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その大学の卒業生達が、小、中学校に就職して、その教育の現場で抱えた問題点の多くを、相談されて、やむなく、芦塚先生は、先生方のアドバイザーをしていたことがあります。
或時に、小、中学生の情緒表現に関する語彙の豊富さを調べる事を思いついて、その小学校で、アンケートを実施したことがありました。
結果は押して知るべし・・・ということでしょうか?
否、小学生に限った話ではなく、大学生に於いても似たようなものでしょうか?
その結果は、惨憺たるものでした。
デジタル世代では、本を読まなくなったことに、その起因を求める人が多いようですね。
「情緒は言葉によって育成される。」というのが芦塚先生の持論です。
芦塚先生は指導者によく、「言葉で言い表せない感情は、人に伝えることが出来ない。」と言われます。
「音楽」という言葉を介しない情緒表現を専門とする音楽家にとって、一見矛盾した言葉のように思えます。
しかしながら、言葉で伝えきらないような曖昧な情緒が、果して音楽の演奏だけで伝えられるでしょうか?
どのように繊細で微妙な情緒であったとしてもそれを的確に把握し表現しなければ、たくさんの聴衆に伝えていくことは出来ないのです。
オーケストラの練習や楽器のレッスンなどの間に、芦塚先生は子供達が使用する言葉としては、かなり難しい言葉でも、構わないで、早い時期に子供達に言葉の正しい使い方や微妙な言い回しを折に触れて指導されています。
それが、子供達の情緒表現や、本当の意味での、心の豊かさを求める教育として・・・です。