Cembaloのtuningの仕方、ましてや古典調律の方法を学べる事は無いだろう??

チェンバロでtuningを覚えなければならないのは、Cembaloの弦は、ピアノの弦と違って、ヴァイオリン等の弦楽器と同様に演奏(練習)する前に必ず調律しないと、半日もすると(否、演奏中にですら・・)、温度や湿度の関係で、弦の調律が狂ってしまうのだからだ。





Cembaloを調律をする人が調律に慣れていて、常にpitchを正確に安定させて調律をして、気温(湿度や温度)が一週間ぐらい変化する事がなければ、・・つまり、いつもきちんと調律されているチェンバロだったら、pitchはそんなに狂うものではない。しかし4フィートの弦などの高音域の弦は、かなり弦が細いので、演奏の直前に調律して、演奏会に臨んでも、演奏中には狂ってくるものなのだ。

演奏会ならばいざ知らず、日常の練習や、ちょっとした、mini発表会のために、いちいち調律をするために、Cembaloの専門の調律師を雇うと、出張料や技術料、或いはメンテナンスの料金等々で、常に、云万円は覚悟しなければならない。

それを調律が狂ってしまったから・・、と言って、練習の度に、毎回業者に頼んでいたのでは、いくらなんでも破産してしまう。
という事でこのCembaloのtuningが、Cembaloを買いたい人達のneckになっているのだよ。



又、特に、地方在住の人達で、チェンバロの調律師が近くにいない場合には、tuningだけではなく、チェンバロの弦の張替えぐらいは出来た方がよい。
ピアノと違ってチェンバロの弦は細くて良く切れる。
私の場合には昔から、長く使用している古いチェンバロやスピネットに関しては、買ってから、一度も弦が切れたことが無い。

しかし、新しく作ってもらったばかりの一段のチェンバロはどういうわけか弦が良く切れる。

車でも、新車の間はその車の弱い部分がよく壊れて、何度か修理をしている間に、直ってしまう・・ということがよくあるので、そんなものかも知れない。

多分同じ弦が切れているのではないかと思われるのだが、演奏頻度も多く、あっちこっちへ運搬されるので、Cembaloの不具合だとは言えない。
一度は、オペラシティでの演奏の直前に弦が切れたことがあったが、幾ら場所が近いとは言え、調律師を呼んでの、弦の張替えは流石に間に合わなかったので、切れた弦を外して、もう一列の8フィートで演奏してごまかしてしまった。
Cembaloの場合には、幾ら弦が切れるとは言っても、violin等とは違って、代え弦を常に準備している分けではないのでね。



通常の「一段、2列」のチェンバロの場合には、標準の「8フィートと4フィート」の弦を張るのだが、教室のCembaloの場合には、orchestraやensembleの演奏上の都合で、オーソドックスな8,4フィートではなく、8,8フィートになっているので、そういった対応が出来るのですよ。



真面目に調律の勉強をしようと思うのならば、一番オーソドックな調律法は、5度調律と3度調律でしょうね。
勿論、5度調律といっても、なにも完全5度だけで調律をしていくわけではありません。(そんな事をすると、全く音階にならなくなって和音も弾けなくなってしまいます。)

しかし、3度調律法の場合には基本的には5度は使用しません。

そこの詳しい話は、音楽の雑談の領域を越してしまうので、興味のある人は、専門の調律の本を読んでください。

何れも腕時計を使ってうなりの数を数えるのだが、音と音でうなりの比率が、音毎に異なるので、その唸りの振動を覚えるのは一苦労です。
それでいて二度と同じ調律にはならないというのも変なのだよ。

ドイツの調律師のやり方を見ていると、そこら辺は流石である。(上手だ!という意味ではなく、手馴れている・・という意味だよ。)
最初の基本となるオクターブは丁寧にtuningをするのだが、後の音は、簡単に合わせてしまう。

今は、もっと便利になって、電子tunerが出来て、しかも高性能のtunerになると、古典調律を持っているtunerさえもある。
これは便利だ。

ピアニスト付の調律師ですら専属のピアニストの調律の注文を数字で残しておいて機械で調整してしまう。

九州に居るときその調律師から聞いた話だが、イエルク・デムスが、北九州のホールでsteinwayのPianoを調律する時に、調律師がデムスの要望に応えられなくておろおろしていたら、デムス本人が調律師の道具を取り上げてサッサかと、調律をしてしまったそうだ。

私もドイツでの貧困生活の中でピアノの調律を専門の業者に頼むのは、とても手痛い出費だったので、知り合いの調律師から調律の道具一式を買って自分で調律をした。

1年もしないうちに一列のクラビコードを買ったのでそれからはほぼ、毎日のように調律をした。

クラビコードが舞台に乗ることはないが、実際のチェンバロを使った演奏会では、チェンバロが舞台に置かれている間に、温度でピッチが狂ってしまうので、曲と曲の間の、幕間の時間に、舞台の上で10分ぐらいの時間で、少なくとも2列はチューニングしなければならない。

その調律が待ち時間の中に収まるか、否かは、毎日のチューニングの訓練の結果であろう。

ドイツ留学時代は電子式の、クロマティックのチェンバロ用のチューナーを持たなかったので(・・・というか、そんなデジタルな機器は未だ作られていなかったので)、442や443の音叉を使って、5度調律や3度調律で真面目にチューニングしたのだが、日本に帰ってきて、暫し、時代が下って(日本でも)クロマティックの電子式のチューナーが売り出されるようになると、最初のオクターブだけは、チューナーで合わせてしまうようになってしまった。

いや〜あ、これは便利だ!! 便利だ!!





困ったことに、チェンバロにとって調律は平均率の調律のみではない。
所謂、古典調律と言われる調律法が無数にあるからである。

ルネッサンスのヴァージナル音楽を引き合いに出さなくとも中期バロックや後期バロックですら純正調を要求する音楽は結構ある。
ましてやバロックヴァイオリンの伴奏などとなると、(本当は)一曲ごとにチューニングを変えなければならないものもたくさんある。
バロックヴァイオリンだとスコルダトゥーラだとしても、せいぜい2弦か3弦をチューニングし直すだけであるから、大して時間は掛からない。
しかしチェンバロのチューニングとなると55本や150本以上の弦をチューニングし直すわけだから、そう簡単にはいかない。

古典の調律法には、有名な調律法だけでも、7、8種類はある。
その中でも有名なものは、Werckmeisterの調律法やKirnbergerの調律法で、教室ではよくmeantoneの調律をよく使用する。
上の写真のtunerはその古典の調律法が出来る優れたtunerである。

金槌で6000本を超えるパイプをカンコン叩いてチューニングするオルガンなら、「その場でチューニングするのは最初から不可能だ!」と言えるのだけどチェンバロの場合には、それが全く不可能とも言えないので、始末が悪い。
パイプオルガンの調律には、基本的には3ヶ月ぐらいから半年程は掛かるのだそうだ。

という事で、演奏会慣れしているチェンバロの調律師ならば、早い人なら3列でも20分ぐらいで調律できるかもしれない。

教室のpipeorganのtuning風景です。黒いフェルトの上の部分を動かす事によって、pitchの微調整が出来ます。
この positiv organを作ったのは、教室を作るだいぶ前で、弟子達とsoloのcantataで教会周りをしていた時代の話なので、pitchはperiodの前の時代なので、440cycleです。実際には、441cycleぐらいで調律します。


Cembaloの話に戻って、古典調律を色々と変えて調律するという事なのですが、勿論、これは基準のpitch(Aのpitch)を変えない・・という想定なので、baroque-pitchからmodern-pitchにpitchを変えるのは論外の話である。
無理矢理にmodernのpitchからbaroqueのpitchに変えるとすると、楽器が安定するまでに、最低でも1週間は掛かるのかな??1月ぐらいなのかな??
以前は花園教室と、江古田の教室にspinetが2台ありましたが、江古田の教室のspinetはbaroque-pitchで、花園教室のpitchはmodern-pitchで調律しています。

同じAのpitchの中で、調律法を変えるのは、至極普通の方法である。微調整にしかならないのでね??

演奏会の会場や、発表会の会場で、Cembaloの調律のために与えられている時間が、おおよそ、30分ぐらいの休憩の時間なので、それに合わせて、調律を出来るようにしなければならないのだよな??

付記
Facebookより
2月16日 7:35 

『tuningの話し』
生楽器(※)を演奏する場合には、tuningをしなければならないのだが、結構、そのtuningには色々と問題がある。
まあ、当たり前と言ったらそれまでなのだが、tuningには、結構、上手下手がある。
tuningの上手な人は速くて、tuningした後も、中々pitchも狂わないのだが、下手な人がtuningをする場合には、やたらと時間が掛かるし、また直ぐにpitchが狂ってしまう。
狂わないようにtuningするコツ(・・と言うか、基本と言うか)は簡単なのだよ。
二つのpointを守れば良いだけなのだから・・・!!
その一つはT字hammerをpinに垂直に入れて、垂直に・・真っすぐに回す事だ。(横揺れを絶対にさせないという事なのだよ。)
特に、tuninghammerをpinに入れる時に、「入らないから!」と力で強引に入れる人がいるのだが、pinは4角でhammerは8角なのだから、ちゃんとedgeが合うと、力を入れなくてもストンと入るのだよ。強引に入れるとpinが動いてしまうので音が緩む原因にもなる。
二つ目のpointは、tuningの基本は下がったpitchを上げてpitch合わせをするという事なのだよ。
tuningの下手な人は、急いで合わせようとするからpitchを上げ過ぎてhammerで音を下げてしまう。(つまり上げ下げを繰り返すのは、Violinで言う所の「当たりを取る」・・という作業と同じ事をしている事になるのだ。)
tuningでは完全にpitchを合わせて手をhammerから離すと、ほんの少し緩んでしまって、合わせようとしたpitchから下がってしまう。それを「遊び」という。
だから「遊び」の分だけを高くして緩めるのだが、それはT字で言うと、分度器では1度ぐらいの高さにしかならない。
Violin等の弦楽器の場合も全く同じで、弦楽器のpegの場合にも、pitchを合わせたら、pegを高めにしておいて、手の力を緩めた時にぴったりと音が嵌るようにすると良いのだが、それはpitchを高く上げる事ではなく、手に力を入れてpitchが変わらない範囲で上げ気味にしておいて緩めるという事なのだよ。
Violin等の弦楽器の場合には、pitchが少し高すぎた場合には、弦を2,3度引っ張り上げるだけで、その分ぐらいは下がってしまう。
その方が演奏中の狂いも少ない。
しかし、Pianoの調律師の中でも、音が高くなってしまった場合に、鍵盤を思いっ切り叩いて、pitchを戻す調律師がいて、困ってしまう。そういった調律師には二度と調律はお願いしない。actionは精密機械なのだから、そんな乱暴な事をしてはactionが壊れてしまう。最悪はhammerが折れてしまうだろうしね??しかし、そういった調律師は結構多いのだよ。今までも何人も見受けたよ!!
前回にtuningした音(pitch)と正確に全く同じpitchにtuningが出来るようになると、音は狂わなくなる。同じpointに収めるという事なのだよ。
これが全ての楽器のtuningのコツだ。
「時間が無いので・・」という事で雑にtuningをすると、逆に当たりを亡くしてしまうので、tuningに時間が掛かるようになる。
急がば回れのコトワザのように、丁寧に一回の動作で合わせる事が出来るようになると、楽器は狂わなくなる。
これは時折見受ける事なのだが、Cembaloのtuningをする時に椅子に座ったままにtuningをする人がいる。(他人事として言っているのだけど、私もそうだよな??)しかし、tuninghammerに対して距離が遠いので、tuninghammerの位置が斜めになってしまうのだよ。だから無意識にpinを捏ね回す事になってしまうので、基本的には良くない。
立ったままで、不自然な姿勢でtuningをするので、私はよく腰を痛めてしまうので、届く範囲に限ってなのだが、座ったままでtuningをする事があるのだが、それは良くない・・とは、自覚はしている。
腰に来るのは、職業病なので致し方はない。
立ったままでも、なるべく楽な位置に位置を変えながらtuningをするのだが・・??3列もtuningをするとやはり、腰に来てしまうのだよな??
後はよくやる悪い癖は、音が聴き取れないからと言って、思いっ切り下げてしまう事なのだよ。確かに半音以上もpitchを狂わせるとpitchの違いが分かり易くなるのだが、逆に合わせるのは難しくなってしまう。大きく狂った分けなので、微妙なpitchを合わせるのは逆に難しくなってしまうのだよ。
調律の下手な人達には思いも寄らない変な癖を持っている人達も結構多い。思いついたら、また書くか??アハッ!
またViolinや特にKontrabass等の楽器の場合、或いはCembaloの場合でもよく犯すmissなのだけど、音を鳴らした後で、音が鳴っていないのにtuninghammerを回して弦を切ってしまう人達が多いのだよな。
特にKontrabassの場合には左手でpegを回しながら、右手で、弓でflageoletの音を出しながらtuningをしなければならないのだが、実際にはtuningをしている時には音が出ていない人が多いのだよな??
それで、音を聴きながらの確認が無いので、tuningがいつまでも出来なかったり、弦を切ったりするのだよな??
生楽器に対して電子楽器はpitchが狂う事はないので、tuningをする必要は無いし、tuningをするのに最も大切なkonsonanzも存在しない。
それに対して生楽器では「tuningは逃れられない事なのだよ。
Cembaloが欲しくて仕方がないのだけど、tuningを自分でする自信が無いので、諦めている人達がいるのだが、tuningは色々な楽器を演奏するには必要不可欠の技術である。
間違い易い・・、或いは間違えた慣習でtuningをしている・・といったcaseが多いので、それを楽器別に解説をしていこう。
(※)「生楽器」:・・この聴き慣れない言葉は、現代になって、電子楽器が主流になって来た時代に、acousticな楽器と電子楽器を区別する時に使う音楽家達の符丁のような言葉です。
正式にはacoustic楽器と言うのでしょうが、符丁で生楽器という事が多いようです。
まあ、Classicの人達は使わないpopular世界の業界用語なのですがね??
『Violinの場合』
Violinの場合の問題点と言うか、楽器のtuningの上手下手を云々するよりも前に、日本では間違えたtuningの仕方や楽器の扱い方を指導するViolinの先生がとても多くて、困ってしまいます。
私が、concours等で審査員として演奏会場に行った時に、舞台で誤ったtuningの仕方を平気でする生徒達が多いのには辟易させられてしまった。
この話は何度もFacebookやhomepageに書いている事なので、ここで書くとまたまた同じ話ばかりをしている「Alzheimerの老人の症状ではないのか?」と疑われてしまうので、あまり書きたくはないのだが、homepageのどこに書いたのかを探すのが難しくなってしまったので、少しだけ(「Alzheimerではないよ!!」と認識出来るだけの範囲で)書いて置く事にしました。
楽器製作者や、修理工房の人達が口を揃えて、絶対にやって欲しくない事の中で、大学の教授達、専門家の人達が昔から生徒達の前で普通にやっている悪癖の中で、一番よく見受ける行為の一つは、弓にたっぷりと松脂を塗った後で、弓を振って余分な松脂を落とす事であります。
こうした行為の最悪の場合では、弓が折れてしまう事もある危険な行為なのです。
楽器の修理の人達が弓が折れないように細心の注意を払って、蒸気を当てながら、変な曲がりの癖が付いてしまった弓を、少しづつ弓の曲がりを修整して正しい型に調整をしているのに、弓を木刀のように振り回すのは弓を壊しているにも等しい行為で、言語道断である。
もう一つは、tuningをする時に、pegを上下にクルクルと回す事である。
舞台で生徒達がフニャフニャとpegを回してtuningをしているのをよく見受けるのだが、この行為は折角の「当り」を取る行為なので、やればやる程pitchが合わなくなって来るし、当然、「当たり」が無くなって来るので、演奏途中で音が狂ってしまい易くなって来るのだよ。
でも、このpegを回して「当たり」を取る事は私達もたまに、やる事はあるのだよ。
例えば、Violinを他人に貸してしまって、その人のpitchが違っていた場合、その人とのtuningのpointがズレてしまった時には、不思議な事にtuningのpitchの「当たり」がズレてしまうのだ。
その「当たり」を取る(cancelする)ために、pegを回して「当たり」を取るとかいう事は希にあるのだが、当たりを取ってしまったら、次の当りを楽器に付けるには、また相当な時間が掛かってしまうので、基本的には楽器を他人に貸さないのがproの鉄則である。
フニャフニャとpegを回してtuningをする癖のある人の楽器は、当然tuningは定まらない。
当りを取る作業を毎回しているのだから、それで楽器自体にtuningのpointが出来る分けはないのだからね??
当然、その人達のtuningは下手でやたらと時間が掛かって遅い。
楽器に一番悪い行為をしているのだから当然なのだが、いつまでもこういった日本の音楽界の悪習は無くならないのだよな。
こういった癖のある人の楽器の場合には、最悪の場合にはpegを受ける側(Violin本体のpegの穴が大きく磨り減って来て、木を埋め込んで穴を補修しなければならないようになってしまう。時折、古い楽器ではpegの穴を補修した楽器を見かけるのだが、新しい楽器でも補修が必要なぐらいにtuningの下手な人がいるのだよな??
楽器に当たりが無くなったり、pegが上手く回らなくなった時には、無理をして回すのではなく、楽器を使用しない時間にpegにチョークを塗ると良い。少し塗ると回り易くなって、多く塗ると回りを止める。pegを外してViolin本体のpegの穴と当たる所の部分にpegに塗る分けなので、練習をする前や本番前には出来ないので、普段のメンテの話なのだけど。チョークと言っても絵を描くチョークではないので、気を付けるように。あくまでも楽器屋に置いてあるViolinやCello専用のチョークなので勘違いをしないように・・!!
こういった楽器の扱い方自体を知らない先生に師事をした生徒は可哀そうだよなぁ?
楽器を大切に出来ない指導者から、上手に楽器を弾けるすべを学べる分けはないからなのだよ。
また、未だtuningが出来ない子供達の場合の自宅での練習は、仕方がない事なのだけど、proを目指す音大生ですら、自宅での練習の時にはゾンザイに(いい加減に)tuningをしたままで練習をする学生達が多い事には驚ろかされてしまう。正しいtuningの仕方を知らないので、tuningの時間がやたらと掛かって面倒くさい(或いは好意的に言うと、練習する時間が少なくなってしまうので、そのtuningをする時間が勿体ない、と思っている)のだろうが、その時間を惜しんでしまったら、幾らlessonで正しいpitchでlessonを受けたとしても、家での練習で間違えたpitchで練習をしているのだから、ちゃんとしたpitchが身に付く分けはないのだ。
幾ら時間を掛けて、曲を練習したとしても、間違えたpitchで練習していては、正しいpitchで演奏出来るようになる事はない。
いい加減なpitchで、幾ら練習をしても所詮は無駄な努力に過ぎないのだが、どうしてそんな基本的な事が、日本人の音楽家達には分からないのかね?
ここまでは楽器のtuningに関するお話しだったのだが、個々の音の音程、所謂、個々の音のpitchに関しては、所謂、proの演奏家であっても、或いは音楽大学の教授でさえも、正しい音階を指導をする先生は皆無である。
酷い先生ともなると、「ちゃんと1個1個の音をPianoの音に合わせて音取りをして来なさい!」と生徒に要求をする。
師事をしている先生に、そのように注意されて、「音楽大学の練習室のPianoは滅茶苦茶狂っているので、困ってしまった!」という生徒もいた。
もしもPianoが正しく調律されていたとしても、音程をPianoから取るのは、初歩の段階では許されるとしても、音大生ぐらいのlevelでは完全な誤りの練習になってしまう。
弦楽器を学んでいる人が、よく「なぜviolin(cello)には鍵盤がないのだろう?」と疑問を持つ事があるようだ。
しかし、実際にはguitarやviola da gambaのような楽器にはfretという板が入っているので、ちょうどPianoの鍵盤のようにpitchは固定されている楽器もあるのだよ。
初歩の場合の音を取る難しさは無いのだが、反対に音階上の微妙なpitchを作り出す事は困難になってしまう。
作音楽器の場合には、平均律の楽器と違って、音階のpitchを微妙に調整出来るのが、優れている点である。
つまり作音楽器のpitchを取る難しさは、音階上の微妙なpitchを取る上での利点なのだよ。
いつも言っている事なのだが、fullorchestraでは、色々な楽器と音を合わせなければならないので、たった一つの音を揃えるのすら難しいのだよ。
orchestraのscoreで色々な楽器が色々な調の色々な音が書いてあるのでよく見たら、たった一つの音だったという冗談のような話がある。それは楽譜上で難しい分けではなく、移調楽器の音階のpitchはその楽器の基準となる調で決まる。
つまり、orchestraのscoreでは、単純なCの音を出すのにも、B管の楽器ではB管上の音階の音が出て、B♭調の第二音になるし、F管の場合には、F調の第五音、更にA管の場合には第三音の?の音を出す分けなので、そういった色々な楽器で一つのCの音を出すと、それぞれの調の音階のCの音になるので、たった一つのCの音を合わせる事は難しいのだよ。
同属楽器の場合には、音階を揃えるのは比較的に容易であるので、純正の和音を演奏するのは楽である。
という事なので、教室のorchestraや室内楽では基本的に純正調で指導しているので、Pianoのpitchは平均律なので、参考にする事は出来ないのだ。
そういう事なので、Pianoの代わりに純正調の和音を弾く事が出来るKeyboardを使用して、指導しているのだが、それも、あくまでも和音訓練の導入の参考に過ぎない。
必ず各自が自分自身の耳で、その響きを覚えなければならないのだ。
最終的にはKeyboardのpitchよりも、人間の耳でpitchを決める方がより優れたpitchを産み出す事が出来る。
また、純正調の音階のpitchは調性に支配される事が多い。
導音の音を高めに取る事や、低めの3度のみならず、閉じたoctaveではなく、開かれたoctave(※)という事を指導しているので、Pianoの鍵盤に弦の音を合わせる事は絶対に教室ではさせない。
ましてや、ハ長調のEの音と、ヘ長調のEの音は同じEの音にはならないのだからね??
(※)開かれたoctaveという言葉は私の造語なので、意味が分からないのは当然です。閉じられたoctaveというのは、440のoctave上の音が880で、下の音が220というcycleになっている事を言います。(この話しは平均律や純正調とは関係はありません。octaveの関係の音の話しです。)
それに対して、開かれたoctaveというのは、440のoctave上の音が880よりも少し高めに調律する事を言います。その次のoctave上の音も少し高めになので、蚊取り線香のように、octave上の音が交わらないで開いて行く事を言うのです。
また、あまり知られていない事なのだが、純正の和音の中に出て来る音を集めても、その調の音階の構成音にはならない。
純正の和音の中に出て来る音は、その和音を構成する音に過ぎないのだから、音階を構成する音とは別ものなのだよ。
同属楽器のorchestraや室内楽を指導する先生は、最低限でも、その程度の知識は持つべきなのだが、はてさて???
『Cembaloの場合』
CembaloやPianoの鍵盤楽器も同様で、tuninghammerをpinに対して、垂直に回すのが原則であるのだが、これが意外に出来ない人が多いのだよな?
Pianoの場合には力の関係でL字のtuninghammerしか無いのだが、Cembaloの場合にはもっと必要最低限の微妙な細心の力配りが必要なので、T字のhammerで横揺れを防いで、垂直方向にねじらないように回すのが一番良い。(写真参照:一番上はPiano用のhammer、真ん中がCembalo用のL字と一番下がT字)
これはtuninghammerの回す角度のお話なのだが、tuningの上手下手は、それとは別の、pegやtuninghammerを回す回数で、或程度の上手下手は決まるので、必要最低限の回数でpitchを固定出来るように工夫するのが原則である。
また、そのpitchは原則として一定である方が良い。
会場のpitchが違うためにtuningをし直すのは致し方ないとしても、楽器の温度が一定になってから必要最低限の回数でほんの0.1〜2cycle上で決めると、その分張力で下がってpitchが決まる。
どれぐらいのpitchを上げて決めるのかは、楽器によっても変わるし、どれぐらい・・とは言えないので、そこは慣れかもね??
この二つのpointは非常にtuningの上手下手を決める上で、最も重要な事である。
乱暴な調律師には上手な人はいないのは、乱暴にtuningをすると当りが出ない(付かない)から、直ぐに狂ってしまうからである。
上手な人に調律を委託をすると、丁寧で、なかなか音が狂わない。これもまた真理(当たり前)である。

また、うっかりミスのようなものかも知れないが、Cembaloのtuningをする時に椅子に座ったままにtuningをする人達が多い。
しかし、手を伸ばしてtuninghammerを使うと、本人は垂直に動かしているつもりなのに、実際には斜めに動かしている場合が多いのだよ。
だから、立ってtuningをするだけで、狂い難くなる場合すらあるのだよ。
(基準音のお話)
また、全ての楽器にはその楽器に対しての基準音がある。
一般的にはAの音の標準のpitchは440cycleとされるが、このpitchは、日本の音楽界の場合には、文科省関係(教育関係)のみで使用されている。
つまり、小、中学校や高校のPianoや、教育関係のHall(教育会館等)等が440cycleの古い基準音を使っている場合多い。
・・という事なので、それ以外の基準音を使用する場合には、(・・例えば自宅のPianoを調律師に頼む時)にでも、予め調律師に注意をしておかないと、なにも言わないと440にtuningされてしまう。
それに対して、通常のproのorchestraや音楽大学等では442cycleの演奏会用高度というのを使用している。
(ちなみに、教室でのmodern-pitchは443cycleである。その説明は後述する。)
一般的に日本のorchestraでは、442cycleを演奏会用高度と定めていて、日本の管楽器もorchestra-pitchとしては、442cycleの楽器が売られているのだが、実際のHallのPianoはorchestraよりも高めの443cycleに調律されている所が殆どなのだ。
HallのPianoが443に調律されている場合に、442でViolin等のsoloが演奏すると、気分的に引いた感じになってしまうのだが、Pianoが442に調律されている場合でも、Violin等が443で演奏しても違和感はない。
それはsolo-pitchとして皆が聴くからである。
演奏家に取って・・というか、子供達の場合には特に1cycleでも低いと気持ちが悪くなってしまうので、演奏会高度として教室では443cycleを使用している。
Europaの超有名なorchestraでは444という演奏会高度を使用する所も多い。
『baroque-pitchのお話』
Cembaloの場合には、基本的にbaroque-pitchとmodern-pitchでtuningする。しかし、演奏の都合で、毎回442cycleのmodern-pitchと、435cycle辺りのbaroque-pitchにtuningをし直すのは楽器に取っては、「当たり」が無くなってしまう行為なので、楽器に取っては頗る良くない。
近年でbaroque-pitchを415cycleになって演奏している団体が増えて来たのは、鍵盤自体をslideさせる事が出来る機構を持った楽器が増えて来た事によるのだ。(slide鍵盤と言う)
Aの音を440cycleにtuningしたcembaloのAのkeyを、半音下のGisの音がAのkeyになるように、鍵盤をslideさせる事によって、tuningをし直さなくてもA=415cycleになるようにするために設定した便宜上のpitchに過ぎないのだが、それがbaroqueの音楽を専門に演奏しているbaroque音楽の演奏団体が、415cycleが本当のbaroque-pitchと思い込んでいる人達がいて困ってしまうのだよ。
つまり、baroqueを専門的に演奏している演奏団体のCembaloでは、鍵盤をslideさせる必要は無いので、自由にbaroqueのpitchを決める事が出来るハズなのだが、415cycleにtuningされていたは呆れてしまった。
415cycleはCembalistにとっては、利便性の高いものなのだが、弦楽器の場合には、弦の張りが緩すぎるので、音がベチョベチョしてあまり良くない。
baroque-pitchは国や場所、歴史によって色々なpitchがあるので、定まったpitchと呼ばれるものはない。
合わせる管楽器のpitchによってpitchは決まるので、(弦楽器はpitchは自由に取れるので・・)Europaでのrecorderは、435cycleの楽器が多いのだが、そこらがbaroqueの弦楽器でも響きが良いので、教室でもbaroque-専用のCembaloの場合には435cycleに固定している。それはrecorder等と共演する場合であって、教室でのperiodの演奏では、436〜7辺りでtuningする事が多い。その日の天候にも依るのだよ。
教室の生徒達がorchestraで演奏する時に使用するCembaloは、教室のAのpitchが443cycleなので、当然slide鍵盤で鍵盤を移動した場合のbaroque-pitchは418cycleになる。
『楽器と温度』
基本的にはどの楽器についても言える事なのだが、特に管楽器の場合には、演奏に従って、楽器が温まるとそのpitchが上がって行く。
基本的には小さなpitchの調整は息の当て方でpitchを上げる事が出来るので、半音近くのpitchぐらいまではproの演奏家達は息だけでpitchを調整してしまう。
温度で楽器のpitchが変わって行くのは、勿論、他の弦楽器の場合も、PianoやCembaloの場合も同様である。
『Kontrabassのtuningのお話』
(まえがき)
tuningのhow-toについては、楽器の種類が変わるとtuningの仕方が根本的に変わる。
pipeorganのtuningの場合は、本当のhammerを使ってトンカンと2ヶ月、3ヶ月掛りでtuningの作業をするので、我々素人には及びではない。
Pianoの調律は、私が若い頃のMunchen留学中には、苦学していたので、大家から借りているPianoの調律をproの調律師に頼む事が金銭的に出来なかったので、調律師の人からtuningのsetを買って、自分で調律をしていた。
戦前に調律した事があるだけで、地下の部屋に置きっ放しになっていたPianoなので、3度近く下がっていたので、それを元に戻すには、流石にproの調律師に頼んだのだけど、1,2週間で下がってしまうので、後は調律師に道具を売って貰って、自分で調律したのだよ。本当ならば、調律師に頼みたい所なのだが、仕送りのない苦学生なので、学生が留学中にバイトをすると、強制退去になってしまうのでね!!
帰国してからは、数個の音が狂った場合だけ、自分で調律する事はあっても、時間が勿体無いので、基本的にproの調律師に依託する事にしている。全部の音をtuningしたら、2時間は掛かるのでね??
まあ、自分でPianoをtuningする人は少ないと思われるので、Pianoに関してのtuningの説明は省略する。
またpegが機械式になっているKontrabassやguitar等の楽器は、tuningがより簡単なので、その説明は省いて、弦楽器とCembaloの楽器だけを中心にして、お話を進めよう・・と思ったのだけど、Kontrabassやguitarのようにpegが機械式になっている場合でも、自然式のpegと同じようなmistakeをする人達が多いので、例外として省く事が出来なくなってしまった。
(Kontrabassの場合)
Kontrabassは4弦のKontrabassと5弦のKontrabassがあるが、tuningに関しては、別に真新しい注意事項はない。
4弦のKontrabassでも一番下のeをdにtuningし直すscordaturaがあるので、特に一番下の弦のeの弦は狂い易くなってしまう。
それに一番多いtuningが出来ない例では、Kontrabassの奏者が低音のeの音を聞き取れない事である。
多くのKontrabass奏者が、音を聴き取れないので、電子tunerを使って針でtuningをしているようなのだが、電子tunerの場合には強い音は高く反応して弱い音は低く反応するので、逆に正しくtuningする事は難しい。
低い音が聴き取れないので、flageoletでoctave上の音で音合わせをしている人達が多いのは致し方はないとしても、flageoletのoctaveの特性を知らないままに、tuningをしているcaseが多いのだよな??
flageoletのoctaveは、物理的なoctaveよりも低くなってしまう。
しかし、調律の原則としては、低いoctaveは狭くpitchを取って、高いoctaveは広げて高めにtuningをするので、低いpitch(octave)を高めにtuningをする事は、一見すると良いように思われるのだが、実際の音からすると、eの音はかなり高めになって、殆どsolo-pitchぐらいの高さになってしまう。
それではensembleの低音の音の広がりは作れない。
Kontrabassの人達は低音の音をoctaveの倍音に頼らないで実音で、或いは4度、5度の響きだけで、合わせる訓練が必要なのだよ。
orchestraはKontrabassやCello等の低音楽器上に和音を構成して行くので、土台となるKontrabassのpart(更にKontrabassとCelloのpart)が1個の音に聴こえるorchestraは、全体の和音の響きが素晴らしいものになる。
それがそのorchestraの水準となるのだよな??
orchestraの響きをより完璧なものにするためには、KontrabassとCelloの音が揃うか否かに掛かっているのだよ。(通常のorchestraではKontrabassのpartはゴワゴワとしていて、低弦が不鮮明なのだよ!それでは、orchestra全体の和音は作れない。)


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