芦塚音楽研究所についての簡単なご説明
            
 芦塚音楽教室(芦塚児童室内合奏団)は芦塚音楽研究室付属音楽教室という、とても長い名称がついております。
研究所の業務については、長年(10年、20年と)私達の教室に在籍されている御父兄の方にとっても、御存知の方は少ないのではないかと思われます。

付属音楽教室各教室

芦塚音楽研究室

芦塚音楽教室江古田事務所⇒現在は移転して「芦塚音楽研究所椎名町事務所」になっています。

芦塚児童室内合奏団

音人の会

 音楽研究室の研究内容は音楽と教育のみに留まらず多種多様に渡ります。研究テーマの分類だけでも数ページに渡ります。(発表会の関係の方には必要ないので省きます。)教室に関係がある分野では


*各種音楽教材研究(指導マニュアル作成)
*音楽教材開発と出版
*心理分析法
*運営企画システム開発
*生涯教育カリキュラム
*マスター・コースカリキュラム
*インストラクター・カリキュラム
*マネージ・メント・カリキュラム



これらは教室関係の研究の一部にすぎませんし、それぞれがさらに細分化されてゆきます。なぜここでこのような話をするのか−といいますと、私達の教室にもよく有名音楽大学の卒業生や、もうすでに何年か現場で音楽を指導しておられる方から、「芦塚音楽教室に就職したい。」といって、訪問されたりお電話を頂いたりするからなのです。
 教育関係の大学を卒業された方はお分かりいただけると思いますが、教育の現場でいかに指導すべきか−とか、子供達を如何に導けばよいのか−とかいう、実践的な教育を大学で学ぶことは出来ません。音楽大学で「いかにバイエルを指導すべきか。」という教材研究はありません。ピアノやヴァイオリンの初期指導の授業はないのです。そのため、音大を卒業された方は、熱心であればあるはど指導に悩むことになります。

 その問題に関して大手企業は、講師を採用するにあたり、各企業独自のカリキュラムを作り、(音大卒であるか否かを問わず)採用基準となるグレード試験を作り、その合格者に対し用の可能性を与えるのです。(可能性という意味は教員採用試験と同様に、即採用する−という意味ではありません。空席があれば採用もあり得る−ということなのです。)運よく採用されますと、次に研修があります。これは各企業で研修の期間や内容に大幅に違いが見受けられます。採用後すぐに教室で生徒指専にあたりながら、研修できる所と、半年〜一年の無給の研修をへて初めて現場で指導できる所など各種各様です。
 以前は一般の教育機関(私立の大学など)から私達の研究所に先生を送って欲しいと言うお話がよくありました。但し、一般から私達の音楽教室に求めてこられる人材は、子供達を指導する先生ではありません。高校の音楽の先生を指導する先生であったり、一般の音楽教室の先生を指導する先生です。通常は「指導講師」という呼び方をします。 
 指導講師はただ単に音楽の先生方(講師)に、教材の技術的指導の仕方を説明するだけではく、そこの教室での問題児の指導方法や、発表会の運営管理、教室経営の良きアドイザーでもなくてはなりません。教育に関してのベテランであるだけではなく、教室に係わる全てに熟達していなければなりません。しかしながら指導講師と呼ばれる人は、各企業に数名いるのみで、その人達としても、各企業内でのベテランであり、一般の音楽教育社会のニーズに必要な知識と情報を持っているかどうかは分かりません。それに対して大阪の芦塚メトード研究会が私達に求めている「インストラクター」とは音楽教育のみにとどまらない、「家庭から学校、各種一般企業をふくむ社会に至たる教育」というテーマであり、その難しい要求に答えるには、かなり広範域な分野のカリキュラムをマスターしなければなりません。
 私達の芦塚音楽研究室でインストラクターの勉強をする為には、約三年の研修があります。
第一段階では、芦塚メトードの理論を学びます。私達のレッスンを見学し、疑問な箇所を質問し、各先生に教えを受けます。基本的に言えば、音楽技術指導、教材研究、生徒指導、環境作成、レッスンの構成などの各教科を学ぶ分けです。またワープロなどで教室の年間の流れを把握し、アシスタントとして発表会までの進行や、オーケストラ練習の進行を学びながら、集団指導の実際に触れていきます。
第二段階では、各先生の監督の下に数名の生徒を実際に指導していきます。ワープロでの作業も、発表会企画やオーケストラ練習企画などより実践的なものを作成出来るようになっています。事務所で或る程度の事務を任されます。それらの研修が終わると、初めて一人前として、教室で指導に携わることができます。そしてアシスタントの生徒を指導しながら、さらに技術を磨いていきます。音楽と教育には終わりがないからです。


 私達の教室外の方から、いろんな質問を受けます。「どうしてそんなに沢山の曲を暗譜することが出来るのかしら。」「どうしてあんな難しい曲が弾けるようになるのかしら。」「バイエルをどう指導すればよいのかしら。」−質問は多種多様に渡ります。大阪の芦塚メトード研究会では、私がソフトをあまりにも簡単に洩らしすぎる、と難色を示しています。
 でも教育に悩む先生や、挫折しそうな子供達の為に、「少しでも力になれたら。」と、夏冬の休みの時には各地方で公開講座をしたり、電話などの質問にも時間の許す限りお答えするようにしております。
 レッスンの見学もレッスンの邪魔にならないよう、事前に連絡を頂き、当方の指定の時間と折り合えば御希望に添うよう致しております。ただ一言先生方に申し上げるとすれば、「子供達が音楽を楽しく学べるようにするためには、先生は大変な勉強を強いられる。」ということです。
                  

              
芦塚音楽研究室 
          芦塚陽二 


この文章は15年近くも前に書かれたものです。多分今の若い人たちにはとてもヘビーな文章として思われるかもしれません。15年もたつと、子供達の意識も父兄、或いは音楽を学ぶ学生達の教育に対する意識もすっかり変わってしまいました。「情操教育とは何」とか、「ピアノを教える目的とは?」というような簡単な質問どころではなく、現在ではバイト感覚で子供を指導する先生方が数多く見受けられるようになってきました。人生其の物がライト感覚になってきたようです。情熱を持って一生懸命に教育に携わろうと思うと若者からは「かったるい。」と言われます。でも私達はいつまでも、真摯に誠実に情熱を傾けて子供達と向き合っていきたい、と思っております。不器用でもいい。ひたむきに生きること、それが私達の願いです。