Vivaldi 四季より「秋」のオケ練習から


T楽章


2012年10月14日芦塚音楽千葉教室秋の発表会

2017年11月23日八千代市生涯学習プラザ主催秋のコンサート

2019年10月13日芦塚音楽千葉教室秋の発表会



Vivaldiの「四季」の秋のT楽章で、いつも私を悩ませるのは、tempoの設定である。

秋のT楽章のtempo設定に関しては、tuttiのtempoで、soloを演奏する事は、技術的に不可能に近いので、solisteの限界のtempoでオケを指揮するか、それともsoloのpartは自由にad.lib.で演奏させて、オケはin tempoで対比させるように演奏するかで、何時も悩むところである。I Musici等の色々な団体の演奏を聞いても、そこは相変わらず曖昧である。

という事で、私もご多分に漏れず、毎回tempo設定を変えて、演奏している。
そう言う分けで、今回はsoloはad.lib.で演奏させる事にして、全体のtuttiはorchestraのin tempoにして、126以上のtempoで演奏する事にします。

今回は敢えて、練習のthemaにはしなかったのだが、厳密に言えば、soloviolinのpartに出てくるダブルストッピングの問題もある。
soloviolinは常に3度や6度の重音を奏くのだが、Aが解放弦である場合が多い。しかし、下のFとAを純正で取ろうとすると、上のAが5サイクル程高めになるという問題が生じる。
しかし、オーケストラが下のFを下げて演奏する事はすこぶる難しい。
という事で、今回はこのthemaには触れず、次の機会に回す事にした。

violaとCelloが低音の開放弦がCの音である。つまり、F Durのdominanteの音である。
F DurのdominanteであるCから、完全5度をFとした時に、開放弦のAは純正では調和しないのだ。
FとAの3度を純正で取って、Cを犠牲にするのか??それとも、FとCを完全で取って、Aを犠牲にするのか(開放弦ではなくpositionとして取るのか?)という悩みである。


 12年11月4日(京成検見川オケ教室の)四季の「秋」の通し練習です。(この動画は削除しました。)

solisteが、突然、本番での出演をドタキャンして、学校の部活に行ったので、八千代の本番では 急遽、斉藤先生がsoloを演奏する事になりました。
・・・とは言っても、四季は教室の常設曲なので、常時、演奏出来なければなりません。
「何時でも、何処でも」・・が、教室のモットーなのでね。



@最初から、(14小節目のsoloの部分を含めて)、32小節目まではin tempoで演奏する。

A 32小節目からのsoloは、ad.lib.で、最初はゆっくりと、よたよたとUbriaco(酔っ払い)が、道をふらつきながら歩いているように、下りでずるずると滑り落ちるようにだんだん早くなって、登りでは遅くなって、またちょっと早くなって、というように、TK35の3拍目で収める。
この酔っぱらいのmime(マイム)は、一番よく見受けられるmimeであるが、その滑らかな動きは、やはりチャップリンのmimeが最も印象的であろうか。

36小節目からは遅めから37の後半から、段階的に段々速くしていって(芦塚メトードでは段階のaccelerandoと言う)8小節目までには、tuttiの本来のtempoに戻す。

オケは、待たないで(feintしないで)ストレートに入る事!⇒これは前回の演奏とは全く違うので、よく意識する事。

譜例:

 

譜例:



B tk53の下行のscaleはrit.をして8分音符はゆっくり目に演奏する。

C 57小節目ではtuttiはsubitoに、in tempoで演奏する。(soloのtempoを引きずらないように!)

D 67のUbriaco(酔っ払い)はAと同様にゆっくりから早く、を3回繰り返して、70でふらふらというimageを出して演奏する。

譜例:





E 89のsoloはsenza vibratoで始める。92の3拍目から93にかけての納めは、少しvibratoを入れる。

Tk94の2回目から、一回目同様に、またsenza vibratoで始める。

195小節目のsoloとviolaのfermataで、伸ばしている音に少しvibratoを入れて余韻を作る。

全楽章を通しで演奏する時には、最後の小節はあまり遅くしないでさりげなく終わらせる。

 

 

U楽章

U楽章は、senza vibratoで純正で演奏する。

まず、最初に3和音になる音を選び出して、純正の響きを確信して、残りの音を追加する練習をしなければならない。

3和音になる小節、若しくは、省けば3和音になる小節を↓で示して、省く音を←×で表した。以下、譜例参照








V楽章

@番目のcheckは、9小節目(通し番号169小節目)のoctaveの上のFが揃わない。だから、次のEsも合わない。(理由⇒positionが一人一人違う。Positionを合わせないといけない。2nd positionのoctaveから順番で良いのでは??)

A 14小節目(通し番号174小節目)のbow⇒down、downか弓順か意見が分かれてしまったが、芦塚先生はdowndownのbowを指示している。

B59小節目和音は、baroqueviolinの演奏では、駒がなだらかな事と、弓が丸く弱いので、普通に演奏しても、和音のように2弦が同時に聞こえてくる。

譜例:



アーヨーやカラヤンの現代violinと現代棒で演奏すると2弦を演奏するのは困難になるので、ついついMendelssohnのconcertoのkadenzのようにleggieroで飛ばしで演奏してしまう。

譜例:



しかし、1990年以降はbaroque音楽の研究も進み、baroqueの演奏も盛んになって来たので、今ではそういった現代的奏法で演奏する演奏家は少なくなった。

梨衣は、Baroqueviolinと昔の弓を使用して練習して音楽のimageを作ってみるとか??

 

以上が秋の昨日12年9月2日日曜日のオケ教室でのオケ練習の指導上のpointである。

(伝達:芦塚陽二)