調性と音階について (ピアノの先生からのご質問に答えて)


調性と音階、調の特性と純正調について、音の高さ(pitch)のお話

 

件名: 調について

芦塚先生、質問です。

趣味でピアノを始めた71歳のおじい様に、「何でC音を基本のドと決めたのだろう?」と聞かれました。

「実音のD音でもE音でもドレミの最初のドでもいいのではないか?」という質問です。

何か参考資料などありましたら、教えてください。

 

返信:勿論、生徒さんのご質問の内容が、移動ド唱法と固定ド唱法のお話であるとすれば・・・

勿論、生徒さんのこの質問が、移動ド唱法と固定ド唱法のお話としての質問ならば、当然、先生も、生徒さんのご質問に明確にお応えする事が出来る・・・と思いますので、どの音から始めても、同じドレミで歌う事が出来るので・・その質問は正しいのですよね??
所謂、作音楽器、つまり、Violin等の弦楽器の場合や、管楽器でも、基本的には移動ドで演奏する事は可能なのです。
但し、Pianoのような鍵盤楽器の場合には、keyが絶対音を想定して、配列されているので、pitchから来る調に準じるのです。
という事なので、その先のお話をします。

『マンガ楽典』のお話
この質問は結構、音楽を学ぶ中学生や大人の方が抱く疑問の中でも、基本中の基本的なご質問であると思いますが、不思議な事にこの歳になるまでいろいろな楽典の本や音楽面白話などの本を見てきましたが、そういったことに触れている本など、参考文献などというものは、今の今まで、見たことはありません。

私も、そういった、ある程度の年齢の方の質問集でそういった資料のないもの調べにくいもの、或いは楽典や音楽通論の本に落ちこぼれた疑問をまとめて冊子にして、出版社に「マンガ楽典を出版したい。」といったことがあります。
漫画家の人に手伝って貰って、その楽典への導入までのマンガを書いて貰いました。

しかしながら、出版社には、原則として「売れない物は出版しない」という鉄則があります。

発行部数としては、小さなピアノやヴァイオリンを学び始めたばかりの子供を対象にしたほうが絶対数の関係で売れるのです。
こういった質問は、むしろ大人の方の結構、マニアックな質問なのでなかなか出版しても、売れないのです。
・・で、出版社としては「よく売れている小さな子供を対象にした楽典の導入のマンガと同じものを書いて欲しい。」と言うことで、私の当初の企画とは全く違った方向に進んでしまいました。
と言う事で、私の原稿を漫画化する担当の漫画家を探す段階でこの企画はぽしゃってしまいました。
私としては漫画家の方に、「漫画のストーリー自体も私が提供してもいいよ。」と言う条件すら提示したのですが、音楽の事を全く知らない漫画家にとっては私の描いた楽典とは全く未知の分野で、「既成のいろいろな出版社から出版されているマンガ楽典と同じか、それにちょっと毛の生えたような全く簡単な『これをト音記号と呼びます。』とか『これが4分音符です。』位の事を書けば良いのかな?」と思っていた漫画家の人にとっては、全くチンプンカンプンの理解出来ない専門の分野の話で、・・・・という事でこの楽典を漫画として書いてくれる人が見つからなかったのです。

で、これがマンガとなるストーリーの構成や原案を漫画家の人に提供したにもかかわらず、漫画家の人は逃げ出してしまいました。
ということで、漫画家の人に提供したストーリーの最初の部分や、マンガ楽典のラフ原稿、私の書きなぐりの文章を一冊に纏めたに過ぎない冊子ですが、「それでも良いよ。」といってくれる音楽教室の先生方や教室の御父兄、生徒さん方へ、教室でコピー製本した冊子を実費で一般の方にもお分けしています。

今回の質問もその「マンガ楽典」の中に掲載されている文章ではありますが、結構よく質問されることの多い質問ですので、今回は冊子ではなく、私が直接質問に対しての解説をいたします。

ご質問に対しての説明 

まず一般の人達が犯している一番の誤りは、「ピアノのCの音が基準音である。」という思い込みです。

実はCの音(ハ長調)は基準音ではありません。
英語の文字の並びは「CDE・・・」ではなくって「ABCD・・・・」ですよね。同じようにまた、日本語の文字列の並びも明治時代にヨーロッパのそれに見習って、「イロハニホ・・・」としたのです。
まだ「アイウエオ」という、音列の母音の表記が確立していなかったので、江戸時代にはやった、言葉遊びの歌でひらがなを覚えるための手習いのために子供達に教えられていた歌、「色は匂えど散りぬるを、我が世誰ぞ、常ならむ」の「イロハニホヘト」に当てはめたのです。ですから基音(開始の音)は「イ」の音であって、「ハ」の音は「色は・・」の「は」の文字で、第3番目の音であり、最初の音ではありません。

音楽を専門的に学んでいる人でしたら誰でも、知っているように音楽の基準音(基音)はA、の音です。(日本語でも「ハニホヘトイロ」は、本来は「イロハニホヘト」でなければなりませんよね。
つまり始まりの音は「イ」の音なのです。

そもそもドレミというのは、ドレミの歌と全く同じ歌が中世(ギドーという神父さんが(995〜1050)生徒に音階を指導するためにラテン語のヨハネ賛歌を使って教えた事から始まります。(蛇足ですが、グレゴリオ聖歌の時代ですから音列は6個の音で出来ていました。未だ7番目のsi(シ)の音はまだありませんでした。)

ヨハネ賛歌なので、その頭の最初の音はdoではなく文章の頭文字のUtなのです。
確かフランスでは今でもドではなかったよね?

それを、国が変わったときに、「あいうえお」に当てはめてABCD・・・としたのです。これは全部教会旋法時代の話ですがね。
ですから、ド、レ、ミ、の調はハ長調を意味しているのではなく、A調のイオニア調なのです。
ですから、基準音はCの音ではなくってAの音なのです。
基準の音をローマ字の最初の音であるAに設定したのです。
(この段階ではまだ、pitchはありません。)

・・・で、おじいさんのご質問のように、Aの音がどの高さであるか、所謂、Aの音のピッチなんて何でも良かったのです。(何サイクルでも良かったのです。絶対音のない人は、今でも何の曲でも歌いやすい高さで歌うでしょう?
それと同じだと思ってください。)

 

誤解の無い様に言っておきますが、旋法が先で、ヨハネ賛歌が後ですよ。

baroque時代になっても、調なんてものはあやふやなものでした。
Baroque-violinなんかやっていると、弦は自然のガット弦なので(今は本物の羊の腸の繊維を使うことは殆どなく、化学合成されたガット弦が主流ですので、弦のばらつきがなく、しかも余り切れなくなって来ましたが)それでも当日の天候などの状態ではぶちぶち切れてしまいます。
だから、その日に一番響く音がその日のAのpitchなのです。

所が、管楽器やOrganのような楽器ではそういう分けにはいきません。
村で皆が集まって合奏をする時には基準となるpitchが必要になってきました。

そういうわけで、昔々は、村単位で全ての楽器のpitchが違っていて、隣の村と一緒の合同の音楽会ですら、開けないほどでした。
その村の楽器のpitchは、原則として、その村の教会のパイプ・オルガンのpitchに準拠しました。
その村々で、パイプ・オルガンのpitchが、オルガンの製作者の好みで違っていたので、村独自のpitchが存在したのです。

また、よく、baroque時代のpitchは低いと思われている方がいますが、それも単なる風評で正しくはありません。
こんにち、我々が知っている一番高いbaroque時代のpitchは、448サイクルという、ベルリン・フィルでも及ばない程の高いpitchを持つ村もあったのです。(それは、教会のパイプ・オルガンのpitchや、当時使用されていた管楽器を調べると具体的に知る事が出来るのです。)
また、管楽器が主流の村では、pitchは高くなる傾向がありますが、弦楽器が活躍している村では、pitchは440よりも低いのが常です。
その理由は、簡単で、当時の弦楽器はガット弦を使用していた為に、張りを強くすると、非常に切れやすくなったからです。
現代では、よく415syclをbaroque-pitchとする演奏団体を多く見受けますが、しかし、幾ら、ガット弦でも、415サイクルでは低すぎて、美しい弦楽器の音がしません。
これはAを440cycleで調律して、Cembaloの鍵盤を横にslideさせて、AのkeyをA♭に持って行くとA♭は415cycleになるからなのです。
あくまでもmodern-pitchとbaroque-pitchを混同して使う場合の折衷案なので、正しいbaroque-pitchとは言えません。
baroque-pitchにはVersaillesーpitchやその他色々なpitchがあります。
まあ、いずれにしても、435前後のpitchが、弦楽器にとっては、よく響くのです。
と言う事で、ヨーロッパのpro仕様のrecorderやTraversoは435サイクルを基準にします。

日本ではbaroqueを専門とするproの演奏団体は、非常に少ないので、アウルスのように、A=415サイクルの方が標準なので、困ってしまいます。

話を元に戻して、村々でpitchが違うと、合同の演奏会等が不可能なので、ある程度の整合性を取るために、1859年にパリの国際会議で基音の高さを435として、これを国際高度と定めました。

しかし、現在の演奏会では440cycleが国際標準高度になって、442cycleが演奏会高度(Concert pitch)と呼ぶようになりました。
しかし、日本でも殆どのKoncertの会場のPianoのpitchはA=443cycleの方が一般的なようです。

大本の国際高度の435サイクルのpitchは、今日では、一般的にはbaroquepitchと呼ぶことが多いようです。

余談になりますが、よくbaroquepitchをA=415と勘違いしているbaroqueの演奏家が多くて、困ってしまいます。
今日、baroqueの専門の楽器であるfluteの前進のTraverso(木管か象牙等のbaroque時代の横笛です。)の安いプラスチックのTraversoを日本のアウルス楽器が作っていますが、baroquepitchとしてA=415サイクルで作っています。


しかし、ヨーロッパ仕様のrecorder(リコーダー)は、その殆どが435サイクルで作られています。
それは、上記の1859年の国際会議の決定によるものです。


415サイクルのbaroquepitchはどこから来たのでしょうか?
それは、世界の音楽の愛好家が、必ずしもbaroqueの楽器を持っている分けではない・・という事に理由があります。
全ての楽器は固定されたpitch上で、正確にtuningをするとだんだんpitchが安定してきて、音の狂いが少なくなります。
しかし、modernpitchの442サイクルや、baroquepitchの415サイクルを繰り返し、tuningをし直すとCembalo等の楽器は傷んで、壊れてしまいます。

baroque音楽を演奏する度に440サイクルと415サイクルを調律し直す事は、楽器にとっては最大の弱点になってしまいます。弦が切れるのならばまだしも、最悪の場合には楽器が張力の変化に耐えられなくなって、壊れてしまいます。そうなると修理不能になってしまいます。

と言う事で、利便性というか、便宜上というか、A=440のサイクルに調律されたCembaloの一つ下の音、所謂、Gis(ソ#)の音に、鍵盤をスライドさせて、そのGisの音を便宜上、baroqueのAの音にしました。

でも、これはあくまで、便宜上の話であって、本来のpitchではありません。

写真は鍵盤をslideさせる前の状態で、鍵盤のstoperを外す所です。
このstoperを外して、鍵盤をslideさせて、上の鍵盤の所にstoper を入れて鍵盤を安定させます。



私が怒り捲っていたのは、baroque専門の演奏団体がpitchを415cycleにしていたからなので、教室では、生徒達の演奏では443cycleで、先生達のbaroqueのperiod instrumentsの演奏では、418cycleと、しょっちゅうslide鍵盤を使用してCembaloのpitchを変えながら演奏しています。(教室の標準pitchはAの音が443cycleにしているので、slide鍵盤のGisの音は418cycleになります。)
pitchのお話は、とても広範囲になって、また音楽学的な要素もあるので、私の楽典のお話から、色々と折に触れて書いた「pitchの話」があるので、そちらを参考にしてください。


現在の演奏会高度(Concert pitch)も、音楽家やオーケストラは(ホールなどでは)442よりも、443を取るオーケストラが最も多いようで、標準の440cycleは学校と教育会館だけです。
学校とは言っても勿論、音楽大学は442cycleです。当然ですが・・・??
ちなみに、私達の教室も、ピアノやviolin等は443でtuningしています。442cycleではありません。
勿論、生徒さん達の家庭のPianoでも、調律師の方に443にtuningしてもらうように、お願いしています。



音の高さ(pitch)を決めるのに、『Aの音を基準音として、440サイクルに決めた。』というお話でしたが、このお話の続きにはチョッと紛らわしい、お話があります。それは、音の高度(octave)のお話です。

Aの音が440サイクルだとすれば、Aの音のoctave上の音は、880サイクルになりますよね。当然理論的には880cycleなので、電子tuner等でAのoctave上の音を出すと、880cycleになります。

しかし、本当のoctave上のpitchは、厳密には880サイクルではなく、少し高めになります。
それを私は開かれたpitchと呼んでいます。
人間の音の感性は、pitchが高くなるに従って、高めの音を良しとする感性があります。

反対に低めの音は、octaveを狭いように感じるのです。
つまり、Aのoctave下の音は、220サイクルのはずなのですが、実際にはそれよりも少し高くなります。これを私はwineに擬えて、開かれたtuningと呼んでいます。つまり、octave上が2倍の880サイクル、下が220サイクルになる調律を閉じられた調律と呼びます。勿論、調律師の人で閉じられた調律をする人は絶対にいないとは思いますが、日本の音楽界では、何が起こるかは分からないのでね??

では、どれぐらいのサイクルで調整するのでしょうか??

実は、調律師やヴァイオリン奏者達はその感性によって音の高さを修正するのです。

これは人間の感性の問題なので、科学的には、数字としては、cycleを書き表す事はありません。
二人、調律師がいれば、或いは、一人の調律師であっても、ピアノを2台同時に調律する時でも、微妙に音の高さが変わってしまうので、普通、調律師は、一台目のピアノの音を調律したら、そのpitchを二台目に移して行きます
。・・・それぐらい、音の高さは微妙なのですよ。

(このお話は、誤解を招きやすいので、補筆しておきます。pitchのoctave関係だけではなく、強弱の強さ、ritardandoの速度、否、音楽関係に限らず、自然界の原則は放物線の比に従います。等加速度運動等と同じ比です。当然、放物線の角度は無数に存在するので、出発点と到着点を定めた・・としても、その角度は無数に存在するのですが、それは自然界の法則に従った範囲での比になるのです。勿論、Metronomにしても、accelerandoやritardandoの正確なMetronomを作る事は可能なのですが、大手の楽譜屋さんにお話をしたら、「そんな物は売れない」「Metronom自体が音楽大学では売れないのだよ?」と断られてしまいました。tunerもoctave-keyを持っているtunerは多いのですが、正確に開かれたoctaveでtuning出来るtunerは、今の所発売されてはいません。残念なんだけどね???)


それが顕著に出てくるのは、Violinの場合には第4positionから上の音になります。基準音から第二倍音ぐらいまでは、なんとか同度でも誤魔化せますが、第3倍音になるとやはり、確実な修正が必要になって来ます。蚊取り線香の中心に向けて、12個の音c⇒cis⇒Dと音があると想定してください。2回目のcと3回目のcではpitchの場所が違いますよね??
これが開かれたpitch、所謂、純正の音になります。中級から上級生になると耳の訓練に入ります。
その微妙な違いを弾き分ける事が大切なのです。

pitchのcontrolの勉強をして来なかった人達の演奏はflatな扁平な音で演奏をします。

前振りはそれぐらいにして、紛らわしいお話に戻りますが、音の高さを表すのに、基準のイの文字の上に点を付けて、一点イとします。octave上は当然、二点イ、更にoctave上は、当然3点イになります。
基準の一点イ音のoctave下は、何も付けないイの音で、更にoctave下は、ひらがなになって、いの音になります。
更にoctave下はひらがなのいの下に点を付けてひらがな一点いの音になります。

ここまでは、何の問題もないと思いますが、混乱をしてくるのは、一点イ音が開始されるのは、鍵盤の中心である基準の一点ハ音になります。
つまり、基準の一点イの音の下のハ音が、点の付くpointになるのです。
つまり、音の高さは一点イの音で、決められるのに、音名(音の固有の音を表す)は、ドを基準にして変わっていくのです。
だから、音楽の基準音がド(一点ハ音)という勘違いが生まれてくるのですよね。

 

話を元に戻して、・・・以上のような説明でもお分かりのように、ピアノの鍵盤もハ長調を基準に作られたものではなくって、イ短調、(正式にはエオリア調といいます。)を基準に作られたものです。それが白鍵上にあらわされます。その平行長調がハ長調であったわけです。(正式にはイオニア調といいます。)

蛇足ですが、やはり参考資料の解説に書いていない事ですが、Bachのメヌエットなど原典版ではg mollの曲なのに調号がフラットひとつ、のd mollになっている曲が多く見受けられます。それも、F Durのドリア調として書かれているからなのです。(間違がえないように確認をしておきますが、基音の調はF Durではなくってd mollですよね。Dのドリア調です。)全音の標準版ではわざわざとg mollに調号を直してあるものも多く見受けられます。

少し専門的になってしまいましたが、貴女の方で分かりやすく、易しく説明しなおしてくださいね。

 

 

返信:

楽しいお返事をさっそくいただき、ありがとうございました(^。^)(*^o^)!!

音楽を楽しくわかりやすくお話できる引き出しを増やせるように、もっと勉強しなければと最近思っています。今は、質問のたびに、昔の音楽史の教科書とにらめっこです。

ありがとうございました。

 

質問:

そういえばビィバルディのチェロコンチェルトのCmollがフラット2つで書いてあって、何故ですかという宿題をオーケストラの顔合わせのときに出されて、まだ説明してもらってないと生徒に2週間に渡って同じ質問をされています。

 

答え:

同じ事でB Durのドリア調がc moll になるからです。後はこの文章を参考にして子供にも分かるように説明をしてください。

これも間違いがないように確認しておきますが、(B Durではなく)g調のドリア調がc mollに近いと言うことです。

 

質問:

こないだ質問をしてきたおじい様がまた「どうして、オクターブが12等分なのか?24等分やもっと他の音階でもよいのではないか?」という質問をしてきました。これはどう答えたら良いのでしょうか?

 

答え:

これも大いなる勘違いがあります。

音階とは、元来自然発生的なものと考えられますが、しかしいずれにしても自然界の法則上に成り立つ事は確かであります。

音階は基音上に倍音をいくつまで取るかと言う事で5音階になるか6音階になるかということが決まります。
Cを基音として倍音を取った場合には第七音のシは限りなくシ♭に近い。だから本来的にはC調の場合B(シ♭)が本来の音である。そのために導音処理された音heben(引き上げられた)された音という意味でHになる。

ピタゴラスの音階というのもあります。
所謂、一つの弦を、二つに当分すると、勿論、octave上の音が出ます。
同様に、3分の1の所、4分の3の所とか、分割していくと、同じ2度、3度、と音が構成されていきます。
しかし、ピタゴラス音階の基本は5度の積み重ねで音を構成します。
勿論、数学の世界なので、実際の音階の音からはかなり外れてしまいます。
このズレをピタゴラスコンマと言ったりします。一番古い音楽理論の世界です。



そこから導き出された考え方が、5度圏という考え方で、完全5度上に音を取っていったとして、本来的には0時をCとして、完全5度を重ねて行っても、12時間後の12時は同じCにはならないが、近似値では12個の音になる。
それで始めて12等分という考え方が出てきた。

基本的にoctave上に存在する12個の音列を更に半分に分割した24音音階というのもある。
一般的には微分音という言い方をする。

 

またこの微分音階が自然発生的に使われている曲は、インドの民族音楽で、基本的には24音音階である。

しかし、いずれにしても、これ等の音階は12個の音を、更に半分に割っただけで、基本的には12分割上の話である。
以下6全音音階なども12個の音を全音程で1個飛ばしに取っているだけであるし、特殊な音階と呼ばれているメシアンの音列も全て、12分割上の音を基本にして、いろいろな音列の組み合わせを作っているだけである。

ついでに、12個の音を6等分したのが、全音階と呼ばれるもので、全ての音のインターバルが長2度(12等分の半音が2個ずつ)になっているので、無性格(エンドレス、無限、捉え所の無い等々)になってしまって、作曲上の作曲者の個性が導き出されない。音階は2種類しか出来ないし、主音が無い。と言う事で一度ドビュッシーが使用して以来、誰も使用していない。
誰が使用してもドビュッシーになってしまうからである。

 

本来的の調は純正調の上に成り立つ。

しかし、純正調では、全ての3和音を使用することは出来ないし、転調することも出来ない、という不具合が起こる。

そのために平均律というものが作り出されたのであるが、それは純正な美しい3和音の響きを犠牲にすることによって出来上がったわけでもある。

と言う事で、純正調の響きを持ったままで、なるべく平均律に近づけた調律と言うものが、(特にバロック時代に)試みられた。
その、改良は実は今でも続けらている。一番ニュートラルな平均律と言えども、計算上の完全な中間音的な音階ではない。
ある程度の演奏上の配慮がなされているのだ。

と言う事で、平均律は音楽史上の完成された調律法ではなく、一番どうしようもない、諦めきられた調律法なのです。
と言うわけで、平均律が出来上がったのは中、後期baroque時代と比較的に新しい。

ここで大いなる勘違いを一つ・・・
Bachが「Cembaloの平均律の調律のための平均律というpreludeとfugaの曲を書いた」とされていますが、それは大きな勘違いです。Bachの時代には未だ平均律は確立されてはいなくて、BachがTitleに書いたのは『Wohltemperirte』という単語であり、それは『完全に調律された』という意味にしかなりません。当時は未だ平均律の調律はなく、Bachが好んだのはWerckmeisterと言われていますが、Bachのお弟子さんにもKirnbergerという調律の大家がいたのよね??
Mozartはmeantoneの調律を好んだ・・という事は知っている??
meantoneで調律されたMozartのsonateを聴いたのだけど、天上的に美しかったのだよな??

以下は単なるmemo書きです。

ピタゴラスの三角形時計の文字盤上に直角三角形を描くと長三和音と短三和音になる。

これはピタゴラスが考えたピタゴラス音階と呼ばれるものもある。

純正調は調と曲に使用される和音によって調律を変えるので、一つとして同じ調律はない。

Cembaloの調律師にはbaroqueの純正調の調律をお願いするとそういったことに配慮した調律をしてくれる。
ピアノのどうしようもない不細工な平均律調律とは全く違うのだが、その調でしか使用出来ないという欠点も持つ。
その欠点を補うために、純正調を基調として、色々な調律法が考案されて来た。

 

調律法のいろいろ

 (1)ピタゴラス音律(5度調律)
 (2)純正律
 (3)中全音律(アロンのミーントーン)(3度調律で5度の純正な響きを犠牲にして3度の純正な響きを生かしています。)
 (4)キルンベルガーの第3調律(Bachの弟子です。基本的には3度調律です。)
 (5)ヴェルクマイスターの調律法(不思議なことにキルンベルガーよりも年上の人ですが、彼の調律法よりもっと平均律よりです。)
 (6)平均律

 

 

リンク

http://s4.in12.squarestart.ne.jp/

調律法の聞き比べのページ(残念ながらこのPageは開かなくなってしまいました。)

http://www.ne.jp/asahi/voce/home/MameChisiki/Tyouritu.htm

調律法についてのページ

 

 

質問の蛇足ですが:

この倍音の話をすると、最初の質問のときにお話した、baroque時代にはg mollのメヌエットをF Durとして表示する事が多かった。という、意味が分かってきます。

 

何故ならCを基音にした倍音上にはシの音ではなく、限りなくシ♭に近い音が響きます。ですから、当時の作曲家にとっては導音は調本来の音ではなくって、派生した音(私達は導音処理された《引き上げられたhebenされた》音という言い方をします。)として捉えていたのです。

しかし、g mollをFの調で書き表した場合には、逆に第6音が引き上げられた形になります。これを通常「ドリアの6度」と呼び、後のロマン派の時代にもChopinなどの作曲家達がMazurkaなどの曲に民俗性を出すために使用していました。和声学上では、moll Dur(和声的短調)やDurmoll(和声的長調)にその片鱗を見ることが出来ます。


次の譜例は、私が編作曲したGreensleevesのsoloのpartです。
日本人の人達には、チョッと異質な感じに聴こえるかもしれませんが、この曲は民族音楽なので、doria調として演奏される方がoriginalなのです。




この曲は、最初、学校教材用として、慣習的にd mollで書かれていましたが、本来はC Durのdoria調として書かれるの正しい書き方になります。
その場合の2小節目の4拍目の裏のシナチュラルは、doriaの6と呼ばれます。
5小節目のミ→ド、ラのドの音は、一般的には、ド#になる事が多いようですが、上記のBachのMenuetと同じように、本来的にはdoナチュラルの音の方が、doria調としての自然な音になります。
最後のdo#は導音処理された派生された音となります。

Greensleeves to a ground in C Dorisch 芦塚陽二作曲Cembalo補正version - YouTube

皆さんご存知のGreensleevesなのですが、原調のC Dorischで演奏しています。
と言う事で、日本の教科書に掲載されている一般的な二短調の調性に従った例を参考までに載せておきます。


私にとっては、この調性のあるversionの方が不可思議に聴こえてしまうのですが、日本人の場合には、こちらの方が慣れ親しいのでしょうねぇ???

これはdoriaの6と言われる音なのですが、Chopin等もMazurkaやPolonaiseでは民族的な音を多様しています。
後は有名な所ではPhrygiaの2度とかAeolianの7度とかですかね??