Locatelli  concerto per violino solo Op.3Nr.5 C Dur V

Locatelli のkadenzについて
Locatelli (ロカテリ)という作曲家は、violinを学ぶ人達にとっても、余り知られた存在ではない。


ピエトロ・アントニオ・ロカテッリ(Pietro Antonio Locatelli, 1695年9月3日 - 1764年3月30日)は、イタリア後期バロック音楽のヴァイオリニストで作曲家であった。

ベルガモのサンタ・アガサで1695年9月4日に洗礼を受けている。

ローマでcorelli(コレルリ)(1653〜1713)に学び、やはりviolinの名手として名高いジョゼッペ・ヴァレンティーニ(1681〜1753)に師事したといわれている。1729年(1733年とも言われているが)にアムステルダムに定住し、その地で1764年3月30日に没した。

ヴァイオリンの名手として、ヴェネツィア、ミュンヘン、ベルリンなどヨーロッパ各地を演奏旅行した後、三方を12世紀につくられた人工湖によって囲まれたイタリアの都市マントヴァの宮廷でも1725年まで活動を続けている。
1729年よりアムステルダムに定住し、多数の教会ソナタ,コンチェルト・グロッソ,バイオリン協奏曲などを作曲した。

Locatelli はヴァイオリン・ソナタやトリオ・ソナタ、合奏協奏曲のほかに、《フルート・ソナタ集》作品2も残した。


その中でも、最も重要な出版作品は、おそらく《ヴァイオリンの技芸Arte del violino 》作品3(1733年出版)と、12のヴァイオリン協奏曲であろう。
保守的なローマ楽派の教育を受けたにもかかわらず、革新的なヴェネツィア楽派のスタイルを取り入れ、時代の先端を行く優れた「協奏曲」(合奏協奏曲)や「室内楽曲」(ヴァイオリン・ソナタやフルートソナタ)などを残している。
 彼の演奏は、とくにダブルストッピィング(重音奏法:複数の音を同時に奏する演奏技法)や特殊な調弦法を用いて、甘美なカンタービレ(歌うようにの意)の中に高度な演奏技巧を盛り込んでおり、後のパガニーニに大きな影響を与えた。
Locatelli のコンチェルトの特徴は、長大なカデンツァとして書かれている、大変な高度な技巧を必要とするカプリッチョの楽章が挿入されている。
高度な演奏技術を要するとともに音楽性豊かなカプリッチョは,古典派以後の近代バイオリン協奏曲のカデンツァを予感させるものである。

しかし、この楽章をカデンツと呼ぶには、余りにも長大で、あたかもviolinの練習曲のようなので、現在、このカプリチョの楽章は、コンチェルトから切り離して、演奏するのが通例となっている。

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