この作業を生徒が自分自身でやる事が、chopinの筆跡を辿る事であり、構造分析のtechnicを学ぶ最初の練習になる事なのですよ。
つまり、計算問題的な、練習題は使わなくても、現実の曲を研究する中で、そういった手法の勉強は出来るのですよ。
和声学や対位法といった、勉強は音楽大学に入学しても、授業の中では中々習得が出来ない難しい教科である。その理由は、どちらかといえばマンツーマンでしか習得出来ない勉強だからである。
しかし、音楽を理解するのに、和声を知っているのと、知らないのでは、音楽に対しての理解が基本的に違う。
私が音楽大学の学生であった頃の、私の最初の生徒達への和声の指導は、結構、ハードなスパルタ式で、300題の問題を3ヶ月で、3往復するというハードな指導だった。
和声学では、確かに、仮に問題を完璧に解いたとしても、最初の1回目は、問題を解く事だけで、必死で何も分からない状態なのだが、2回目、3回目と、問題を解く速度も速くなって、1回目に分からなかった問題の理由や意味も分かってくる。
つまり、最初は300題を解くのに、1月半も掛かったのに、2回目には1月で、、3回目には2週間で全問を解答する事が出来るようになるのだ。
しかし、この方法論は、スパルタに耐えられる昔の生徒達にのみ有効な手法で、今の教室の生徒達には元より、今の音楽大学の受験生に対しても、スパルタ過ぎるようだ。
今の生徒達は、兎に角、甘ちゃんだからね。
と言う事で、全く和声学としての理論を指導しないで、単なる4声体の聴音として、生徒に課題を解かせる事にした。
先ずは、3和音の和音番号を音色として、理解させる。
最初は、主3和音、次は副3和音を加えて、それにkadenz、所謂、終始型の色々を同時に指導した。
何の和音かを指摘出来るようになった段階で、終止型の課題を4声体の聴音と平行して指導した。
X度の和音からT度の和音で終止するのが、完全終止、X度で終わるのが半終止、Y度で終わるのは偽終止、所謂、trick終止とも言いますがね。
W度からT度に終止するのが、アーメン終止、又はプラガル終止、教会終止とも言う。
T度上の6の和音で終止するのは半終止、U度上の和音からV度の和音で終止するのをフリギア終止・・・等々、限がないけれど、これ等はペーパー上の和音として、理解しても全く意味はない。音として、理解していないと、実際の曲の時の応用は出来ないのだよ。
そういった和声のkadenzの課題を、Pianoの音だけで(耳だけで)解答出来るように訓練した。
楽典が一般の音大生にとっても難しいのは、この和声に対する理解がネックになっているからである。
だから、楽典や和音聴音と一緒に和声も指導してしまえば、生徒の理解も簡単だし、楽なのだよ。