椅子の高さとペダル
小学生のときの椅子の高さは、小学4,5年生位になってかろうじて、ペダルに足がつくようになったときに、椅子の高さとペダルに乗せた足が一直線となったりするので、ピアノの近くにイスを引き寄せたり、逆におもいきりイスを下げたりして、せっかく今まで培って来た正しい前傾姿勢が、一気に崩れてしまうことがままあります。ピアノの技術が身に付いて、ロマン派などの曲や近現代の曲を数多く弾くようになると、ペダル操作を指導しなければならないことは必然となります。体が成長しきらないうちに、ペダル操作などを指導しなければならないことはいろいろな問題を数多く含んでおりますが致し方のないことだと思います。
足台を使っても椅子が近すぎたり、やっとペダルに足が届くようになって、そのために椅子がピアノに近すぎると、上体が反り返るだけではなく、肱や肩の位置が逆転します。
肱が体の後ろに行った例です。
ヨージーの法則より(芦塚陽二の箴言集)
「間違えた出発点から出発すると、どのように努力をしたとしても、目的地に辿り着く事は無い。」
@ 鍵盤と肱の位置を正しい位置に合わせる。⇒(足がぶらぶらになる。⇒不安になる。集中力が身に付かない。)
A A:⇒椅子を深く座る。)⇒鍵盤に手が届かない。⇒ピアノに対して、椅子が近すぎる。⇒両手の独立が阻害され、touchが押すtouchになってしまう。(体が後ろに反ってしまう。)⇒etc.
一つを直せば、次に別の欠点が出てくると言った、こういった悪循環を際限なく繰り返していきます。
これは、本の一例にしか過ぎませんが、たった一つのことがたくさんの間違いを惹き起こしていく典型的な例でしょう。
0x年y月z日 MM先生クラスのvideolessonに対してのlecture mail
Tkちゃんの姿勢自体はそんなに悪くは無いのですが、やはり上体が少し後ろに反って、弾いていますね。椅子の位置ですが、先週も注意したばかりなのですが、椅子を離して、ちょこんと腰を掛けるような感じで、少しだけ前傾姿勢気味になるように気をつけてあげてください。椅子が近すぎるのですから、後ろからいくら背中を押して前傾させようと思ってもそれは無理ですよ。
ギュスタフ レオンハルド先生の日本での公開lessonでのお話し
これは古典楽器センターのチェンバロの製作者である佐藤さん本人から直接、聞いた話ですが、私達のmethodeがピアノの座り方にかなりの神経を使っているということを、教室の発表会や先生方の演奏会をお手伝いしていただいて、実際に見られていた佐藤さんが、私に話してくれました。
ギュスタフ レオンハルドが日本で芸大生Cembalo科の院生達の公開レッスンをしたときに、佐藤さんも通訳兼調律師として公開講座に付き合ったそうです。
しかし、その10回以上行なわれた公開レッスンは、1回目から、一度も、そして一人もCembaloを弾かせる事は無く、椅子の座り方を延々と指導するだけで、やがてCembalo科の学生達は、『何で、私達が椅子の座り方なんかを、習わなければならないの?!』とその不満は、頂点に達していたそうです。
佐藤さんは、ギュスタフ レオンハルドが言っている「正しい椅子の座り方やチェンバロを弾くときの正しい姿勢がなければ、正しいチェンバロの音が出せることはない。」と言う主張は、全く同感で、一生懸命椅子の座り方を指導しているギュスタフ レオンハルドに対して、彼の言っている事を理解しようとしない芸大生たちの不満を冷ややかに、私に語っていました。「日本人は全く・・・」と・・・。
チェンバロの弾き方と同様に、ピアノを学習する一番初期の段階で、正しい椅子の高さを身に付けないと、いくら練習しても、正しいピアノのタッチ(正しいピアノの音)を作る事が、出来なくなってしまいます。