10月21日 15:58 ・ 編集済み ・
以前に掲載していたHennry purcellのChaconyのshort・octaveについての補足説明です。
右の写真は、生徒達のCembaloのtuningのlecture風景(練習風景)です。
このCembaloは、花園教室に置いてあるspinetで、下の音がCまでしかありません。
今現在、椎名町に置いてあるspinetよりも、低音域はキーが1個少ないのです。(勿論、高音域も少ないのですがね。)
前のHennry purcellのtriosonateのChacony gのbasso continuoは、b(♭)が最低音なので、この場合には、c(#)の音が使用されないので、short・octaveでは、C(#)をb(♭)にtuningするか、C#をCにして、Cをb♭にtuningする2通りの方法があります。
私の場合には、tuningが面倒くさいので、c#をb♭にtuningしてしまいますが、もう一つのc#をcに、cをb♭にする方が一般的です。
それから蛇足ですが、別のコンテンツでも書いているように、今回の10月の発表会では、tuningを平均律ではなく、純正律のmeantoneのbaroqueの調律法で調律しています。
このお話を真面目に説明しようとすると、まるで、数学の論文のような数式の羅列になってしまいます。
私の古典調律のメモ書きのPageだけでも、100Page以上あって、数式を消して、簡単な説明が出来るように努力はしているのですが、難しい理論を簡単に説明するのは、並大抵の事ではありません。
という事で、print outすらしていない、未だにパソコン上のdataとしてしかなっていません。
先ず、基本的な古典調律のお話として、「どういった調律法があるか?」だけは抑えておかなければならないのですが、その調律法の説明(調律の違い)を説明するだけでも、並大抵の事ではないのですよ。
調律法の色々
(1)Pythagoras音律
(2)純正律
(3)中全音律(アロンのmeantone)
(4) Kirnbergerの第3調律
(5)Werckmeisterの調律法
(6)平均律
「一般的に有名な調律法として」、だけでも以上の調律法があります。
しかし、この調律法の一つ一つも、一つの調律法ではなく、更に、色々な調律があるのです。
その中でも有名なものは、meantoneで言えば、meantone E♭や、meantone D#があります。
何故、そんなに沢山の調律法があるのか?と、いう事ですが、純正の3度を美しく響かせるように調律すると、必ず、何処かの音にしわ寄せが出て、その音を含む和音が合わなくなって、凄い唸り(Wolfton
)を上げてしまいます。
そのために、演奏出来る調性を増やすために、二つの調律法を作りました。
私の場合には、Aを基準にして、meantone E♭という調律をしますので、Wolfton はE♭と、A♭に集まります。
その場合には、Asの和音は使用不能になります。
という事で、Hennry purcellのChacony g のU度の和音(N♭6=ナポリの6)の和音は使用不能になります。
meantone E♭は、#三つの調性までと、♭二つまでしか使用出来ません。
そう言った、meantoneのWolfton を避けるために考案されたのが、 Kirnbergerの調律法です。
純正の3度の美しさは失われていますが、その分、調性を選ばなくても良くなっています。
Werckmeisterは、 J.S.Bachの弟子であるKirnbergerよりも古い人ですが、不思議な事に、より平均律に近い調律法になっています。
Cembaloの調律のためには、基本の調律法がありますが、Wolfをある特定の(その曲で使用しない音)に寄せるために、アナログで調律をする事はありますが、普段は、古典調律が出来るtunerを使用して調律します。
私は調律師ではないので、その方が楽なのです。
しかし、特定の調の曲をmeantoneで演奏する時には、Wolfton をズラす必要が出て来るので、仕方がないので、耳で調律をして、Wolfton
をズラします。
Pythagorasと音楽の関係は、中々面白い物があります。
音を数学として捉えたので、自然界の理論上の説明が多いのは当然です。
一般的に良く知られているのは、弦長と音の関係です。
弦長の半分にすると、octave上の音が出るし、3分の1では、・・等々です。
先程、出て来た調の時計ですが、その中で直角3角形を書くと、長三和音と、短三和音が出来ます。
しかし、Pythagoras音律とは、そんな単純なものではなく、Pythagoras・kommaと呼ばれる修正の音律を持っていて、melodieとしては、とても美しく響きます。しかし、残念ならが和音としては美しくはありません。
3度が純粋に響かないからです。
https://www.youtube.com/watch?v=FpRYWtDT4oA
今度、教室で購入したRolandの電子harpsichordによる、音律の比較です。
こういう風に演奏されると、結構、分かりにくいのですが、全ての三和音で比較すると一目瞭然に分かります。
https://www.youtube.com/watch?v=fx3PwP6UP5s
響きを純粋に聞くのならこちらのsightの方が良いのでは・・と思います。
https://www.youtube.com/watch?v=DcgAB7oVGmc
Pythagoras音律によるChopinのEtude、「革命」です。
(1)Pythagoras音律
(2)純正律
(3)中全音律(アロンのmeantone)
(4) Kirnbergerの第3調律
(5)Werckmeisterの調律法
(6)平均律
その後(15年11月以降では)、古典調律の種類をもう一つ増やして、Vallottiの古典調律を今は教室の標準の古典調律にしています。
通常、教室で使用する調律は、勿論、平均律を除いたら、古典調律では、meantoneとVallottiの調律の二種類を使用しています。