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このpassageの場合には例外的に3拍目にaccentがついているのだが、それでも、日本的な3拍目を押さえつけるようなrhythmはよくない。あくまでも、左手は軽やかなワルツのBのpatternのrhythmを刻まなければならない。(実際上は、この部分は、ワルツと言うよりも、Chopinのもっとも得意とする分野であるMazurkaのrhythmである。だからワルツと言うよりも、rhythm的に厳しい鋭い複付点のようなrhythmで弾かなければならない。)

譜例:

 

 

 後書

この教材研究の中では、基本的な注意事項、姿勢について、体重移動の仕方、打鍵の位置やtouchの色々な奏法、手首や腕の用い方、等々の基本的な指導上の留意点については述べていない。

それ等の基礎的なメトードは、私達の教室では、このlevelの曲を弾ける様になるまでには、当然マスター出来ていなければならない必須の課題であるからである。

またfingeringに関しても、芦塚メトードにおけるデジタル型記憶法から、自動的に正しいfingeringが導き出されるので、この曲を弾きこなせる段階の生徒であれば、通常は自分でつけられるはづなので、あえてここでは触れないことにする。

 

 

 

 



[1] そういった楽曲に対してのシンプルな構造式へのこだわりは、どのような大作曲家であろうと、どのような優れた大曲であろうと、否、それが大曲であればあるほど、優れた作品であるための必要条件であるといえよう。ちなみにこのchopinのh mollのワルツも16小節の単位で、A,A’,B,A”,C,C’、A’、B,A“‘と言うすこぶる単純な形式によって作曲されているのだが、一見情緒的で感情的に変化しているように見られるpassageも、この構造式に基づいて、比較対照して見てみると、繰り返されるA,A’,A”,A”’には歴然とした整合性が見受けられる。