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参考までに:留学希望者へのadvice のblog

2013/10/14 (月) 14:38
inb様
今日は!
初めまして
申し訳ありませんが、あなたからのメールが
(こんばんは。
私は某音楽大学に通う1年ピアノ科のinbと申します。
たまたま開いた芦塚先生の「音楽大学で」・・・・)

迄しか入っていませんでした。
前回のアドレスの方に後の文章をもう一度送ってください。
よろしく。
ちなみにこのメールは私の自宅のパソコンから返信していますので、事務所のアドレスの方によろしく・・・

2013/10/14 (月) 14:38
FW: 芦塚先生の論文を読みました。
こっちに返事来てるよ
Sent: Monday, October 14, 2013 11:21 PM
Subject: 芦塚先生の論文を読みました。
こんばんは。
私は某音楽大学に通う1年ピアノ科のinbと申します。
昨夜の誤メールは申し訳ございません。
たまたま検索で引っかかった音楽大学では何を学ぶのかという論文を読ませて頂きました。
これと言って何かを述べるわけではないのですが、私も最近考えている事です。
私は将来を考えずにただ自分のピアノを試すということと音楽を学びたいという理由で音楽大学に入学しました。
周りの友人達もほとんど考えていません。
考えたとしてもピアノの先生か音楽教師です。
さらに一生懸命勉強を頑張る人と半ば諦めて遊んでばかりの人と分かれてしまっています。
練習しない人もいます。
そのような現状で私は大学に入ってから幻滅する事が多いです。
私は前々から留学志望があったため、今年の夏にフランスで開催された音楽講習会に参加しました。
そこでは物凄く刺激を受け、今すぐにでもフランスに留学したいと思いました。
というのも、音楽教育そのもの、考え方が日本と違います。
音ももちろん違います。
あれこれ言ってしまうとキリがないのですが、このまま日本で勉強しても時間とお金の無駄に思いました。
日本は狭いです。
大学を辞めてフランスに行くことも考えていますが、そこから先はどうするのかとなると何も言えません。
でもそれは日本の音大にいても同じ事だと思います。
今学びたい、今しかできない事は今やる、という考え方なので将来を考えずに今まで生きています。
大学を辞める事に対して親が許さないと思います。
しかし、決意を決めたら本気で説得し、納得するまで諦めない気でいます。
このような考えを芦塚先生はどのように思うでしょうか。
私の考えは甘いでしょうか。

2013/10/15 (火) 15:01
FW: 芦塚先生の論文を読みました。
このような考えを芦塚先生はどのように思うでしょうか。
私の考えは甘いでしょうか。
⇒先ず、結論からお話をすると、あなたの考え方は、非常に正論で、あなたがヨーロッパの講習で感じたように、フランスだけではなく、イタリア人もドイツ人も、否、アメリカ人ですら、音楽を学ぶ人の大半は、あなたと同じように音楽を捉えて考えているはずです。
私が周りの人達の医者にしたいという希望を断ち切って、自分で音楽大学に進学したのは音楽家になるためでした。私の場合には父親は養父なので、音楽に進学するのなら、学費も入学金も生活費も一切面倒見ない・・という条件でした。
それでも、音楽に進みたかったのですよ。
実際に憧れの音楽大学に入学して、華やかな音楽大学で美し女性達の中で、勉強するようになって、「私はこのままではこの音楽大学を卒業した後に、仕事として音楽をやっていけるだろうか?」と悩んでしまいました。
それを私の事を可愛がってくれていた当時の先生達に率直にぶつけてみました。
答えは、
「君も音楽大学で指導するようになったら、分かるけれど、生徒が100人いたとして、トップの10人に合わせて授業をすると、残りの90人がおちこぼれてしまうよね!じゃあ、箸にも棒にも掛からない、したの10人を助けるために授業をすると、上の90人が退屈してしまって、授業にならなくなる。だから、真ん中の80人に併せて授業をするのだよ。上の10人は見捨てても、自分で勉強をして行くものだ!下の10人は私がどんなに助けようとしても、結局は男遊びで落ちこぼれて行くのだよ。」「だから、真ん中の80人なのだよ。」
音楽大学に入ったばかりの私でしたが、その先生の説得に妙に納得しました。
図書館員をしながら、作曲をしていた別の先生は、私に
「音楽大学は君に勉強する時間をくれたのだよ!君が憧れる作曲家がいるでしょう?その人を訪ねて弟子入りをして、折角の4年間を有意義に使えば良いのだよ。」とアドバイスをしてくださいました。

歴代の先生達は、皆あなたと同じ事で悩んでいたのですよ。
だって、音楽大学に(落第しない程度に)行っているだけで、親はお金を出してくれるでしょう?
後、3年は、無償で勉強するチャンスを与えられている、こんな有利な取引は社会に出てしまったら二度とは、ないと思いますよ。

あなたの疑問は実に、現実的でとても良い疑問です。
総括してお答えすると、逆に混乱を招いてしまうので、その一つ一つのあなたの疑問の文章に対して、文中で、その答えを丸付き数字で、質問は、紫色で、回答は茶色でお話して行きます。

Sent: Monday, October 14, 2013 11:21 PM
Subject: 芦塚先生の論文を読みました。
こんばんは。
私は某音楽大学に通う1年ピアノ科のinbと申します。
たまたま検索で引っかかった音楽大学では何を学ぶのかという論文を読ませて頂きました。
これと言って何かを述べるわけではないのですが、私も最近考えている事です。
①私は(a)将来を考えずにただ自分のピアノを試すということと音楽を学びたいという理由で音楽大学に入学しました。
周りの友人達もほとんど考えていません。
考えたとしてもピアノの先生か音楽教師です。
さらに一生懸命勉強を頑張る人と半ば諦めて遊んでばかりの人と分かれてしまっています。
練習しない人もいます。
そのような現状で私は大学に入ってから(b)幻滅する事が多いです。

⇒この文章は、混乱をしないように、aとbに分けて、お話をします。
先ず、aについてのお話ですが、音楽大学に進学する人の大半が、親の希望で音楽をやっているという事です。それは、趣味で音楽を勉強している一般の子供達と、音楽大学に進学しようとする生徒達とはconceptが全く違います。
だから、殆どの人達の目的は音楽大学に入る事であって、それが親の夢だからです。・・で、音楽大学を卒業したらどうするの??って??それを考えている人は居ないと思いますよ。
音楽大学で一生懸命勉強している人達も、将来何かをしたい・・という事ではなく、今迄一生懸命勉強して来たから、そのまま勉強しているだけなのですよ。
皆、音楽を学んで来た人達は演奏活動で生活をして行きたいという夢はあるはずです。しかし、そこは、潜在意識とは違うのですよ。
我々、男性の場合には、先ず、大学を卒業すると同時に自活をしなければなりません。

つまり、女性達の音楽大学を卒業したというステータスとしての音楽の勉強と、生活のための音楽では、音楽に対する姿勢や意識が全く違うのです。そこらは、ヨーロッパやアメリカの女の子達も自立心が日本人とは基本的に違います。

②私は前々から留学志望があったため、今年の夏にフランスで開催された音楽講習会に参加しました。
そこでは物凄く刺激を受け、今すぐにでもフランスに留学したいと思いました。
というのも、音楽教育そのもの、考え方が日本と違います。
音ももちろん違います。
あれこれ言ってしまうとキリがないのですが、このまま日本で勉強しても時間とお金の無駄に思いました。
日本は狭いです。
大学を辞めてフランスに行くことも考えていますが、そこから先はどうするのか・・となると何も言えません。
⇒殆どの人達が、留学する事を夢見て、留学をしたら、日本に帰ってから音楽家としての生活が待っているように思っています。
しかし、それは単なる妄想にしか過ぎません。
日本人と外国人の一番大きな違いは、学生達の自立心の違いです。自分で生きて行こうとする姿勢が先ず違います。それを、良く知った上で、留学をするのなら、「どこの国で、何を勉強したいから行く」という確固たる信念がないと、日本の音楽学校の延長線上になってしまうのですよ。
私がヨーロッパに留学をする時に、文部省に提出した、留学の目的の欄には、自分の音を作るという事と、オーケストレーションをマスターする、という具体的な理由が論文として書かれていて、それが、ミュンヒェンの教授達からsymbthyを受けたようです。
あなたはとても大切な事をお気づきです。
フランスに行くことも考えていますが、そこから先はどうするのか・・となると何も言えません。という一節です。
殆の留学生がそこで行き詰まっているようですよね。

③dでもそれは日本の音大にいても同じ事だと思います。
e今学びたい、今しかできない事は今やる、という考え方なのでf将来を考えずに今まで生きています。
⇒とても良い事にお気づきですね。
それはあなたが音楽をライフワークとして、これからもやって行きたいと願うのなら、そこの所をキチンと煮詰めていく事が、あなたの将来を作って、自分の勉強や努力を自信を持って、やって行く事が出来るようになる、とても大切な要素になります。
dは、あなたが今のままでヨーロッパに留学したとしても、先輩諸氏を始めとして皆と同じ、日本の音楽大学の延長線上になってしまって、「留学をした。」というステータスだけになってしまうのですよ。
eの
「今学びたい、今しかできない事は今やる」、という考え方は、とても素晴らしいと思うのですが、それが、「将来を考えずに今まで生きています。」という考え方に繋がって行くのは、私には理解出来ません。
つまり、あなたの考え方は逆なのですよ。
今の勉強は今だけの勉強で、あなたが気にしているのは、ホンの5年10年の話ですよね。
でも、留学から帰って来て、それからどうするのか?は、あなたの一生の話なのですよね。あなたが80歳迄生きたら、後少なく見積もっても、60年間の将来があるのですよ。
そこで、どんな生活をしたいのかな??
一生、音楽を演奏して、たくさんの人達に聞いて貰いたいのかな??
それとも、あなたが夢見ている将来は、もっと別の行き方があるのかな??
今の勉強は、長い長いあなたの人生をどういう風に送りたいから・・という事で、勉強する内容が決まるのではないですか?

④大学を辞める事に対して親が許さないと思います。
しかし、決意を決めたら本気で説得し、納得するまで諦めない気でいます。
⇒これは話が前後してしまいましたが、私の先輩の先生のアドバイスで、大学の無駄な時間は音楽の勉強のための有益な時間にはなりませんか??
あなたが大学をやめて、音楽の勉強をやり直しをするとすると、親がお金を出してくれますか?
もし、自分が勉強をするために、音楽に関係のないバイトでも始めたら、それこそ道を誤って一生を棒に振ってしまう事にもなり兼ねませんよね。
ちゃんとした音楽の勉強をするのなら、学校の勉強は簡単にチョイチョイと出来る程度のlevelになると思いますよ。
先程の説明ともダブってしまいますが、留学をするにしても、「留学して何を勉強したいのか?」という事が、具体的に他人に説明出来なければ、親でなくても、誰と話しても、説得力はないですよね。
それに、今、一生懸命に勉強を続けるにしても、先ず、自分が将来どういう生活をして行きたいのか、という事が具体的に見えないと、「今、何を、勉強しなければならないのか」 は、分からないと思いますがね。

2013/10/17 (木) 14:59
そういえば
先日の音大1年生のメールは返事しました?

2013/10/17 (木) 16:46
Re: FW: 芦塚先生の論文を読みました。
inbです。
御返事ありがとうございます。
芦塚先生から返信して頂いてから自分で自分を分析するように考えてみました。
留学する目的についてです。
私はフランスに行って、フランスで音楽を学びたい!と思ったわけではなく、フランスで教えてくださった先生に学びたいのです。
何を学びたいのかというと、芦塚先生も言ってらっしゃいましたが、音です。
フランスでの先生の音は凄く綺麗な音でした。ピアノでこんな音が出るのかと思ったほどでした。
私も、先生のような綺麗な音を出したいと思いました。
だからその先生に習いたいのです。
その先生のいる音楽院、出願時期、受験時期、学費等は把握しております。
その先生も入学したら生徒としてみてあげると言ってらっしゃいます。
ですが、やはり気になる事は帰ってきてからどうするのかということになってしまいます。
それについて、帰国してから考えるという答えではやはり駄目なのでしょうか。
もちろん、私としては生涯音楽に関わりたいと思っています。
その関わり方はまだ見つけていません。
4年間親にお金を出して貰って音楽を学べる事は本当に貴重だと思います。
4年間学び終えたとしても私はそれから留学することになります。
日本で4年間学ぶ事は無駄ではないとは思うのですが、学びたい事が違います。
これでは留学する理由にならないでしょうか?
これ以上の理由は見つけることができません。

2013/10/18 (金) 11:43
RE: FW: 芦塚先生の論文を読みました。
①芦塚先生から返信して頂いてから自分で自分を分析するように考えてみました。

⇒それは素晴らしい事です。
人から言われて・・ではなく、自分が望んだように人生を歩む事が、日本人に一番欠けている事だからです。これは世界の若者達が日本人の若者に抱く共通した疑問です。
そこには、失敗したくない、無駄な事をしたくないという現代の若者気質があります。
ただ、伝統に従うという事は、そこには、確かに、経験則による確実性や安心感があります。一般的な人生を歩むのならば、目上の人の意見に従うのが良いと思います。しかし、それは伝統の流れの中のその人が希望する人生がある場合に限られているのです。
日本の音楽界が求めるものと聴衆が望むものでは、大きなギャップがあるのです。
だから、日本の音楽を学ぶ若者達の考える夢のコース・・・、音楽大学に入学して卒業して、コンクールに入賞して、留学して、帰国して、帰国後には演奏会を1,2度、やって、それで、あわよくば、大学に戻って・・・という事が、日本人の音楽を学ぶ人達の夢見ている将来の図式でしょうかね。
一般大学の若者達も大して変わりません。一流の大学に入って、一流の企業に就職して・・という、型に嵌められたままの考え方で、一流の会社に入るという事は、その分競争社会の真っ只中に身を置くという意味であることは理解しようとはしません。
その為に、ニートや引き籠もり、もっと最悪の場合には自殺とか・・・・・
勿論、その夢が叶う人達は極限られた人達であり、・・・・でも、私の経験では、必ずしも、優秀な人達ではありません。
演奏家を目指す人達は、大学には残れないからなのです。大学で生徒を指導する事と、演奏活動は両立しないという前提があるからなのです。
これが現実です。
夢を見て、先輩諸氏、皆が失敗するのは、現実の社会に対しての知識が無いからです。
ありもしないアカデミズムが作り上げた虚構の世界で夢を見ているに過ぎないのです。
あなたが、自分の将来が見えないのも、そこの所に、現実があるから、ではないでしょうかね??

③ですが、やはり気になる事は(a)帰ってきてからどうするのか??・・・ということになってしまいます。
それについて、(b)帰国してから考えるという答えではやはり駄目なのでしょうか。
もちろん、(c)私としては生涯音楽に関わりたいと思っています。
その関わり方はまだ見つけていません。
⇒(a)帰ってきてからどうするのか??…という質問に答えられる人は少ないと思います。
つまり、音楽大学の学生達や先生達には、音楽の社会で、活動した経験が非常に少ない、或いは、全く経験がない・・から、日本の一般の音楽界の現状を何も知らないからです。
音楽大学の先生達は社会常識がない、というのは、音楽界の一般常識なのですからね。
私の場合には、日本に帰って来た時に、NHK等のマスコミで作曲家として働くか、大学に残るか、音楽の演奏活動の世界に行くのかと2年程悩んで就職活動をしました。
N饗の連中の音楽活動の手伝いをして、金を稼いでいた時もあります。
しかし、日本の音楽界は私とはソリが合わなかったのですよね。私は一般人なので、音楽家の人間性にはついていけません。その点、ヨーロッパの音楽界はとても住みやすかったのですが、日本人である事をやめて、骨をヨーロッパに埋めるという決心がつかなかったのが、私の師匠であるGenzmer先生からの、ミュンヘンの音楽大学を二つ程紹介して貰ったのですが、「日本に帰りたい」という事で、お断りしました。
同様に、田中千香士さんや徳永さん達が音楽界で活躍出来るように色々と面倒を見て貰ったのですが、性格的に私には日本の音楽界に私の求める世界はない、という事で、失礼をしてしまいました。決定的だったのは、若い有名な外国人のピアニストの演奏会があった時に、カザルスホールの入口で演奏を聞きに来る若い美しい女性達の華やかに着飾った衣装や、私が音楽大学に入学した時に感じた違和感と、結構同じような感じで、「この世界は私の居る所ではない」と感じて、それまでに頼まれて勤めていた大学も5年で辞める事にしました。
結論的に言うと、私が住みたくなるような、音楽界は日本には、なかったのですよ。

(b)の帰国してから考える・・・というのは、私達にとっては、論外です。
通常、正しいメトードで一生懸命勉強したとしても、ある程度、その努力の成果がお客さまに、伝わるようになるのには、10年以上の歳月を必要とするのですよ。私は1分、1秒足りとも無駄にはしたくないのですよ。勉強というのは、方向性が出て初めて出来るものなのです。帰国してから考えた音楽の姿が自分が勉強して来たものと違ったら、新しく勉強し直せばよい、と思うのは間違いです。自分の過去の勉強の積み上げさえも、無駄になってしまうのです。
私が昔々、留学していた頃に、芸大の院を卒業して、武蔵野の講師で就職していた女性が、どうしてもピアニストになりたい・・という事で、講師の職を辞して、ミュンヒェンに留学して、憧れの教授に師事したのは良いのですが、lessonで先生の前でピアノを弾き終わると、教授が
「とても素晴らし演奏でした。」と言って、お互いに顔を見合わせて終わる・・・というレッスンが半年間も続いてしまって、 「ノイローゼになりそうだから助けて! ! 」と、私にヘルプを求めてきました。それで、彼女がレッスンに持っていっている曲を弾いてもらって、彼女が先生に質問する所や、演奏上の問題点等々 、レッスンで彼女が教授に質問をする個所とその演奏を細かく指示しました。それから私がまだミュンヘンに滞在していた半年間、彼女のレッスンを続けました。それで彼女はヨーロッパのレッスンのスタイルが分かってきて、それから4年間教授のもとでレッスンを続けることができました。もちろん日本に帰っては、コンサートプロとして演奏活動を続けています。勿論、今はお歳なので、演奏活動を続けているか否かは定かではありませんがね??
私の最初の弟子である金子賢治くんがドイツに留学した時も、彼の前後のレッスン時間は日本人の女の子達でした。桐朋や芸大の院の卒業生なので、演奏自体はとても上手だそうで、レッスンが終わると教授の「とても上手でした」で、 10分でレッスンが終わってしまい、その前後のレッスンが賢治君のレッスン時間に上乗せされてしまって、レッスンに持っていくための曲の練習が間に合わないと嘆いていました。その解決の私のアドバイスの話はホームページに書いてあるのでいつかそちらの方を読んでください。どこに書いたのかは定かでないので、アドレスを貼付ける事が今はできません。

私達の教室から留学をしたたくさんの生徒達は、最初からヨーロッパ風のレッスンの受け方をしていますので、寧ろ私のレスの仕方によく似ていると、そちらの方を驚いています。

あなたが今未だ若いから、そう考えたとしても、失った時間は絶対に戻らないのです。我々にはそれだけの事が言えるだけのタイムリミットはないしね。
(c) 私としては生涯音楽に関わりたいと思っています。
その関わり方はまだ見つけていません。
⇒一般大学生と音大生の1番大きな違いは、勉強自体に生活がかかっていないという事なのです。
私たちの教室に、講師募集を見ていらした院生が、 「音楽大学とは専門の職業学校では無いのですか? 」という私の問いに、 「音楽の勉強が職業のための勉強だとは初めて聞きました! 」と、本当に驚いていました。今まで1度もそういう風に思ったことはなかったそうです。

私が生徒達を指導していても、音楽に対する意識の落差は、男性と女性の落差でもあります。女性は、結婚をして子育てをするので、経済的に自立する必要は無いのです。男性の場合には、もし結婚したいと望むのならば、女性の分まで稼がなければなりません。音楽を勉強するにしても、それで経済的に自活…自立できなければ音楽を続けていくことはできないからです。
残念ながら、日本では、ピアノやバイオリニストとして自活できている人は1人もいません。
外国の超有名な演奏家でCDをたくさん出し、ほとんど毎日を演奏会にあけくれるような演奏家でも、生徒を教えるということをないがしろにする演奏家はいません。
私の生徒達、弟子たちもマスコミや華やかなコンサートなどで活躍してる人も結構いますが、私の弟子たちに対しは、基本的に、宮崎駿のような当世風の有名な曲や、当然ポピュラー音楽の演奏を禁止しています。また、外部からのそういった演奏の依頼はお断りしています。
という事で、私達の対外出演はclassicオンリーなのですがそれでも演奏の依頼は結構あります。 1度演奏に行くと、必ずリピートがかかるので、演奏場所には不足しないのです。

ましてや、バロック楽器によるバロック音楽の演奏は、かなりマニアックになるので、日本では観客が全く一人も集まらない事の方が一般的です。
バロック音楽のCDをたくさん出している外国の著名なバロック演奏家に4年間師事をして、日本に帰ってきたバロックバイオリンの奏者の人が、
「4年も経つのに1度も演奏会を開いていない! 」 「バロック楽器ではお客さんが1人も入らない! 」と、言っていたので、 「私たちのバロック演奏で
は、ポスターを作る前に客席が満タンになってしまうんですよ! 」 「演奏する場所がなければ、私たちとコラボしますか? 」とお誘いをしたのだけども、それから返事はありませんでした。
その人も、今は何処かの音大の先生になれて、落ち着いているようですが… 。

昔々 、私もコルトーや全盛時代のケンプの連続演奏を聴きに行くことができました。
本当にこれがsteinwayの楽器かと驚くような、ピアノから色とりどりの花がこぼれてくるような、そういった音でびっくりしたものです。
但し、そういった一流の大家の音楽は、音の美しさだけでは無いのです。
理論に裏打ちされた説得力のある構成、微妙で繊細な細やかなリズム、そういったものは、歌舞伎の演技にも見受けられます。

通常、レッスンを受けるときには、その曲のレッスンを受けるわけですが、それでは100曲、200曲のレパートリーを自分で作ることはできません。
また先生に、100曲、 200曲のレッスンを受ける事は、現実的に不可能でしょう。つまり、音楽を時代様式として勉強して行かない限り、口伝でない本当の自分の音楽を見つけることは不可能です。

日本人は自分の感情のままにピアノを弾きまくることをピアノの勉強であるような錯覚に陥って人が多いのです。

私がこの年になってもまだ音楽の勉強の半分にも至っていないように、勉強することは無数にあります。本当に、貪欲に、寸暇を惜しんで、それでも時間が足りません! !

本当に勉強する気になればなるほど、勉強することは山のように増えていきます。
文書がとてつもなく長くなってしまいましたが、最後に私の格言を1つ

「99%の意識と1%の努力」