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年代的に見てもMozartも幼少時代は、Cembaloを主に演奏していたはずなのです。
モーツァルトは1777年(20歳の時??)にシュタインの工房を訪れ、彼のピアノに強い感銘を受けた。
しかし、シュタインの楽器は余りにも高価だったので、モーツァルトは、シュタインのピアノを購入することを、諦めざるを得なかった。
モーツアルトは、1781年(25歳??)にウィーンに移り住んだが、1782年頃に、アントン・ヴァルターのピアノを買った。
今現在、この楽器は、ザルツブルクのモーツァルト博物館に残っており、実際にモーツアルトが奏でていた、当時の音を聞くことが出来ます。
Haydnは、Mozartよりも、年上の作曲家なので、当然、言葉の母国語に相当する楽器は、Pianoではなく、Cembaloの時代の人です。
しかし、forte-pianoの改良に伴って、段々、CembaloからPianoへ基本の楽器を移行することになります。
Haydnの1790年の手紙に、「私はCembaloを弾く習慣をなくしてしまった。」という、一節があります。
勿論、その前後でHaydnのsonate等のPianoの曲の作曲の様式は、forte-pianoのstyleに著しく変化します。
皆さんがよくご存知のsonatealbumに、掲載されているHaydnのsonateですが、第20番、35番~39番は1780年にWienのアルタリアから、Op.30として出版されました。表題は<クラビチェンバロ、またはフォルテ・ピアノのための6つのsonate>です。
sonatealbumのⅠ巻の1番から5番迄が該当します。
まだ、Cembaloの色彩が色濃く出ている作品で、Cembaloの奏法で演奏したほうが効果的です。特に、5番のホ短調はHaydnが晩年作成した自作のカタログには<Cembaloのためのsonate>と明記しています。
次に、sonatealbumのⅡ巻の17番に載っているsonate 49番変ホ長調は、1789年から1790年にかけて作曲され、1891年アルタリアより作品66として出版されました。
マリアンネ・フォン・ゲンツィンガー夫人に献呈されているが、献呈に際しての手紙が残っています。
「・・・・けれども、あなたが、シャンツ製のforte-pianoをお持ちでないのが残念です。もし、それで奏くことが出来れば、効果は2倍にする事が出来るでしょうに。」
ということで、Haydnはforte-pianoの性能を最大に活かして作曲したと言えるでしょう。
ランドフスカ女史は1790年を一つの区切りとして、それ以前の作品をCembaloで、それ以降の曲をforte-pianoで録音しています。
つまり、これは一つの目安で、Cembaloからforte-pianoに移行する時期は1790年から95年ぐらいの間が妥当な感じでしょうね。
次は、forte-pianoからdouble actionのPianoへ移行する時期が次の目安ですが、BeethovenやChopin、Liszt等の作曲家の話を聞く限り、彼らが生前は未だsingle
actionのPianoを愛用していたので、現代のdouble actionのPianoに移行するのは、19世紀の後半に至っても、未だ曖昧なのですよね。
弦楽orchestraでは、baroqueや古典派の奏法をthemaにして、オケ練習をしています。
baroqueや古典派の時代は、弦楽器の時代とも言えるので、作曲の音楽表現は、弦楽器に準拠していました。その結果、オケ練習でのlectureが、どうしても、弦楽器のlectureに偏りがちなので、Cembaloのconcertoを何曲かを、curriculumに組み込みましたが、それではbaroqueの時代になってしまうので、古典派の奏法を・・・、という事で、ひかりちゃんに関しては、少し、専門的で高度なTechnikなのですが、従来の教室のピアノのconceptとは違ってしまいますが、curriculumを変更して、Mozartのkirchensonateや、concerto等の古典派の作品をcurriculumの中に組み込みました。
それから更に、j.c.Bachや、Emanuel Bachの作品に挑戦して、古典派のleggiero奏法、所謂、forte-pianoのtouchに挑戦する事にしました。
参考までに:MozartのPianoconcerto k.107 G
You Tubeではなく、論文のPageです。
You Tubeへは以下をクリックしてください。
Mozart Pianoconcerto k,107 G
子供達に、正しいforte-pianoのsingle actionのtouchを、実際に指導するために、安いforte-pianoを購入したい・・・と何度も挑戦し直してはいるのですが、何度チャレンジしても、どうしてもforte-pianoが高価過ぎて、手に負えません。
forte-pianoの歴史を、調べていたら、ちょうど、私が昔、所有していたReiseClavichordのような楽器で、Reiseforte-pianoを、当時の貴族達が持っていて、その楽器も今、現在も博物館や資料館等々で見る事が出来る、という事を知って、「そのれなら、鍵盤数もそんなに多くはないので、そんなに高くはないのでは??」という事で、古典楽器センターの佐藤さんに電話をして、「forte-pianoの出物はないか?」と、問い合わせてみました。
結論は、目下、forte-pianoは、通常は650万ぐらいはするそうで、Cembaloの、復刻が始まった、ちょうど、今から40年前の黎明期の状態で、手間暇を考えると、そういった小型のforte-pianoを制作する技術やコストも、大型の高価なforte-pianoを作る手間も、同じぐらいの時間と労力がかかるそうで、それなら、安い小型のforte-pianoを作るよりも、大型のちゃんとした高価な楽器を製作した方が良いということで、最初から作られていないそうです。ましてや、Reiseタイプの珍しい楽器は中々、需要がないので、最初から作られていないそうです。
往年の昔のCembaloのように、ノイペルトや他の大手メーカーでも、forte-pianoのような楽器は、Mozart-Flugelという名前で作っていて、それでも300万以上はするそうです。
今現在は、本当の意味で、音の良い、性能の良いforte-pianoは、未だ、作られていないそうで、2014年現在ですが、ちゃんとしたforte-pianoを購入するには、後、15年から20年程は、待たなければならないそうです。
当然、楽器自体が、未だに完成していないのだから、forte-pianoの奏者も、今現在は、いないのは、当たり前で、楽器がないから、演奏家が育つ分けはない・・というのは、当たり前のお話でした。
という事で、ひかりちゃん達に、forte-pianoの正しいtouchや、色々な古典派の独特の奏法も、もうしばらくは、double actionの、超重たい、現代のgrandpianoで練習する他は、仕方がありませんよね。
でも、私が最初にBeyerから指導した、女の子は、Mozarttouchのleggiero奏法で演奏していました。
音大の先生達からは、「音はとても綺麗なのだけど、音量が弱いのが・・・」と、批判されて、「違うよ、他の音大生の生徒達よりも音量は強いのだよ。」とエコライザーの画面を示しながら説明したのだけど、音だけでなく、頭も硬いのよね。
幾ら言っても、音の強さと、音色の関係は理解出来ないようでした。
もし、音大の先生が室内楽でも勉強をしたのならば、比較する楽器との落差で音量の問題は、ある程度は理解出来たはずなのですが、音大の先生でorchestraとensembleをしたり、室内楽の演奏をしたりする先生は、皆無なのでね!!
要するに、音の遠近感と音色の問題で、汚いキンキン・キャンキャンした音は、人間の耳には強い音量に聞こえてしまうのですよ。
あの柔らかで美しいハープの音は、とても弱く聞こえますが、本当は、大orchestraの音量を、一台のハープで支える程、音が強いのですがね??
そういった事は、日本では知られていない事だし、音大の先生に説明するのは、尚の事無理だという事が、よく分かってから、その後は、Mozartのtouchでは、一人も育ててはいません。
諦めたのよね。
つまり、今回のひかりちゃんのMozartーtouchも牧野先生が指導している分けなのでね。
touchが出来上がるまでは、見せかけの音の弱さではなく、本当に弱いtouchを辛抱しなければならないので、結構、先生の度胸が必要なのよね!!
しかも、今回の発表会で面白い事は、setting係がPianoの蓋を開け忘れたので、本当はproのpianistでも、orchestraの音よりも、音を強く弾く事は難しいのに、ひかりちゃんが普通に弾いて、ちゃんと音が出ていると、不思議な事に、backのorchestraのお姉さん達の音が弱く聞こえてしまうから不思議なものですよ。
本当は、日本の音楽大学の学生達よりも、2倍も3倍も強い音が出ているのですがね・・・???
アハッ!
追記:
この文章を書き始めてから、既に30年以上経っています。
とは言っても、30年間この文章を書いている訳ではありません。5年に一度、10年に一度、見返して、もう一度書き足す・・という意味です。私の所謂、「怠け者の仕事術」という分けです。
こういう事が出来るようになったのは、ワープロやパソコンのおかげです。手書きでこんな事をやっていては、幾ら勤勉な私であったとしても、そりゃ無理ですよ!伝兵衛さん!!
この文章を書いているのは、2014年の6月ですが、驚いた事に、You Tubeでサーフィンをやっていると、何と、何とJ・C・BachのPianoconcertoや、他のforte-pianoの曲の演奏で、音の綺麗な演奏が出始めたのですよ。
というか、昔のような音の汚い演奏と、綺麗なforte-pianoの音の演奏が、半々迄は流石に行きませんが、3分の1ぐらいには、なって来たようです。
嬉しい驚きです。
こうして、forte-pianoの正しいtouchが、一般的になっていけば、時代がやっと追いついて来た事が周りにも分かるようになるのでは???と、思っています。
否、それは甘いか???
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