昔のフィルム
ドイツのカメラのフィルム・メーカーは主にコダックとアグファが有名です。日本のフィルム・メーカーのサクラとフジのように色合いが少し違います。(今は、私達はデジタル・カメラを使用しているので、いまのフィルムカメラがどうなっているのかは、よく知りません。)
コダックフィルムは、赤の発色がとても素晴らしく、はっきりとした感じで、コントラストが強いので、色合いの強い花の撮影や、夏の風景などに適している、と言われています。それに対して、アグファ・フィルムは緑が少し強く、柔らかな感じで、人物撮影などに向いている、と把握していました。そこのところも、日本のサクラ・フィルムと富士・フィルムの特徴の違いに、似ています。
私は日本ではおもに富士フィルムを使っていました。その柔らかい色合いが好きだったからです。と言うわけで、ドイツに行ってからも、ご多分にもれず、アグファのフィルムを使っていました。
何の疑問もなく日本に帰国してから焼きましを頼もうとしたら、なんとドイツのフィルムは現像が薄過ぎて、日本では焼きましが出来ないということでメーカーに断られてしまいました。当面はすべてのフィルムをドイツで焼いてあるはずだから、と思ったので、必要性は感じなかったので、そのままにして置いたのですが、今現在の話ですが、急に仕事でパイプオルガンの写真などが必要になって、写真を探してみたのですが、焼いたはずの写真が見当たりません。そこで、(私がドイツから帰国してからもう既に35年ほど経っているので、)当然技術的に焼きましぐらいは出来るであろうと思って、業者に頼んでみたのですが、いろいろな理由で、断られてしまいました。
まずその理由の一つは、私がドイツで使用していたカメラは、私の母親が使用していたもので、ハーフ・サイズの馬鹿チョンカメラでした。今現在では、ハーフ・サイズのフィルムは、メーカーではもう焼き増しをしていないそうです。
第二点は、お話したように、ドイツで撮影した当時のフィルムは、帰国した時点ででも、焼き増しが出来ないと断られたものであるし、それに加えて、もう30年近くも前のフィルムで、色あせがひどく、肉眼的に見ても何の写真かはっきり分からなかったのです。
ダブルパンチで、カメラ屋さんに、焼き増しを断られて、諦めきれずに、教室の事務所のスキャナーを使って、焼き増しを試みてみたのですが、フィルムの色が薄過ぎて、やはりスキャンが出来ませんでした。
それで、すっかりプリントアウトする事を諦めていたのですが、その後、といっても1年とちょっと前のことになりますが、私の自宅のパソコンの総合プリンタが壊れてしまい、型落ちの総合プリンター(前年度の機種です)を買い求めました。
事務所のスキャナーのようにスキャナー専用機ではないのですが、機種的には大分新しい機種なので、「スキャニングの可能性があるのかな?」とフィルムをセットして、スキャンを試みてみたら、非常におぼろげではあるが、なんとかスキャンすることができました。
とはいっても、それでもフィルムとしての画像認識したわけではなく、まるまるフィルム1本をそのまま画像として取り込んだ、ということではあります。
それを面倒ではありますが、本来の写真の1コマずつにトリミングして、一度fileに保存しました。それから更に、一枚ずつの画像ごとに、修正を加えていって、なんとか普通の写真として見えるように、何枚かの写真を修正して行くことができました。勿論、どっちみち修正しなければならないので、ついでに傷なども一緒に修正していきました。
今新たに発売されている、新しい写真のスキャニング(DP)のソフトでは、そんな初歩的なことだけではなく、手ぶれで画像がなんだか良くわからない写真ですら、ピタリとピントがあっているように修正してしまうそうであります。
教室では露出不足の写真やピンぼけの写真が多いので、そういったソフトを買って来ることは有意義であると思うのだが、なかなかそこまで手が回らない。
でも何とか数枚のドイツの写真と、東京カテドラルのオルガンの写真を再生しました。
東京カテドラル大聖堂にて
竹前光子先生1975年2月
私の作品(Intoroduktion in C)を東京カテドラルで初演していただいた時の、リハーサル風景の写真です。ハーフ・サイズのフィルムですが、アグファのドイツで現像したフィルムではありません。日本で撮影したものですが、やはり30年も前のフィルムで、焼き増しを断られたフィルムの一枚です。