前ページ


ritornelloの形式について

さて、kadenzのお話から、離れて、この曲の形式についてのお話ですが、この曲もbaroque時代の音楽の様式通りに、ritornelloの形式で作曲されています。

その形式はすこぶる単純で、A⇒solo1⇒B⇒solo2⇒C⇒caprice⇒dという型であります。



solo1はボッティチェッリの美しい絵を思わせるような華やかな呼びかけのpassageで始まる。Vivaldiの「春」を彷彿とさせるtrillは美しい。

soloの冒頭の、呼びかけるようなphraseは、melodieが滑らかになるように、細心の注意を払って、演奏しなければならない。
特に、この譜例の4小節目のソの音は、長い弓と長い弓に挟まれて、単音のソの音を弾かなければならないので、特に注意が必要である。
このphraseは、104小節目から下の譜例のように、少しだけ形を変えて表れるが、melodieの表情も、呼び掛けるようなimageから、極めて小さな装飾の変化だけで、哀願するような切々とした表現に変化するのは、作曲上見事なtechnicである。

次ページ