ヴァイオリン程、たくさんの種類(値段)の中からどういう風に選んだらいいのか、また何を根拠に選んだらいいのか分かりにくいものはありません。せっかくヴァイオリンを楽しく習おうと思っても、楽器を買う段階で失敗し、大変いやな思いをしてしまうこともあります。お子様の教育、生涯の楽しみ、将来の夢等々・・・楽器はとても大切なものでもありますし、安い買い物でもありません。生徒さん方のニーズに合った良い楽器を購入するために、少しでもお役に立てればという思いから、いくつかの失敗例やレッスンの経験上困ったことなども含め、お話ししたいと思います。 弦楽器についてのもっとくわしいお話は、「ヴァイオリンよもやまばなし」に掲載しております。興味をお持ちの方は、そちらも合わせて御参照ください。


楽器の種類
 楽器は、下取りのある楽器と下取りのない楽器に大きくわかれます。下取りというのは、(良心的な楽器店だけのお話ですが)楽器のサイズを上げる場合やもっといい楽器を買いたい場合にそれまで使っていた楽器をメンテナンスの必要がなければ100%(※消費税分5%はひかれます)でひきとってもらい、その金額に上乗せして購入することができます。下取りのない楽器は、8万ぐらいで購入できますが、次のサイズに買い換える時は、使い捨てとなります。
 ですから、最初の金額は下取りのない楽器に比べて高価ですが、下取りのできる楽器の方が、前の楽器の時に出した金額にプラスして、次の楽器を購入することがセきますので結果的に良い音、良い質の楽器を常に使っていくことができ、音へのアプローチが広がります。後のことを考えると、お勧めできる買い方です。(ただし、1/16・1/10
サイズの下取りできる楽器はありません。また、1/8・1/4は、極稀に手に入ることがあります。)
1/2からはいつでも下取りのできる楽器を購入することができます。

楽器の種類と価格の目安

@メーカー品のヴァイオリン(下取りのないもの)

    本体、弓、ケースで八万円ぐらいからです。

 ※別のメーカで本体、弓、ケースがセットになって53000円(税別)というものもありますが、初心者の人には、あまりお勧め出来ないセットです。(何人か買われた方もいましたが、コストを下げるために素材のレベルを下げている事が、弾きやすさに関わってくるようで、弾きなれた人にとっては技術でその部分をカバーできますが、初心者にとっては音が出しにくいようです。)
教室で紹介しているヴァイオリンの中では一番安い楽器です。これより安い楽器もありますが、やはり色々と問題(故障など)が出てしまい結局皆様買い直されていらっしゃるようなので教室ではお勧めいたしません。

A外国製の新作  (下取りがあるもの)
本体価格が30万円ぐらいからです。(全体で40万円ぐらいになります)
下取りは、楽器の状態にもよりますが、買ったときの6割くらいで引き取ってもらえます。

B外国製 オールド (下取りがあるもの)
本体に使っている木が50年〜300年ぐらい経っているものを指します。
長い年月をかけて弾き込まれている楽器ほど音に深みが出てきます。本体価格の目安は100万くらいからです。(弓、ケースを外した本体のみ値段です。)また、このランクになってくると、弓もバランスのとれたものをお勧めします。
(弓は本体の半分ぐらいの価格が目安です。)


下取りのある楽器の留意点
a.
いい楽器は、1台1台手作りなので、形もちがいますし、音色もちがい個性が有ります。楽器の個性や質などを見分けるには、かなりの熟練した技術が必要です。その人にあったタイプの楽器を持つことが、楽器と末永く楽しくつきあっていけるコツです。購入の時は、先生の方へ相談して下さい。(楽器の正しい選び方については、「ヴァイオリンよもやまばなし」の中で詳しく述べておりますので、そちらも御参照ください。)

d.弓・ケースは、消耗品ですので下取り価格には含まれません。
   (オールドなどの高価な弓の場合は、下取りがあります)
ちなみに、良い楽器に合う弓とは、必ずしも値段の高い弓という事では有りません。ヴァイオリンには弓との相性があります。バランスのよい弓に出会うことはとても難しく、非常に良い弓と出合っても、ヴァイオリンとの相性がよくない、ということもあります。そのような場合は、後でヴァイオリンの方を買い換えるという方法もあります。
e.オールドのような高価な楽器は、楽器保険があります。
f.現金での買い取りは、基本的にはありません。
   
    当教室では、子供(生徒)の立場(教育の目的)や予算などを考え、御父兄の方と相談した上で楽器を選びます。オールドの楽器を買いたいという御希望がある
場合は、お気軽にご相談ください。


サイズについて
サイズは、1/16,1/10,1/8,1/4,1/2,3/4,4/4の全部で7種類あります。この分数の表現は、大人用のフル・サイズを4/4としたときの、楽器の体積比です。(楽器によって多少の誤差はあります。)弦楽器はピアノと違って、体の大きさに合わせた楽器を使うことが出来るため、より正しい構え方や姿勢、音程等を子供のうちから勉強することができます。
楽器のサイズは、体の大きさや手の長さなどからその子供にあったサイズを割り出します。お子様の体の成長が早い場合は、ごくまれにサイズを一つ飛ばして購入する(1/10から1/4へ 等)こともあります。ですが、無理をしてサイズを飛ばして買ってしまうと、正しい姿勢や指の開き具合(音程のとり方)等が身につかなくなってしまいます。又、逆にお子様が大きくなったのに、小さいままの楽器を長い間使用していても同じ結果をまねきます。
ひとつのサイズを使える期間は、1年〜1年半ぐらいですが、お子様の成長による個人差があります。

付属品について
          
楽器には付属品が必要です。

a.肩あて(その子供にあうものを選びます。)3500〜 5000円ぐらい
                                                   サイズや物によって金額はかわります。
b.アジャスタ3つ,まつやに,クロス(楽器専用布)合計4000円ぐらい


その他に初めてヴァイオリンをされる方は、譜面台が必要となります。
c.ドイツ製 譜面台 折りたたみ式(3300円 税別)
   コンパクトにたためますので、持ち運べます。

d.木製〔合板〕 郵送可能     (13000円 税別)
 据え置き式です。丈夫で、文字を書くことができますし、弓やペンを置く所があ
 ります。(レッスンでつかっているものと同じです)




                
教室からのお願い
 
使い終わった楽器で、楽器の置き場所、処理に困っている方がいらっしゃいましたら、教室に寄付して頂ければ幸いです。子供達の為に(ビオラの勉強や体験学習などに使用しています。)大切に使わせて頂きますでどうぞよろしくお願いします。
b.高価な楽器の場合、良心的な楽器店は「売る」というよりも「次の人へ受け継ぐためのサポートをする」といった考え方をします。プロの職人が丹精こめて長い年月手入れをして受け継がれてきた楽器が、他の楽器店に渡ってしまったり、行方知らずになってしまうことは楽器店にとっては非常に困ることです。下取りの際は、購入した楽器店へお願いします。

c.
以前、「良い楽器だから」と生徒さん同士で売買をしてしまい、売ってもらった生徒さんが買い換えの為楽器店へ持って行ったら、査定が半額以下だった。という話がありました。長い間ずっと使っていると定期的にメンテナンスが必要です。ですから、使っていた方が必ず楽器店に持っていって下さい。またご兄弟で使う場合も、上のお子さんが使い終わりましたら、一度楽器店の方にお持ちください。(長い期間弾かないで放置すると、何もしなくても楽器が傷み、下取り価格が下がります。)
〔はじめての方へ〕
ヴァイオリン購入に当たって