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しかし、この譜面がこのように演奏される事はありません。
通常は、次の譜面のように演奏するでしょうね。
当然、auftaktなので、upから演奏します。

参考までに:Maurice Gendron版です。(全音からも出版されている版です。)
1小節目の頭の拍のdownを活かすために、最初は弓を切って、down、upと演奏しています。


bowの確定のさせ方は、そのbowでなければならない絶対的なbowを探す事です。
その絶対的なbowから、逆にbowを探していき、最初のbowがどうで、なければならないかを判断します。

Bachのfacsimile版では、2小節目の頭の拍はdownである事は確定なので、1小節目4拍目のCはupでなければなりません。
その場合には、最初のauftaktをupから始めるか、Gendron版のように、downから初めて、(但し、1小節目の2拍目は楽譜通りに切って、3拍目、4拍目をupにする方法が有ります。Gendronのように、1小節目2拍目をslurにするのは、period奏法的には「頂けない」・・と思います。
(以下はlessonのvideoを参照してください。)


lessonの第二点は、Bachのbowslurに慣れて来て、bowが安定して来たら、弓の弓量配分の問題に入ります。

modernbow(現代の弓)では、安定して、総ての領域にbowの力を配分する事が出来ます。
しかし、それは、指の力や腕の力による奏法であって、自然な弓の重さによる、楽器を響かせて演奏するというperiodによる正しい奏法ではありません。
baroqueのbowの使い方を学ぶには、現代のbowでは、正しい音の出し方は理解出来ません。
勿論、Lisaちゃんの場合には、period奏法を勉強しているので、自分のbaroqueviolinやbaroquebowを持っています。
しかし、これは現代bowのlessonなので、現代bowのままに、演奏します。
その場合、弓をholdingする位置を少し(baroquebowをholdingする位置と同じ位置に)上げてholdingすれば良いのです。
そうすれば、不用意なpendelstich(振り子弓)になる事を防ぐ事が出来ます。
Bachの無伴奏というgenreは、伴奏のない(Ohne Begleitung)という意味に過ぎないので、Basのmelodieがないという意味ではありません。
Bachの無伴奏は、多声部書法によって書かれています。
一つのmelodieの中に、sopranoのmelodieとBasのmelodieと、中声部の多声部によって書かれているのです。

5小節目と6小節目のphraseですが、丸で括られた音はBasのmelodieで、カギ括弧で表した音はsopranoのmelodieになります。
このpassageの一番多いphraseのpatternは、次のGendron版と同じbowslurでしょう。

facsimile版では、次のようになっています。

確かに、このphrase(slur)だと、多声部書法がよく表現出来て、上声部と下声部が分離して聴くことが出来ます。
ただ、このphrase(slur)は、余りにもeccentricなので、私は折衷案として次のbowslurで演奏させています。
芦塚versionによるbowslur: