La folia

 

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la foliaとは 

la foliaの起源

参考までに

Greensleeves

chaconneとla foliaについて


la foliaとは

la foliaとは何ぞえ??と云う質問をされることがよくある。

la foliaと言えば、かの有名なArcangelo Corelliのヴァイオリンのためのla foliaが知られているので、corelliのla foliaがfoliaの代名詞のようになっています。

Arcangelo Corelli

という事で、教室で他の作曲家のla foliaを選曲すると、「えっ!?la foliaって、corelliのヴァイオリン曲の曲名だったのではなかったのですか?」と尋ねられてしまう。
そして、逆に「何を持ってla foliaと言うのか?」という質問を受けてしまう。

しかし、そういった勘違いは、私達の身の回りの話であるという話ではなく、世界中、昔々から、結構、一般的な勘違いの話なのです。
とどのつまり、昔から世界中で、corelliのfoliaがfoliaの代名詞となっているので、多くの有名な作曲家達が、自分で作曲したfoliaに「la foliaの主題による・・・」という名前ではなく、「corelliの主題による・・・」と、副題を付けています。



注)上の文章は分かりにくいので、補足説明をしておきます。

baroqueの音楽が忘れ去られて、baroqueの優れた作曲家達だけではなく、当然、 foliaという音楽の形式さえも忘れ去られた後も、corelliのla foliaだけは有名だったので、la foliaはcorelliの代名詞のようになってしまい、一般には「la folia」というと、「corelliの作曲した曲の名前」のように思われてしまいました。

しかし、あの有名なla foliaのthemaの8小節の低音が前半と後半に繰り返されて、16小節のmelodieを構成するBassfuhrungの動きも、4小節の下行低音が2回繰り返されて、themaを構成するchaconneの通奏低音のBassの動きも、15世紀から伝承されてきたもので、corelliのoriginalのthemaではないのです。

だから、「コレルリの主題による・・・」というのは、本当は誤りになります。
では、何処で、corelliの作曲というのか??
それは 定められたthemaに従って、Variationを作曲します。
そのVariationがそれぞれの作曲家の作品になります。
baroqueから前古典派の殆どの作曲家のla foliaの作品がありますし、しかも一人の作曲家が沢山のla foliaを作曲しています。
(人によっては、foliaではなく、chaconneで作曲をしたり、passacagliaを作曲したりしますし、 foliaやchaconne、passacaglia、ground等のthema(cantus firmus in Bass)等の、その全てに渡って作曲している作曲家も多いのです。

勿論、作曲されている楽器は、violinの作品だけではなく、当然Cembaloの作品や、cello、それにorchestraの作品も数多くあります。

それどころか、baroqueや古典派の作曲家だけではなく、全ての音楽の歴史に於いて作曲され続けています。
近代ではRakhmaninovのVariations on a theme by CorelliというPianoのための作品が有名ですよね。

通常、変奏曲というジャンルの曲は、melodieがthemaになって、色々なVariationが展開されるのが一般的です。

しかし、baroque時代には曲のmelodieではなく、低音のbassmelodieとbassが持っている和音の響きを持ってthemaとする曲の方が、数多く存在しました。
それは、baroque時代の作曲法の基本がbasso continuo、所謂、通奏低音という作曲技法の上に作曲されていたからなのです。

注)通奏低音とは、低音楽器(例えば、celloやBass gamba)の譜面上に和音を指示する数字を書き、それを見てCembaloの奏者が、右手の和音やmelodieを即興で演奏した事によります。
下の譜面は上の写真のArcangelo Corelli作曲のla foliaのoriginalの譜面です。
上のpartは勿論、violinのpartですが、下のpartはcello、(若しくはビオラ ダ ガンバ《viola da gamba》)で演奏します。Cembalo奏者は、celloのpartの譜面を見ながら下の数字に基づいて、右手の和音やmelodieを即興で演奏します。
また、通奏低音に基づいて作曲された楽譜は、通常は作曲とは言わないで、Realisationという言い方をします。訳語はないので困りますが、現実化、実現化という意味なので、ストレートに演奏譜という言い方をする人もいます。



Bassのmelodieの下に書かれている数字に従って右手を書き加えた譜面です。
所謂、Realisation譜です。本来的には上記の譜面で、Cembalo奏者が即興で右手を加えて演奏しました。
jazzのコードの演奏法と似ていますが、音の動きはもっと楽典的に縛られて自由さは限定的になります。
禁則も色々と多いしね・・・!!



下記の譜面は、本来のcello(viola da gamba)の数字付きのpartです。
前半の8小節の(定旋律)のmelodieです。
しかし、誰が演奏しても、正しく数字の指示に従って演奏すると、上記の譜面と殆ど同じになってしまうのですよ。
だから、通奏低音上に右手の音を加えても作曲とは言わないのですよ。Realisation譜=解釈譜にしか、ならないのです。
つまり、これはある意味、作曲家の速記法だったのです。右手(Cembalo譜)を書く煩わしさを逃れるためのね。
アハッ!

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