Heinrich Ignaz Franz von Biber passacaglia




2006年7月25日東京江古田珈琲館「ぶな」でのbaroque音楽のコンサートです。


Biber Rosary SonateNo.1 
Rameau harpsichord suiteよりめんどり、
Biber passacaglia、Biber 8sonateよりNo.6 
16分からの演奏です。

baroqueviolin斉藤純子、spinet大場美紀、監修芦塚陽二


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Lebenslauf(略歴)

作品分析



plug inの不具合について
記載された譜例に、音声が聞けるように、参考までにパソコンの音源を挿入しています。
それぞれの譜例の下の黒い画面の下のスイッチを操作すると音源が聞けます。
また、plug-inの不具合で、パソコンによっては、Pageを開くと、音源が同時に再生されてしまう場合がありますが、その場合には、ご面倒ですが、Page画面上のスイッチで音を停止させてください。
スイッチを探すのが面倒くさい場合には、パソコンのタスクバーの音声を1分05秒程ミュートにして、それからミュートを解除してください。

Lebenslauf(略歴)

Heinrich Ignaz Franz von Biber(1644年8月12日(洗礼日) ? 1704年5月3日)、は、ボヘミア(オーストリア)のワーテンベルグの作曲家、バイオリン奏者でした。
Biberはワーテンベルグの小さな町で生まれて、ボヘミアの皇太子であり、司教でもあったカール・リヒテンシュタインのもとを勝手に去って行く迄の間、グラーツとKrom??i?の町で働きました。そして、ボヘミアを去った後も、Salzburgで多くの作品を発表しました。

Biberは、器楽作曲家として、音楽の歴史の中で・・・、特にviolinのための作品が、後世の作曲家やヴァイオリニスト達に、非常に多くの影響を与えた、優れた作曲家でした。

Biberの使用した独自のviolinのtuning法であるscordaturaの技法や、彼の名作である無伴奏のpassacagliaは、後世の多くの作曲家達に影響を与え、それ以降の作曲家達の模範として、色々な多くの歴史的な作曲家達に模倣されました。

Biberは、ワーテンベルグ(ボヘミア(現在、Stra?(チェコ共和国))で生まれた事は分かっているのですが、残念ながら、今現在も、 彼の幼少の時代については、分かってはいません。

Biberは、活躍した青年期から壮年期の時代でも、結構な、社会的な評価を受けています。

1676年には、Biberは作品を発表し始めました。
そして、1677年のレオポルドI皇帝が、1679年のザルツブルグの代理管弦楽団の指揮者に任命されました。
Biberは、1672年5月30日に、ビショップの住居で結婚生活を送っていました。
妻マリア・ワイスはザルツブルグの商人のペーター・ワイスの娘でした。
彼らは11人の子供に恵まれて、そして、そのうちの4人は、生き残りました。
息子、アントン・ハインリッヒ(1679?1742)とカール・ハインリッヒ(1681?1749)はザルツブルグ法廷のバイオリン奏者として勤めて、そして、後者は1743年に管弦楽団の指揮者を努めました。
また、娘、マリア(1674として生まれる)とアンナ・マグダレナ(1677?1742)も、サンタクララ、MeranoとNonnbergアビーの修道女になりました。
アンナ・マグダレナはアルト歌手とバイオリン奏者として、1727年にクワイアの責任者と管弦楽団を努めました

1692年11月3日、Biberは、大司教ヨハンによってスチュワードに任命されました。
Biberは1704年にザルツブルグで死にました、そして、彼の墓はPetersfriedhofにあります

17世紀の後半部には、Biberは、ドレスデンの学校で、ヨーロッパで最高で最も有力なバイオリンの指導者の1人として認められていました。
彼の死後は、彼の優れたバイオリン奏法の技法は、学校に伝承される事はありませんでした。
当時、violinの世界を席巻していたcorelliと彼の支持者達によって、corelliのstyleになってしまいました。

Biberの一連の作品の中でも、最もすばらしいscordaturaの作品は、2つのZyklusがあります。

1676のRosary Sonate、ロザリオの祈りソナタ(Mysterien Sonaten、ローゼンクランツ-Sonaten)、銅板の挿絵入りのsonateです。

Biberは、violinというgenreの音楽だけに貢献した作曲家ではありません。
多くのviolinの作曲家が、violinのためだけに作曲をするのに対して、Biberは教会音楽のための合唱の作品も多数作曲しています。
レクイエム、モテット、その他の多くの教会音楽、所謂、polyphonyの合唱曲を作りましたが、そのorchestra伴奏の楽器編成はかなり大規模な編成で、Biberはこのorchestrationに関しても、非常に優れた技術を持っていました。

53声部のための「ザルツブルク大聖堂のミサ」は、ザルツブルク大司教職の創設1100年を記念する1682年にザルツブルグ大聖堂で演奏されたもの。別の作曲家に依るものとされていたが、近年の研究でビーバーが作曲したことがほぼ確定された。
曲は、16声部の合唱と37声部の器楽からなり、編成は、1群(8声部合唱)、2群(弦楽器)、3群(フルート、オーボエ、クラリネット)、4群(コルネット、トロンボーン)、5群(8声部合唱)、6群(弦楽器)、オルガン、通奏低音に加えて、4本のトランペットとティンパニを二組離れて配置するという大規模なもの。53段で書かれたスコア(キリエ楽章)をWeb上でも見る事もできます。
ビーバーの多声部教会作品の中では、昨年Webラジオでも放送されていたMissa Alleluja(36声部)あたりの方が、合唱とソリストアンサンブルの対比の妙など、もう少しメリハリのきいた音楽造りがされており、聴いていても少し面白いと思いました。演奏はK.ユングへーネル指揮のウィーン・ホーフブルクカペルレ・コーラルスコラでした。


(青の文字の文章は、Wikipediaより抜粋です。)

(緑の文字の文章は、Orfeoの音楽三昧 よりコピペしました。とても、素晴らしい文章で、手直しする必要がなかったので、そのままのコピペです。)


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作品分析

下の譜例は、Biberのpassacagliaの最初の部分です。

baroque時代のVariationには、そのthemaがBasのpartである曲が多いのです。
la foliaや、chaconne、或いは、このpassacagliaも、そうした繰り返される低音(Bas)の上に、装飾的なVariationを展開させて行きます。

ちなみに、有名なPachelbelのcanonも、同じBasの動きの上に、melodieの追いかけっこであるcanonが展開して行きます。


上記の譜例のように、最初の2小節が、passacagliaのthema、つまり、ground(通奏低音のthema)になります。

この曲は、(多分)、117小節もある壮大な曲なのですが、themaの2小節のground上に、Variationが2小節単位に64回も展開されて行きます。




この曲の演奏のstyleで、もっとも多いのは、このpassacagliaのthemaを最初から最後迄、同じtempoで淡々と演奏する弾き方でしょうかね。

BachのOrgan曲の多くの曲も、そういったcantus firmusを淡々と演奏するstyleで、演奏される事が多いので、この曲の場合にも、そういう風に演奏する事には、やぶさかではありません。

しかし、このBiberのpassacagliaには、同じtempoで弾き通すには、何箇所か、落とし穴があります。
figurationを32分音符で弾き捲るpassageや、逆に、しっとりと歌い込まないといけないゆっくりとしたpassageです。

勿論、そこの部分だけをtempoを変えて演奏して、直ぐに元のtempoに戻して弾いている女流ヴァイオリニストがいたりするのですが、演奏上、唐突な感は否めません。

また、幾ら、同じtempoで最初から最後迄、そのtempoをkeepして演奏したかった、としても、どのVariationも、無理矢理に最初のtempoのままで、演奏するのは、無理があります。

それよりも、問題のVariationの前後のVariationで、tempoの整合を図った方がよりベッサーであると、思われます。


Biber自身の、この曲の作曲上の意図は、明白です。
一つの段落が終わる度に、単音のthemaに戻って、次の段落を初めているからです。

楽譜を見れば明白なのですが、小節で書くとすれば、Biberは、このpassacagliaを、次のような演奏上の括り(段落)で作曲しています。

第一部(1〜18小節迄)
thema+8Variation(a1〜a8)=18小節

最初のthemaのintroは、groundのthemaを提示するので、非常に遅めに、Graveぐらいのtempo(8分音符=60ぐらい:付点四分音符=20というtempoは、Metronomでは計測出来ませんから、8beatにして、Metronom=60前後で演奏すると良いと思います。)で、遅めに、非常に静かに(静的に)演奏します。
VariationTは、そのtempoよりも、ほんの少しtempoをupして演奏し、Variation毎に、少しずつtempo upをして行きます。

(勿論、tempoを保持して演奏するstyleで演奏する人は、そのままのtempoをkeepします。でも、同じtempoで演奏しているように見える人達でも、Metronomで計測すると、各Variation毎に、非常に細かくtempoが変わってします。同じtempoに聞こえるのは、tempoを微妙に変化させるからなのです。それが歴然と分かる演奏と、殆ど分からない演奏の違いなのです。パソコンのように、機械的にMetronomで演奏していくと、それは、逆に、とてもeccentricに聞こえます。)

第二部(19〜)
thema+9Variation(b1〜b9)=20小節
ここまでが前半部として演奏します。

19小節目で第二部の開始のthemaが再現されます。
当然、元のtempoに戻すのですが、最初のthemaよりも、ほんの少し早めに演奏します。
二部のVariationは、最初のVariationのtempoよりも、かなり早めのtempoで開始します。

第三部
thema+16Variation(c1〜c16)=34小節
32分音符と64分音符なので、かなり遅いtempoで演奏する事になります。C7からC16まで、tempoを少しずつ早くして、tempoを元のtempoに戻して行来ます。

第三部の開始は、そのままtempoupしたい所ですが、Biber先生は、それ程甘くはありません。
そのままのtempoでupしていくと、次の32分音符や、64分音符のpassageが演奏不能になってしまいます。
Variation C5に書いてあるadagioですが、これは、前のtempoを維持すれば、そのままadagioのtempoになるからです。
それは蛇足です。
この校訂者はC7でAllegroとtempoを指定していますが、これもC16迄のtempoupを考慮して演奏しなければなりません。

第四部
thema+13Variation(d1〜d13)=28小節
第四部も、第三部と同じような構成です。themaがゆっくりと、fugaのように、多声部書法の「入り」で、3声部の3和音の純正の響きを演奏します。

第四部から、tempoを遅いtempoに戻して、恰も再現部のように、ゆっくりから始め直します。事実上の大きな括りの第二部です。
重音の純正の響きを活かして、少しずつ始めて行きます。
D10から、少しずつtempoupして、第五部の開始のthemaは結構早めに開始します。

ここまでが緩徐楽章の中間部になります。
とは言っても、同じtempoで演奏する分けではないので、情緒的、感情的に揺らして演奏します。
演奏家の腕の見せ所のpassageですね。


第五部
thema+13Variation(e1〜e13)=28小節+Coda(thema+1小節=3小節)
Eのthemaからは、E9に向かって一気に盛り上げて行きます。
しかし、このままでは、曲が余りにも短すぎるので、E10からは、徐々にtempoを落として、静かに収めて行きます。
purcellのchaconneのg mollのダイイング・アウエイですな。

これはあくまで小節の譜割りなので、実際の演奏時間の計算はまた別です。

ゆっくりとしたpassageでは、当然演奏時間が掛かるので、演奏時間のbalanceは良い状態になるはずです。

これで、見かけ上は、大きな三部構成のように、見えるはずです。



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演奏上の問題点

Biberのpassacagliaにも、幾つかの問題点を見出す事が出来ます。
譜例:Variation4の小節に収まりきらない音符
下の譜例は、themaから第五Variation迄のpassageです。

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