あしび
優しい人よ、あなたは馬酔木の花を知っていますか。
まだ愛らしさを忘れぬ おまえ…‥
私がそのにおやかさを1日として、
心に感じなかった事があるだろうか
古人が愛したおまえは、ふと気づかせるときめきを人に与える
そして心に おまえを思い浮べる時、人はその香に酔う
おまえにめぐりあった時、むせる事なく、その蜜やかな香にひたる事が出来るのだ。
昔 私は、高貴な百合と、美しいくちなしを愛した
孤独と絶望の中に うち勝つ強い力を その花々の香は、
人々に与える事が出来るからなのだ。
しかし ・・・・
心に再び ある平静さが宿ると、人は、気づかぬおまえを、愛でるものだ。
おまえは静かにさく、−しかし、その静かさに、気づいた時、
おまえは、古人だけのものなのだろうか
13 Marz. 70
Grafelfing