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上のつなぎ部分がピッチの調節の為にあるのだということは、殆どの方がご存じだとは思いますが、下のつなぎ部分に関してはなんの為にあるのかは殆ど知られていません。

おそらく大抵の人は「持ち運びに便利だからだろう」と思って何も疑問を感じることはないだろうと思います。
しかし、下の接続部分にもちゃんと役割があるのです。
専門家なら誰でも知っているけれど、参考文献には書かれていないことが殆んどですし、もちろんそんなことは学校でも習いませんね。

実は、3つの部分に分かれているのはコンパクトに収納する為、という理由ではないのです。
リコーダーのことをドイツ語でブロックフレーテと言います。
「ブロック」と、「フルート」の2つの単語からできた名前です。3つのブロックからできているフルートというわけです。
そして、3つのブロックをつなぐ2か所のジョイント部分には、それぞれに役割があります。
上の接続部分はピッチの調節のためにあります。長くすればピッチは低くなり、短くすればピッチが高くなるわけです。と、ここまでは一般的によく知られていることですね。
日本の横笛は切れ目の無い一本の管でできていて、ピッチの調節はできません。
それに対し、ヨーロッパの笛はクエアーフルーテ(フルートの前身)にしてもどんな横笛にしても必ず歌口の部分と本体とは分離でき、ピッチの調節ができるようになっています。
ヨーロッパの笛はアンサンブルの為につくられている為、ピッチ調節は必然となるのに対し、日本の横笛は他の楽器と合わせることは非常に稀で、単独にソロ楽器として使われるのことが多い為、ピッチ調節の為のジョイント部分が無く単管になっています。
ヨーロッパの笛と日本の笛が根本的に違うのは、アンサンブルを前提としているかいないかというところなのです。

それでは、下のジョイント部分は何の為にあるのか?
何の意味もないのなら、最初からつながっていた方が便利ではないのか・・・・・…?
勿論、確かに楽器によっては下の接続部分が一体になって分かれないように出来ているものもありますが、ちゃんとしたリコーダーなら普通は3つのブロックに分けられるようになっています。
この下の接続部分は、音と音の間隔の微妙な調節をするためにジョイントできるようになっているのです。
プロのリコーダー奏者は、ピッチの調節だけではなく、下の接続部分の長さも変えることによって、微妙に音と音の幅を調節しているのです。

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.リコーダーには異なった声域に対応して様々なサイズがあります。

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