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この例でもBachの場合と同様に、楽譜通りにペダルを踏むと、1拍目から2拍目にかけてと、3拍目から4拍目にかけて単音からのクレッシェンドが自動的に起こってしまう。音の質量感によってである。(1拍目の頭の音と3拍目の頭の音はペダルトーンが無くなるので、音が抜けてしまう。それを避けるために(一定の質量緘を維持するために、)プロの演奏家はfinger pedalを使用する。

譜例14.

finger pedalは上手になってくると、finger pedalで演奏している事を誰も気がつかないようになる。(ペダルを使用して演奏しても、或いは全くペダルを使わないで演奏しても、聴いている人達は誰も気がつかない。)pedalとは本来そうした使い方が望ましい。またBachの場合と同様に、×印のところの音は抜く事が出来るので、非和声音が和音の中には響き込んでこないので、通常のペダルと違い、とてもピュアーな響きがする。

 

蛇足ではあるが、もう一例MozartのPianoconcerto d mollのⅠ楽章の管のpartをキーボードで弾いている場合を例に取って、説明する。

譜例:

この2小節目からのfluteとoboeのlegatoはとても滑らかで美しい。しかし、それをPianoで演奏すると、この何でもないlegatoを表現するのは難しい。

 

譜例:

このpassageは何でもないpartではあるのだが、それをあたかも、2人の奏者がlegatoで滑らかに演奏しているように弾くのはキーボードでは至難の業である。

Pianoで演奏すると、1本の線に聞こえてしまうのだが、キーボードの場合にはこのpassageは次のようにfinger pedalを使用して演奏する事が出来る。

譜例:

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