五弦のviolin-viola

Violinが製作されるようになった時代には、いろいろな弦楽器が存在した。五弦の楽器、六弦の楽器、ヴィオラ・ダ・モーレのように、共鳴弦を持つもの、調弦も5度調弦やギターやビオラ・ダ・ガンバのように4度調弦をするもの、スコルダトゥーラ(scordatura)と言って、曲ごとに、或いは曲の途中ででも、その都度、調弦を変えるビーバーの曲のようなものも数多くあった。

その中でも、極限られた数本しか残っていないのだが、ビオラの音域から、ヴァイオリンの音域までをカバーする、五弦のviolin−violaと呼ばれる楽器があった。勿論、楽器本体の大きさがviolaの大きさであったらE線はviolaの音がするし、少し小ぶりで、violinの大きさに近ければ、C線はviolinのような深みに欠ける音になるはずである。つまり、いずれにしても、どっちつかずなのだ。しかし、子供達のオケ練習の指導をしていると、violinに対して注意をしながら、直ぐにviolaの注意をしなければならない時が往々にしてある。そのつど、楽器を持ち替えるのは大変な時間のロスになる。チェロやコントラバスの場合のように、楽器が大きければ仕方がないのだが、violaとviolinになると持ち替える暇を惜しんで、持っている楽器のままに、ついつい読み替えて演奏してしまう。

 

と言う事で、利便性と言う事で、楽器店に無理を言って、特注で五弦のviolin−violaを製作してもらった。

私個人としては、芦塚音楽研究所の演奏団体であるFiori musicali baroque ensembleのための古楽器としてbaroque仕様として注文したかったのだが、利用頻度と言う事では、毎週のオケ練習にはかなわない。仕方なくモダン仕様で作らざるを得なかった。演奏するにしても楽器的にはbaroque仕様の方が、駒が広い、ネックが短い、等と言う演奏上の利点がいろいろと多いのだが、あくまで利用頻度の問題であるから、それは致し方ない。