「音大を卒業すればすぐに先生として就職できる」と信じ込んでいる方が、あまりにも多いことには驚かされます。音大を卒業したての音楽家の卵達にとっては「自分達はプロなのだから子供を指導するに当たって学ぶべき物はもう無い。」と思い込んでいる人がほとんどなのです。
音楽の勉強や演奏活動を親の財産に頼らずに自立してやっていくためには、
音楽の指導はたつきの糧として必要欠くべからざるものだと言う事は理解していますか? 現場で5年10年と指導されている、先生は、大学卒業の後で必死に勉強して、生存競争に勝ち残ってきた人達であることを理解していますか?
子供の指導なんて何も勉強しなくても出来ると思い込んでいませんか?

「子供達なんて簡単に教えられるよ!!」
音楽大学生の音楽教育に対する意識(あるいは教育そのものに対しての意識は)あまりにも酷すぎるといえます。

一般に音楽を職業とする人達は「教えるという事」については、仕事としての自覚を持ちません。片手間にできる、気楽なバイト的仕事、と理解しているようです。

そして2年3、年と片手間的に教えていて、片っぱしから生徒が止めていくことにやっと気付いても、「私はやっぱり演奏家で、教える方にはむいていないのだわ。」と幸せ気に考えます。 音楽大学では子供の指導を学ぶわけでもないし、仮にもし音楽大学の講師や教授の先生が子供の音楽指導に興味をもたれたとしても、音楽大学の先生に直接指導を受ける小学生の子供などは、普通の一般的な子供ではないのでどんなスパルタ教育でも平気で付いて行く(少なくとも私達の教室の周りには絶対にいないタイプの)すばらしいお子さん達です。ですから、音楽大学の先生方のカリキュラムが仮にあったとしても、巷の教室の先生の指導に役立つわけではありません。また、音楽大学の先生自身が子供に接した事がないので、生徒を指導できるわけでもありません。つまり音楽大学のカリキュラムの中では、音楽大学生はバイエル教則本や、ツェルニー30番、40番の教則本等々の指導法を学んだり、子供の心理を習ったりする事はないのです。音楽大学卒業のどんな優秀な人材を雇ったとしても、結局のところ私たちは0から指導しなければなりません