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11月10日 21:36
後で、文章を読み返していたら、仲間内の業界用語とでもいうのか、一般的ではない言葉を使っていたので、反省しています。
右側の写真は、私が子供達に調の五度圏の説明をしている光景です。
VivaldiやLocatelli 等のbaroqueの作曲家達は、作曲の速記法として、soloのpartの転調を即興で演奏するために、よく五度圏(quintcycle)を使用します。五度圏に入ると次の調は自ずから決定しますので、Sequenzの最初だけを指定すると後は、何回繰り返すか?だけの話になります。

先ほどの、楽屋内の言葉というのは「開いた調律」という言葉ですが、「開いた調律」というのは、香りの開いたwineの事でも、未だ未成熟の閉じたwineの事でもありません。


次の図は、よく見慣れた五度圏の図ですよね。

この表を説明する時には、よく時計を使って説明します。
時計の12時をCとして、1時がG、2時がD、反対に11時がFとする時計の事を「5度圏の時計」と言います。
この図の特徴ですが、Cから始まって5度づつ上行(時計回り)しても、下行(左回り)しても、12回目には元のCに戻って来る事が出来ます。
ですから、こういった、元のCに戻って来るパターンを「閉じた五度圏」といいます。



平均律の場合には、1時、2時と進んで、12時でまたCに戻って来ますが、しかし、純正律の場合には、♭から来たCと、#から来たCでは、同じ音にはなりません。

丁度、蚊取り線香のように、同じCでも別のCになります。つまりトルネード型のように、同じCの位置でも、場所が変わって行くのです。
それを交わる事がないので、「開いた調律」と言います。

平均律のように、回り回って同じ音に戻って来る場合、つまり、円の中にキチンと収まる場合は、その円が閉じた状態なので、「閉じた調律」と言います。

つまり、上記の分割鍵盤のお話に戻って、分割鍵盤がそれこそ12個全部のキーに分割された鍵盤も作られた事がありました。


しかし、meantoneの場合、Aを基準に調律をした場合、その皺寄せになってしまって、聴くに堪えない音になる音はG#とA♭、
D#とE♭の二つの音に還元する事が出来ます。

後の音は、何とか聴くに耐え得る純正の響きに近い音を出す事が出来ます。

ということで、Handelを始めとして、多くの作曲家達のCembaloで、分割鍵盤を持つ、Cembaloも、その2個のキーだけを分割して、鍵盤が込み入って来るのを防いでました。



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