作曲家の筆跡は、かなりしっかりと正確に書かれています。
3小節目に見受けられるように、Mozartは、slurの線が重なるのも構わないで、正確にslurを書いています。
書かれていないfigurationは、leggieroを意味するのです。
Aこのsonatineに限らず、日本人の演奏家は、前打音は、鋭く強く弾きます。しかも、この曲の場合には、sforzandoが付いているので、更に鋭く強く弾く演奏家(或いは子供達にそう弾かせる指導者)が殆どです。
こういった前打音やsforzandoは強く弾く・・というのが、日本人の常なのでしょうかね。
しかし、MozartのDivertimentoのDの有名な冒頭の前打音だけは、不思議な事に、ちゃんと、古典派のappoggiaturaとして演奏される事が多いのですが、その曲だけ・・というのは、不思議な事です。。
上記のMozartの例と同じように、拍の頭に前打音の音を合わせて少し長めに、後ろの音符よりも少し強めに、長めに弾いて、後ろの音は逆に、抜きになるようにします。
Bの16分音符は端折り目に最後の8分音符は丁寧に長めに弾きます。mezzostaccatoです。
しかし、通常の場合には、この8分音符も乱暴に鋭く切って演奏される事が多いようです。
Cの四分音符は収めの音なので、弱めに(抜きの音で)丁寧に演奏します。
Dの8分音符のauftaktは強めに入り(downstroke)の音で、次の拍頭の音は抜きの音になります。その次の8分音符のstaccatoの音も前の音と同じmezzo staccatoの長さの柔らかい音でなければなりません。
Eのturnは強めになるので、次の付点四分音符はsforzandoなのですが、際立たせのaccentで、軽やかに弾きます。
ここまでが、5小節目迄の解説ですが、実際のlessonで、説明すると、至極当然で、当たり前の演奏なのですが、こういう風に文章で書くと、大変難しい事になってしまいます。
Alberti-bassは、18世紀のイタリアの作曲家兼声楽家、Cembalo奏者である、Domenico Alberti, (1710年前後
- 1740年)が多様したという事で、Alberti-bassの名が付いたとされているのですが、別にAlbertiが作り上げた演奏法という分けではありません。Albertiはbaroqueと古典派の過渡期の時代に活躍した作曲家です。
この時代では、orchestraや室内楽の奏法と、Cembaloやforte-pianoの奏法には、差はありませんでした。
という理由から、baroqueのCembalo曲や古典派のforte-pianoの奏法を勉強するためには、弦楽器の奏法を知ることが大切な事です。
Alberti-bassも弦楽器にとっては、とても簡単な奏法である同音連打の(弦楽器では通常刻みと言いますが)奏法が、Cembaloやforte-pianoにとっては、とても難しいし、不自然な奏法になってしまいます。
下の譜例は、sonate albumの10番Clementiのsonatine Op.36Nr.4の冒頭の5小節目を、violinとcelloに置き換えた物です。