次の譜例は、U楽章の冒頭のPageである。
edition Petersのscore上に、汚い字で書き込んで申し訳ないのですが、パソコンで楽譜上に文章を一々入力するのは、超めんどくさいので、お許し頂きたい。
丸付き数字で演奏上の注意pointと、その解説をします。
先ず最初に0番として、楽譜の左上に書かれている記号の説明をします。
この記号は、指揮の振りを表す記号です。
最初のstrichはもっと長いstrichで書き表すと、1拍目を表します。
振りは空振りの2拍目からなので、間違わないように、(私の場合には)振った先に数字の2を書いておきます。これは、私だけの、書き込みです。そして2拍目の裏の、einsatzの動きを書き表わします。
曲の入りは2拍目の裏の8分音符なので、本来ならば、2拍目の裏の指揮のeinsatzと同じtimingで入らなければならないのですが、@のようなimageを表現するために、更に、2拍目の裏で入って来ています。
くるくると巻いた線で書かれている2拍目の裏の指示記号は私独自の指揮棒の流れを表す記号です。指揮棒をどの方向から入れて来るか??というのを、効率的に書き表すために、この書き方を採用しました。
@当然、入りの8分音符は、auftaktの8分音符なので、たっぷりと弾くのが普通なのですが、この曲の入りの場合には、媚びるようimageで、演奏したいので、少し、詰めたように、お願いをするような感じで演奏する。
言い換えると、実際の8分音符の長さよりも、少し短めの16分音符のように、「せっつく」(せき立てる)ように(拍を縮めて)演奏するとよいと思います。
また、その次の注意事項は、4回繰り返されるのだが、4回とも全く同じように演奏するのは、kindereiで阿呆っぽい。
最初の「せっつき」が一番強く短めで、後は、その「せっつき」が、少しづつ弱くなり、少しづつ長めになって来ます。
困った事に・・・・
この「せっつき」の意味は、日本で使われている音楽用語、(業界の演奏用語)では、「喰い付く」という単語が一番近いのだが、それに対応するイタリア語(音楽用語)が見当たらない。
音楽用語のagitato( せきこんで、激しく)では、その音ではなく、その音楽、或いはmelodieの全てに掛かってしまうので、意味が違って来る。ドイツ語のeilend
(急いで、せきこんで)も、全く同じで、その音のみを短く詰める意味ではない。
音楽用語のattaccaは、「休みなく、次の楽章に入る」、という意味なのだが、それによく似た単語で、英語のattackは攻撃という意味になるので、少し近いのだが、その単語の語源となったイタリア語の「attaccare」という単語は、「一緒にする」「くっ付ける」という意味合いしかないので、音符を詰めて、「せっつき」というような演奏を表す意味にはならない。
寧ろ、stretto(せき込んで、緊迫して)の方が、imageには近いようだが、その音楽用語も音符一つに掛かる訳ではなく、phrase全体に掛かってくるから、困りものである。
要するに、この音楽表現を表す音楽用語は見当たらないのだよ。
proの楽譜では、「→」で詰めるという表現を書き表す事が多い。何処から何処までのから迄がハッキリと書き表せるからだ。しかし、逆に、locker(だんだん緩める)という意味を表すのに左矢を使う「←」のは、線の開始の場所で、その線の意味が瞬間に判断出来ないので、逆に記号としては、分りにくい!!
Bの1stの8分音符は、対照的に思いっきりとbreitに(sostenutoに)歌い込んで、次のmelodieを幅広いビブラートで演奏する。
B’の8分音符も同様に、思いっ切りとbreitに弾き込んで、後のmelodieを充分に歌うように演奏しなければならない。
AのcelloとKontrabassの8分音符は、余韻の充分にある豊かな音で演奏しなければならない。
8beatの音が(rhythmが)止まらないで、音の間の余韻が聞こえるように、空中bowを使って演奏する。
froschから、しっかりと豊かな音で、unterehalfteを弾いたら、その余韻がなくならないように、弓を空中で滑らせてspitze迄持って行き、反対にoberehalfteをしっかりと豊かな音で弾いて、その余韻を残りの半分の弓で演奏する。
空中bowの時に、弓速が変わらないように、bowを一定の速度に気を付けて演奏する。
C最初の8小節で、質問と答えが終了する。
次にCからは全く新しいmelodieの始まりである。
8小節目2拍目の表の音を丁寧に(しかし、少し短めに抜きで)終わらせて、Cからsubitoで、全く新しいphraseを始めなければならない。
CからDへのcrescendoは、僅か1小節の間に、Pから一気にforte迄、crescendoをしなければならない。
同様に、celloのpartも3つの音でcrescendoをして、次の小節をsubitoでPで軽やかにleggieroで演奏します。
そのPianoからforteへのcrescendoが生きて来ると、その次のsubitoPで、軽やかなspitzeの3連音のleggieroが自然に活きて来ます。
Spitzeでfingerbowを使用して、軽やかにtoriolen(3連音)を演奏する。肘や手首の弾き止めではなく、fingerbowによるSpitzeの指の弾き止めでなければならないのです。
これも3点支持の弓の持ち方では、不可能です。手が届かないからです。
score2段目の最後の小節の2ndviolinは、確実に終止させて、膨らましをする。
焦らないように、終止の音を丁寧に演奏してから、次のauftaktに入らなければならない。tempoの中に収めようとして、終止の音が不自然になってしまう演奏をよく見受ける。
一番下の段では、1st2小節目の2拍目の裏のauftaktを充分にsostenutoさせるように気を付ける。
vibratoも大きくbreit(幅広い)な感じで演奏する。4小節目の頭の音が短くならないように、充分に終わりの音のimageを出して、実際の音の長さよりも短めに演奏しなければならないので、乱暴にaccentが付かないように注意しなければならない。
1拍目の裏の音はsubitoでフォルテで直ぐに抜きで演奏する。2拍目の裏から次のAの頭に掛けての2個の音は軽やかにSpitzeのstaccatoで弾かなければならない。
Aの後の1拍目の裏からは、Spitzeの弾き止めで軽やかに、cello(Kontrabass)と、同じimageで演奏する。violinとcello(kb)が、デコボコしないように、音量、音質のimageを注意する。
最初の1Page目だけでも、これだけの注意事項がある。
てぇ〜へんだ!!てぇ〜へんだ!!
次の譜例は、4Page目のCembaloのpartです。
1×、2×は(Motivの1回目と2回目という意味です。)持って行くような感じ、所謂、strettoな感じ(畳み掛けるような)で演奏します。でも、3×(3回目)のMotivは、収めになるので、少しbreitな感じ(幅広い)で演奏します。
先程の解説で説明した、「喰い付き」ではなく、通常のstretto(accelerando)で良いでしょう。