無視してよい間違いと、しっかりcheckしなければならない間違い

先生が子供の間違いを指摘するときに、無視をしてよい間違いと、原因を追求してしっかりと指導しなければならない間違いがある。言い方を変えると、間違いにはcarelessmissによる間違いと、原因がある間違いがあるということなのだ。

その見つけ方はいとも簡単である。子供に何回か、通し弾きをさせ、間違えた箇所を正確にチェックをさせるということである。子供が自分で間違いを、見つける事が出来ない場合は、テープなどに録音をして、それでチェックをしてもよい。それでも見つけることが出来ないミスが往々にしてある。それを見つけ出すのは先生の役目である。子供が5回通し弾きをして、そのチェックが同じ場所に1個しかチェックされていない場合には、それはただのcarelessmissである。しかし間違いが同じ音の上だけでなく、同じ小節の中に2回、3回と出て来る場合には、明らかに必然的な間違うだけの理由がある。その間違いの理由は、芦塚メトードの「間違いの3原則」による。

 

2008/02/10 (日) 10:24

水たまりの間違い

水たまりの間違いが「3原則」によらない場合は、ターニングポイントをしっかり意識出来ない事による間違いである。

上記の間違いは、ただ間違うポイントをしっかりと、把握させて、事前にしっかりと意識させることが出来れば、治る。だから、そこを間違えたからといって、何度も繰り返し練習させても、練習させること自体が無意味である。そのときには一時的に治ったとしても、通し練習をすれば、再び同じように間違うからである。

ターニングポイントを確実にするためには、そのターニングポイントをどこで思い出すか?・・・の、場所を決めなければならない。その場所で確実に子供が思い出せたか否かを指導者が理解するには、早口でしゃべれる短い単語(たとえばチェックなど)を言わせる、などが効果的である。弦楽器などのアンサンブルでいちばん多いミスは、「長い休み」の後の「入り」である。プロのオケマンですら、良くやるミステークである。オーケストラの練習で、子供達に入りの練習をさせるとき、ヴァイオリンなどの場合には、3小節前で楽器を構えさせる、というようなことをするだけで、「入り」のミステークは防げる。この練習法はオーケストラだけの練習法ではなく、ピアノの意識の欠落(所謂、水溜りの間違い)を修正する練習法と、全く同じ練習法なのである。

 

トラップ型の水たまり

子供達に水たまりの理論を説明して、水たまりに引っかからないように、注意を喚起する場所を設定し、練習をすると、やがて子供達は水たまりには、引っかからなくなってくる。

しかし、本当にそういった、水たまり型のミステイクを克服出来るようになったか否かは、複数のトラップ型の水たまりで分かる。

トラップ型の水溜りは、通常、水たまりは一小節の中に、1個ぐらいしかないが、難しい場所の中には一小節の中に、三個、四個のウイークポイントがあり、しかも、その原因がそれぞれ異なる場合がある。

それを二小節ぐらい前に思い出そうとするときに、最初の一個、二個は思い出せたとしても、残りの三個目、四個目で、ついには引っかかってしまう。

これを、私は「トラップ型の水たまり」と呼んで、子供達に教えている。

 

トラップ型の水たまりの練習は、事前に思い出すポイントを決めておくことは当然のことながら、何個の水たまりがあるかを子供自身が指摘出来るということにある。つまり次の小節の中に3個の水たまりがあるなら3、4個の水たまりがあるなら4と指摘できれば、次のステップにつながる。

ここであえてつながる・・・という表現にしたのは、子供の場合、「3個」というのが、必ずしも間違いの内容を示すわけではないということだからである。

つまり、「間違える場所が3箇所」であり、その「3箇所の内容が、どういう内容か」ということを伴わないからである。

水たまりを指導していて、その事に気がつかない先生は、「生徒に対して水たまりの場所を指摘して、生徒自身も事前に、水溜りがあることを指摘できたのに、弾けなかった。」と言う。

それはとりもなおさず生徒が「次に水たまりがある。」と指摘できたとしても、水たまりの内容を分かった上で言っているわけではないからである。そこを、正確に着眼して、指導すれば、そういった指導上の過ちは起こらない。