教室にある珍しい楽器
芦塚先生はヨーロッパ在住の時から、珍しい民族楽器などを集めていました。(勿論民族音楽のレコードなども一緒に。)しかしここではあくまでクラシックで使用される楽器に限定します。
まずぱっと目に付くのは、芦塚先生愛用のヴァイオリンとビオラです。変な形をしていますね。19世紀の終わり頃、有名なヴァイオリン製作者がヴァイオリンの改良を目指して、この形を作ったとか言うのが一般的ですが、実際にはヴァイオリンが現在の形になったバロック時代にも既に、この形のヴァイオリンはあったようです。音響的にはこの形でも問題はないようです。
ちょっと小ぶりですが、左側はビオラ右がヴァイオリンです。両方とも19世紀後半のものです。
よくこの楽器をフィーデルンという民族楽器と勘違いする人がいますが、それはヴァイオリンがフィーデルンの代わりによく使われた事に拠ります。(ですから、カントリー・ミュージックやジプシー音楽などの.民族音楽を奏く時、ヴァイオリン奏者の事をフィーデルン奏者と呼び、そのヴァイオリンをフィーデルンと呼びます。(奏している楽器がヴァイオリンであったとしても。)しかし、楽器の中にはヴァイオリンにそっくりな顔をしていても、基本的にヴァイオリンとは別楽器であるフィドルがあります。それも勘違いを引き起こす原因かも。
もう一つの勘違いの理由には、フィドルが、ヴァイオリンの原型だとよくいわれている事に拠ります。少なくとも19世紀の終わりのころまでは、フィドルから改良されて、発展してヴァイオリンになって来たと思われていたわけです。しかし、ヴァイオリンはフィードルとは基本構造が全く違っていて、とてもフィードルが改良されてヴァイオリンになったとは考えにくいのです。ヴァイオリンはある日奇跡のように完成された形で突然現れたのです。ヴァイオリンを始めて作った人だといわれている人は何処からがヴァイオリンか分かりませんから誰とは言えませんが、ヴァイオリンを今日の形に完成させた人はガスパロ・ダ・サロ、 ジョバンニ・パオロ・マジーニと後世のストラディ・バリと並び称される天下の名工アマティの名前をあげる事が出来ます。。最古のヴァイオリンの為に書かれた曲とヴァイオリン製作の資料を比較した時に、多分それ以前にはならないであろうと言うことは分かっています。
この音楽話しはヴァイオリンの歴史のお話で詳しくしたいと思います。(お話がとてつもなく長くなってしまうので。)
一見何の変哲もない楽器ですが、珍しいバロックビオラです。バロックビオラといえば芦塚先生は以前ビオール型のビオラを所有されていました。殆んどヴァイオリンと同じ大きさで裏板は平板で肩はコントラバスのように撫で肩でした。楽器屋に委託で預けていたのですが、紛失されてしまいました。
隣に置いたバロックヴァイオリンと比較してもこのビオラが如何に小振りか分かりますね。
これも一見するとなんの代わり映えもしないようですが比較のために楽譜を置いて見ました。つまり1/4サイズのビオラなのです。楽器自体は相当良い物なので、どういう子供が奏いたのでしょうかね?
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