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さて、左の楽譜を見て、どんな曲で、どんな音がするのか、分かりますか??
分からなければ、そりゃあ、作曲家や指揮者にはなれませんよね。
これが数百ページあるのですよ。
だって、1時間分のスコアでしょう??
レコードを聞くのと同じ速度で読み取れなければ、曲の解釈は出来ないよね。

そうそう、だから、作曲科や指揮科の学生は、非常に優れた音感が必要だよね。
それこそ、絶対音感どころではない、半音の4分の1、10分の1を聞き分ける事が出来なければ、そりゃあ、私達の教室の先生になる事すら出来ないよ。
当たり前の話でしょう??
オペラやミサ曲の場合には、1曲が4時間掛かる曲はザラなのですからね。それを読みこなす能力がないとね。

「そりゃあ、無理だ!!」って??

どんな職業を選ぶとしても、プロはプロなのですよ。
だから、プロになるには、本当に努力をして、そこに(その水準に)たどり着かなければならない。
当然、それなりの覚悟は必要なのですよ。
でも、本当に努力を惜しまなければ、到達で来ない夢はありません。

先ず、何を勉強したら、その道に入る事が出来るか??
後は、その人が、その道を歩んで行く事を望むか否かです。

少し、私の場合のお話をしましょう。
個人の勉強の量は、その人がどれだけの本を読んだか、と言う事によります。
勿論、ピアノ科の学生なら、ピアノの曲の楽譜の量によります。
殆どの音楽大学のピアノ科を卒業した学生であっても、室内楽の楽譜や、ピアノコンチェルトのスコアー(ピアノ譜ではなく、スコアーですよ。)を持っている人は少ないでしょうね。持っていたとしても、せいぜい1,2冊かな??

それじゃあ、勉強したとは言えないよね!!


私の勉強した、楽譜ですよ。
左側の本は一番左手のスコアーが、リヒャルト・シトラウスのオペラのスコアーです。勿論、スコアーなので、1冊4,5万はします。
真ん中のペーターの楽譜は、カール オルフのオーケストラのスコアーです。
一番右の楽譜は、メシアンのトゥーランガリア・シンフォニーという曲で、これ1冊でも10万ぐらいの値段がします。
全て指揮用のスコアーです。
この写真の楽譜だけでも、既に30万ぐらいの金額にはなりますよ。

私はこういった蔵書(スコアー類)を数千冊所有しています。

但し、これらの楽譜は、非常に貴重な書物なので、安くても、1冊数万円はします。
だから、当然、私の所有しているスコアー全体では、勿論、数千万円の単位になります。
楽譜だけで、安い家なら、1軒、2軒は建つのじゃないかな???

でも、家を買うか、楽譜を買うか、そこは、プロとしての価値観の問題です。
家が欲しいのか、楽譜が欲しいのかですよ。
家が欲しければ、プロではなく、一般人になる他はないですよね。
そこの価値観があるか否かで、音楽家になれるかどうかが別れるのは、当たり前の話でしょう??

勿論、この楽譜のお話は、教室に貸出している楽譜以外の私の勉強のための蔵書である楽譜のお話ですよ。
だから、その他に、教室には、室内楽やVivaldi、等のスコアーの他に、ピアノやviolinの曲、チェロの曲、リコーダーの曲等、数千冊の本をかしています。
勿論、その殆どが洋書なので、一冊は万の単位の楽譜も多いのですよ。
とても、たかが巷の音楽教室で買える金額ではありませんよね。
この写真は、事務所が椎名町にお引越しする以前の江古田教室に、私の教室に貸出している楽譜をホームページの為に撮影した時の写真です。

この楽譜の山は、私が教室に貸出している楽譜の一部です。

つまり、これだけでも、まだ教室に貸出している楽譜の一部に過ぎないのですよ。

それでも、ピアノの楽譜だけではなく、室内楽やオーケストラの譜面もあります。

写真の左手には、レコード棚があって、6、7千枚のレコードが収納されています。私が作った手作りのレコード収納棚です。

ピアノやヴァイオリンやチェロの楽譜で、常時生徒達が演奏する曲に関しては、各教室に、本棚一つ分ずつは置いてあります。

それ等の楽譜も、私の個人的な所有になります。
何故教室で買わないの??・・・って??

それは、楽譜や楽器の所有が、会社としては、法務局には認められないからですよ。

つまり、楽譜や楽器は、先生個人の勉強に必要ではあっても、あくまで個人の必要な物であって、それ自体が会社として利潤を生み出すものではないからです。

私達の教室は、法人であって、個人の教室ではありません。
つまり、法律的には、教室はあくまでも会社であって、学校や個人の教室ではないのですからね。
だから、利潤に関係しないものは、会社としては、その所有を認められてはいないのですよ。
だから、楽譜や教室の楽器は、個人の所有でなければならないのです。
だから、「音楽教室をやると、私の稼ぎが無くなってしまう。」と私が嘆いているのですよ。

チョッと横道に話がそれてしまったけれど、昔々、小学校で4年生と5年生の子供達を集めて、「将来、何になりたいの?」と尋ねた事があります。
これはホームページの教育論文に詳しく載せているけれど、当然、女の子達の3分の1か、4分の1が、目を輝かせながら「お嫁さん!」と答えました。
そこで、私が、「え〜っ、?!君達は将来主婦になりたいんだ!!」と言うと、その女の子達全員が、「いや〜だ!主婦は嫌!」って答えました。だから、「だって、『お嫁さんになりたい!』って言う事は、主婦になるって、言う事でしょう??」と言うと、やっぱり、「お嫁さんには、なりたいけど、主婦は嫌だ!」って言っていました。「だから、『君達の夢は何?』と聞かれて、『クリスマス』って答えるようなものでしょう?」と言うと、考え込んでしまいました。
その後、その同じ話で驚いたのは、大学で同じ話を、笑い話として、しようと思ったら、笑い話でなく、大学生でも、同じ答えをした学生がいたのよね。
今の若者は理解不能ですな。

「何故、そんな話をするのか?」って???
つまり、テレビ等でピアノを弾いているピアニストがいたとして、その生活がどんなに華やかに見えたとしても、その日常は、コツコツとした、地道な練習と勉強の積み重ねなのですよ。
華やかな世界の裏には、コツコツとした努力が必要なのよね。
私がよく人にするアドバイスは、「どんな世界でも、日常はコツコツした努力を毎日しなければならない。あなたに取っては、その時にどんな事であったら、そのコツコツが楽しく思えるのか?」と言う話なのです。
コツコツ努力をする事が楽しいと思える事があれば、その人にとっては、その好きな事を続ける事が本当に幸せなのですよ。
食べ物を作るのが大好きなら、料理の道を歩むと良いし、旅行が好きなら、ツーリングの会社に入社すると良いですよね。
それと同じように、作曲家になりたければ、コツコツと作曲をしたり、楽譜を読んだり、ピアノを練習したり、昔々の偉大な作曲家達の作品を研究したりして、本当に一人閉じこもってコツコツやるのが好きな人なら、作曲家になれるでしょうね。演奏すれば、10秒ぐらいの所を、1週間も、何度も何度も書き直して、推敲する。そこの所が分からないと、どんな職業についても、無理だろうな!!

実は、指揮科は作曲科と同様に、音楽大学では憧れの花形スターの科なのですよ。
そういった努力をこなして、更にもっとストイックに勉強を続けたいという、修験者が作曲科や指揮科を受験してくるのだよ。
アハッ、ハッ、ハッ!

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