3と4は、前半の1小節が同じで、4の最後の小節は、直ぐに移行樂節に入っている。
譜例:譜例は最後の小節から移行楽節です。
(所謂、つなぎよ!つなぎ!)
その後は定石通りにthemaA, A’がrepriseされる。
そこ迄は何の問題もないが、変った事に、その後、更に、Bがrepriseされるのであるが、上記の譜例を使って説明すると、Bは1番から、2番を省略して、3番に進む。
しかし、省略したことは、転調楽節を飛ばしたという事なので、(というか、2番がその転調楽節なので)3番は主調のハ長調でrepriseされる事になる。
2,3が2回繰り返されて、最後のCodaの5小節に入る。
Bから、themaのreprise迄は、つなぎのpassageも入れて18小節なのだが、repriseの後で、繰り返される、Bは4小節省略されて、更につなぎの2小節もないので、6小節省略されているのだが、最後に4小節のCodaが入って来るので、都合、20小節となって、完璧なbalanceをとっている。
このV楽章の構造式を纏めると、
A(8小節)+A‘(8小節)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・都合、16小節
B(b+b’の8小節)+C(c+c‘)の8小節+つなぎの小節(2小節)・・・・・18小節
RepriseのA+A’・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16小節
(b+c”)4小節+4小節と(b+c”)4小節+4小節・・・・・・・・・・・・・・・・・16小節
Coda4小節・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4小節
という小節割で各小節のbalanceをとっています。
以上が、Clementiの簡単な構造式(bauplan=設計図)のお勉強でした。
これで、この曲が簡単に(kinderei)に作られている、なんて言う人はいなくなると思いますがね。
もしも、そんな不遜な事を言っているpianistやPianoの先生がいたら、このClementiのbauplanを説明してみて、この曲の作曲技法が理解出来るか否か・・を、尋ねてくださいね。そうしたら、もうこの曲をkindereiな作品だという事は、二度となくなるでしょうからね。