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つまり、この曲は小節として、8小節、10小節、8小節と分けると、すこぶる、割り振りが良いのであるが、残念ながら、最初の段落は12小節で女性終止をしています。
だから、そこまでが、1部だと考えた方が妥当であります。
そうすると、2小節と、1小節+1拍が前の小節のrefrainで、纏めのStollenが次の2拍目の裏から次の小節の2,3拍、またrefrainされて、2拍目の裏から、次の小節の1、2拍でrepriseのイントロのpassageに繋がります。
ようするに、中間部は僅かに6小節しかないのです。

そして、repriseなのですが、譜例:10の比較譜でも良く分かるように、いたる所の小節が省略されていて、repriseの小節の正味の数は8小節しか過ぎません。

だから、纏めると、

A=12小節

B=6小節

A′=8小節 という歪な形の3部形式であります。

T楽章やV楽章が短いので、U楽章だけを、12小節単位の正式な3部形式を持ってくると、U楽章だけが36小節となり、とてもU楽章だけが重くなりすぎるのです。

小節数は、T楽章やV楽章と変わらないかもしれないが、tempoが遅いので、正規の3部形式を持ってくると、U楽章の演奏時間は、T楽章の倍以上の長さになってしまいます。

だからといって、8小節単位の3部形式では、曲想的にお粗末になってしまうでしょう。

という分けで、こういった場合のHaydnやMozartもよく使う技法なのだが、なるべく曲の内容は削らないで、演奏時間だけを短くして、縮めるための特殊な作曲技法なのですが、その場合には、audienceが曲の形式が歪な事を感じさせないように、あたかも、8小節、10小節、8小節のバランスの良い理想的な3部形式に見える(聴こえる)ように、上手に錯覚を利用して作曲されているのです。

前後の楽章に対して、第二楽章が長くなり過ぎて、sonatineとしての、全体のバランスが崩れるのを防ぐための、優れた作曲家達の常套手段であります。
凄いでしょう??

 

V楽章

 

昔々私が持っていた、楽譜にはこの曲はrondoと書いてあったように記憶しています。

(フランス語ではRondeau(ロンドー)と伸ばすのかな??)

私が子供の頃には、小学校や中学校では、rondoは輪になって踊る、とても速い速度の曲と習った。という事で、rondo形式は単純(小)ロンド、と大rondoがあるとも習った覚えがあります。

単純(小)rondoは、ABACAの形式で、大rondoはABACABAの形式を持ちます。

大rondoもさらに、大規模になると、ABA-CDC-ABA-Codaを持つ物も現れてきます。

こうなると舞曲の範疇ではないよね。

舞曲なら、当然tempoやrhythmが問題になるはずなのだが、その話もありません。

拍子も2拍子系なのか、3拍子系なのか、よく分からない。調べれば調べる程、深みに嵌って分からなくなってくる。
こればっかりはbaroquedanceを調べてもよく分からない。

歴史も古く、中世、ルネサンス時代からrondoは存在したらしい。
Baroquedanceはそれでも新しいLullyやCouperinの作品で見ることが出来ます。

本来はRondeauというのは、中世の詩の形式から来ているそうです。
詩の韻律の事らしいのです。。

とどのつまりは、形式の話だけで、後の事はよう分からんという事らしい。

という事で、何時の間にか、rondoというtitleはなくなってしまったらしいので、話を先に進めるとして、・・・・

 

話をClmentiのV楽章に戻して、構造を分析すると、

最初のthemaがA=(a+a’)の4小節+4小節の8小節という事

次が困った事にまたAでpがfになっただけの、kleinigkeitの変化である。
当然、同じ8小節

次のBの8小節はやはり定石通りのB=(b+b’)

それで、その次の4小節は、新しいmelodieに、b’の後半のmelodieがくっついた形と繰り返される新しい、前半のpassageに繋ぎの2小節+2小節がまた合体して伸びたような型をとっている。

文字で書くと、非常に分かりにくいのだけど、譜例を見ると一目瞭然である。

常に2小節は同じで、次の2小節は新しくなっているのだが、その場所が毎回変化する。

それが単純なVariationをより複雑なものにしている。

つまり、1と2は、前半の2小節が同じで後半の2小節が変化する。

2と3は、後半の2小節が同じである。

b+b’=4小節, c+c’=4小節 となる。

譜例:

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