というか、このCembalo‐partのRealisationは、あまり上手なarrange(basso continuo)ではないな??!!
無理が多いので、この版で子供に練習させる事はない。それに、左手のoctaveはCembaloの低音の音域を越してしまっているので、演奏不能である。
勿論、basso continuoは、私が自分で子供の手の大きさやlevelに併せて作っている。
基本的には、violinの生徒とCembaloを演奏する生徒の技術のNiveauは整合させているので、violinの生徒のornamentに合わせて、Cembaloの即興のlevelを決める。
だから、Cembalopartがこのように和音だけで演奏する事はない。
violinの旋律を邪魔しないように、可能な範囲で即興演奏をしていく。
(緻密に作曲された装飾を即興演奏と呼ぶかどうかは別として・・ではあるが・・・である。)
次の例は、大Bachが、弟子や子供達への指導のために書いたornamentの例である。
上の段はReinkenのsonateのbasso continuo(数字付きbass)とmelodieであるが、下の段はBachのornamentである。
こういったmelodieに変奏を加えて演奏するornament奏法に対して、組曲等で、繰り返しのpartをornament(装飾)変奏をして演奏する事を、Doubleという。
Doubleというのはフランス語で、英語ではdouble(ダブル)という意味である。
つまり書かれた即興のornament(装飾)であるという意味で、通常は前半をAとすると、A+DoubleA、 後半B+DoubleBと演奏するのが一般的である。
たまに、A+B、Double(A+B)と弾く人もいたりして・・!アッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハ!!
もっとすごいのは、repeatをバカ正直にきちんと守ってA+A,B+B、Double(A+A,B+B)と演奏しているCDもあるのだよ!!
これは凄いね!!演奏時間が3分の曲が、何と6分も掛かる!
もっと、困った事に、Bachのイギリス組曲の1番 イ長調 (Englishe suiten)のsuite1のcouranteはTとUの2曲があり、しかも、couranteUには、DoubleTとDoubleUの二つの変奏がある。
当時の慣習で、舞曲の前半部と後半部はrepeat記号があるので、バカ正直なピアニストが、couranteTをA+A,B+B、DoubleT(A+A,B+B) couranteUA+A,B+B、DoubleU(A+A、B+B)と演奏していた。
阿呆らしくって、笑えるね〜!!
笑い話ついで、であるが、演奏会の曲を準備している時に、本番のリハーサル前に、CembalistがCouperinの「恋の鶯」の演奏時間を「5分」と言って来た。
私が、「そんな事は有り得ないよ!せいぜい2分半だよ!!」と何度も言ったのだが、「幾ら弾いても、5分は掛かる!」と言う。
「う〜ん!!」と、しばし悩んで、考えて、ふと気がついた!
Couperinの「恋の鶯」には、Stollen毎に、repeat記号が書かれている。
勿論、そのDoubleにも、repeatが書かれているのだよ。
「ひょっとして、曲のrepeat記号を全部正確にrepeatして行ったの??」と聞くと、「そう!!」という答えだった。
つまり、元の譜面を楽譜のままにrepeatして弾いて行って、その後、Doubleのpassageを楽譜のままに、繰り返して弾いた・・という事なのだな???
つまり、上記のBachの例と同じように、A+A,B+B,C+C,と弾いて、それからDoubleを更にA+A,B+B,C+C,と弾いてしまったのだよ。
Doubleの意味がよく分かっていなかったのだよね!?!