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ritornelloのTakt63からのreprise B に関しては殆どA をそのままに反復されているのであるが、唯一最後の3小節が省略されている。
ritornelloのthemaA が31小節だったのに対して、当然、Bは28小節しかない。また、属調のG Durが基調である。

更に、Cはオーケストラのtutti(ripieno)は145小節目から入るのであるが、ritornelloのthemaは、147小節目からである。勿論、調はC Durです。
小節数はAと同じ31小節で、通常の省略はない。(省略が無いという事が、逆に変則的である。
他のLocatelli の作品と同じように、basso continuoはorchestraのsoliで伴奏されるのも、特徴的である。



 appoggiaturaとacciaccatura


baroque時代の音楽や、古典派の音楽では、音符を装飾音として書き表す事が多い。
次の譜例はMozartの有名なトルコ行進曲の冒頭の部分である。

装飾音には、前述のappoggiaturaアポジャトゥーラとacciaccaturaアッチャカトゥーラの2種類がある。
上記の二つの例は、いずれも、長前打音(打ち消し線strichのはいっていない前打音)所謂、appoggiaturaの例である。
この装飾音の場合には、音符は次の音符の価で等分割される。(短く装飾音のように奏される事はない。)
私の持っているヴィルヘルム ケンプのトルコ行進曲では、この曲を短前打音として鋭く短く演奏しているが、それは全くの誤りである。
この書法は、baroque時代には、basso continuoのCembalo等の楽器が即興で伴奏の右手の和音を入れていたので、その本来の和音が見やすい(分かりやすい)ように、そのpassageの和声の中に入らない、拍頭の非和声音を、倚音として装飾音で書き表したものである。
Mozartの時代には教会音楽のcantataやOperaを除いては、Cembaloのbasso continuoが入る事はもう時代的には無かったのだが、作曲上の慣習として、Mozartは未だ、appoggiaturaを書法として用いている。
だから、この装飾音として書かれた音符は、全く装飾音としての意味は持たないのだ。
という事で、慣習的にはappoggiaturaの装飾音には、打ち消し線が入っていない場合が多いのだが、それは後世の出版業界の便宜上の書き方で、appoggiaturaは長前打音で、acciaccaturaは短前打音である、といった風な明確な区別は、ない。