
教室にある positiv organが出来るまでの経緯のお話

私が日本に帰国して間もない頃には、私自身は子供達を指導する事はありませんでした。
その頃は私は大学の講師をする傍ら、私の弟子達と一緒に教会でcantataの演奏活動をしていました。
ちょうど、その頃のお話なのですが、当時、板橋にあった兄貴の家からの帰り道を、板橋区の川辺をブラブラと歩きながらの江古田教室までのお散歩をしている時に、偶然、Organの工房を見つけて、その場で、工房に立ち寄って工房の中を見学させて貰いました。
その時に社長の黒田さんとも親しくお話が出来て、当時cantataの演奏で色々な教会を回って演奏をしていた話に及んで、当時は殆どの教会には、本物のpipeorganがなくって、それこそ黒田Organという電子Organが、日本の教会の主流のOrganでした。
当時はpipeorgan自体が日本には未だ殆ど無くって、ましてや、小型の positiv organは皆無だった時代なのです。
そこで、工房の人達に私のimageする「 positiv organ(小型Organ)」の中でも、更に小型で、携帯が出来るpipeorganのideaを色々とお話した所、工房の人達から、「それは面白い!」と賛同をして貰って、仕事としてではなく、趣味の延長として、材料費だけで作って貰ったのがこのOrganです。
材料費とは言っても、pipeorganのpipeは日本では作られる事はありませんでした。
という事で、ドイツのpipeorganでは歴史のあるmakerであるKreis社に依託をして作成して貰いました。
ドイツでOrganのpipeを作って日本に輸入するだけで、膨大な金額が派生したのですが、流石にそれは私の自腹です。
Organのpipeは鉛と錫の合金・・所謂、半田で出来ているので、熱やサビに極めて弱いので払いには細心の注意が必要になります。
まあ、一般の人がpipeにふれる機会は全く無いと思われるのでそういった事故は一般的には起こってはいませんが・・。
その時に私が提案した色々なideaなのですが、例えば、標準の8feetでは、pipeの長さがこの倍になって、大変な重さになるのですが、閉管にする事でpipeの長さを半分の長さにしたり、本体部分と左右のpipeが分割される・・とか、関西にも対応出来るように肺の部分に弁を用いて、pitchの変化を一定にしたり、・・とかの30数項目のideaを出して、それを工房の人達に叶えて貰いました。
baroqueのsoloの楽器の伴奏に・・とか、20名ぐらいまでの編成のbaroque-orchestraのcontinuoの演奏用に、制作された、或る意味では、夢のpipeorganです。
男性が二人いれば、キャラバンで運ぶ事が出来て、全国の電圧に対応しています。
この positiv organの実際の音は下記のYou Tubeのurlから、聴く事が出来ます。

曲は、Veraciniのpassacagliaという大変長い曲なのですが、出版されている楽譜はCembalo用の楽譜なので、私が positiv
organ用に、新しく作り直したものです。
斉藤先生の演奏では、最初はbaroque‐violinで演奏する予定だったのですが、Organを置いてある教室が狭いので、Organとbaroque‐violinの音量の関係で、今回はbaroque-Violinでの演奏は諦めて、modern-Violinでの演奏になっています。
教会等では positiv organの設置位置と演奏者の奏く位置がだいぶ離れているので、baroque-Violinでも音量的には、大丈夫なのですが、狭い教室の中では、pipeOrganの音量が強くなり過ぎるので、録音のために已むをえずmodern-Violinでの演奏に変更しました。
Veracini passacaglia original‐version Realization of the continuo by Ashizuka18年8月10日Probe - YouTube
私の制作したpipeorganなのですが、
半音の白い鍵盤は今はもう国際条約で禁止されている象牙です。
Organを制作した当時は、未だ国際的に禁止されていなかったので、本物の象牙の鍵盤です。(本当の本物・・というのは、今では本物と見紛うばかりの合成されたimitationの象牙の鍵盤が売られているからです。)
次には、少し見えている譜面台も、移動や演奏しない時には、pipeの所にカバーを取り付けるので、仕舞う時には譜面台は取り外します。
鍵盤数は4octave半の8feetなのですが、私としてはCから更に下の方にH⇒B⇒Aと3本欲しかったのですが、下の低音の管を足すのは経済的にも、重さ的にも無理で、高音域をFまで広げる事にしました。
大きな7本のpipeは、pipeを楽器本体に取り付ける時の重さのbalanceを取るために、重量級の3本を左側へ、残りの4本を右側へ取り付けました。
勿論、移動の時には、両側のpipeを取り外します。
pipeの長さは管の太さでどうにでもなりますが、一応は目安となるpipeの長さがあります。
pipeの出す音の標準のpitchの事を8feetといいます。
8feetはbに換算すると、243.84cmなので、通常のpipeorganのように、そのままの長さで標準1列のpipeorganを作ると大変な重さと大きさになります。
理論気柱と言いますが、弦はちょうど半分の所で2分割をする事が出来ます。
それを利用して、半分の所で閉管にする事でpipeの長さを半分にした・・というideaです。
実際のpipeorganで、閉管のpipeorganを見た事は、私は無いので、このideaは独自のものであると思っています。
でもEuropaで探すとどっかにありそうだよな??
この positiv organは、まるでrecorderのような木管系の音を出しますが、これはcontinuo‐Organとして、弦楽orchestraの音に溶け込むように、・・という私の希望なので、金管の音やナザート系の音を作る事も出来るのですが、日本では希なcontinuo‐Organとして、弦楽器に最も良く溶け合う木管系の音にしました。
一般的な よく見る事の出来るpositiv organとしての小型のpipeOrganです。

positiv organの positivという意味は、小型のOrganという意味で、教会のmainのpipeorganに対して、ensemble用のsubのOrganという意味です。
私達の教室でもよく初歩の生徒が演奏するMozartのkirchensontaもこの小型Organのために書かれています。
この写真は positiv organですが、鍵盤は1段しか無いので、 positiv organでも小型の楽器の分類になります。
写真にはstop(register)が6個も付いているようなのですが、pipeの数がそんなに多くは無いようなので、音列のstopだけではないと思えるのですが、一台一台手作りなので、仕様は分かりません。
音楽大学等ではもう少し大き目の、鍵盤が2段、若しくは3段で、足pedalの付いたOrganをOrgan科の学生達が練習用の楽器として使用しています。
2段鍵盤の場合なのですが、1段目は8feetとoctave上の音の4feetで、もう一段目の鍵盤は8feetが一般的なbaroqueのpipeorganになります。
その場合には、16feetは足pedalで演奏します。
positiv organの場合でも、2段鍵盤や、3段鍵盤の場合にも、大型のpipeorganの場合には、下の鍵盤が8feetと16feetを持って、上の鍵盤が8feetと4feetの音列を持つ事もあります。
その場合には、pedal鍵盤は、32feetになるのが普通です。音楽大学の positiv organの場合なのですが、Organとpedalの下を、anacondaのように大きな32feetのpipeがうねっていて、チョッと気持ちが悪かったよな??
この巨大なOrganとpedalの下を大きなpipeがクネリながらドグロを巻いているのだよな??
二段鍵盤でも一段の場合でも、8feetの管が2列ある場合には、上鍵盤の8feetの音列の一列はrecorder系の木管の柔らかい音色で、下鍵盤のmainの音列の、もう1本の8feetは金管系の強い音色にする方が一般的です。
写真は古典楽器センターからの写真です。

参考までに、左側の写真は、2段鍵盤の典型的な positiv organです。
Europaでは小さなchapelでも、これぐらいのpipeOrganは置いてありました。
教会でもProtestantの教会は、家庭を想定しているので、leadOrganが一般的ですかね??
Organが重要な宗教行事として必要になるのは、katholiekの場合なので、日本の場合には、未だそれ程のneedsは無いのかも知れませんよね??
宗教の事に関しては、私は一切口をつむぐのが建前なので、これ以上は positiv organと教会音楽についての話はしない事にします。
日本に帰って来たばかりの頃に、弟子達と教会まわりをしてsolo‐cantataを演奏して回ったのですが、 positiv organが出来たのは、もう教会まわりをしなくなった頃の話なので、実際にはcantataでは使用していないのですよ。
残念な事ですが・・・
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