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次の譜面は、私が入りの順序を分かり易く2声部に書き直した楽譜である。
だらだらと、続いている様に見える2小節目のthemaが、シテからワキに、声部が変わるのをちゃんと奏き分けて演奏するとよい。
あたかも、生真面目なfugaのように、規則通りに、duxに対して、comesが5度上(=4度下)に書かれている事を理解出来ればこの曲を分析し、演奏する事は、然程難しい事ではない。

その次の3小節目からの重音(和音)は、分散和音のfigurationの和音を意味する。2ndのBのlongtone(保続音)は∽による基音を意味する。1stの和音のpassageが点描する音を意味する。
私が生徒達に、figurationを和音として書くのは、figurationが和音の中の音を意味するからである。
勉強型の生徒達は、このfigurationを音の粒(調の中の音としてではなく、独立した音)として捉えていて、和音感がないので、音程が非常に悪くなってしまう。
絶対音感的に音を取るので、音程が正確なように思うのだが、実際には相当な絶対音感の持ち主であっても、音のブレが大きく、音痴のような音程になってしまう。絶対音感を持ち合わせていない生徒でも、和音感の優れた生徒の場合には、こういった点描法の演奏になっても、音程がブレる事はない。

このfigurationのpassageを分析譜として、和音で書き表すと、この譜面を見ただけで普通に演奏が出来るようになる。
それが優れた和音感を持った生徒達を育てる。

また、duo譜として、書き表す事のメリットは、多声部の曲を、1段譜に書くと、どうしても、多声部のシテワキが見えて来なくなって、同じpassageのrepeatがあったとしても、一見すると、単に同じ声部上でrepeatしているように、見えてしまう。

しかし、本来はfugatoという多声部で作曲されているので、本来のfugaの姿に、声部を書き分けて見ると、一回目は1stがfigurationを受け持ち、repeatでは、2ndが、その声部を受け持つと、多声部書法が、しっかりと出て、一見すると自由に作曲したように見えるこの曲でも、意外としっかりと作曲されている事が分かるであろう。

最初は、二人で、それぞれの声部を別のpartで演奏すると、fuga形式の交唱がよく理解出来て、対話的に弾き分ける事が容易になるであろうよ。
それから、一人で、その違い(一人二役)を表現しなければならない。
但し、その奏き分けは、結構、難しかったりして・・。
先ずは、simpleに、forteとPianoで奏き分けをする所から始めるとよい。
最初のstepが、kindereiだと思ったとしても、一歩一歩からだよ。

音楽の勉強では、prideは捨てるのだよね。そこがコツ!!


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無伴奏の分析譜のlecturelesson

無伴奏は、唯、譜面通りに、演奏するのではなく、その対話の構造をしっかりと理解する事が重要である。
しかし、残念ながら、日本の音楽教育の中では、演奏と理論は、全く別の世界として把握されていて、時代考証がそのまま演奏に、或いは、音楽教育に・・反映される事はない。
こういった分野でも日本の音楽教育はヨーロッパの教育とは100年以上の落差がある。

こういった時代考証を生徒に指導する事は、然程難しい事ではない。

正しい音楽指導がなされていれば、無伴奏の演奏上の表現に対しての理解には、和声の知識すら必要はないのだよ。
(ps:「和声の知識云々・・・」  この発言は、一見すると暴論に聞こえるかもしれないが、作曲家としての立場で、本当の本音を言うと、和声の理論や、その流派毎の禁則は、その流派によるmethodeの違いで、全て異なるのだよ。
基本となるドイツharmonyと、それに対抗するFranceのharmonyでは、全く(笑いが出る程、)違う。

私達の教室が、ドイツharmonyを採用しているのは、baroque時代のbasso continuoに使用される和声法が、ドイツharmonyであり、Franceharmonyは、近代和声法なので、basso continuoの bezifferten Basに対しては、応用が効かないからである。
私の本職は、作曲家であり和声法は商売なのだから、別に、ドイツharmonyでも、Franceharmonyでも、解答をするのは、別にどちらでも、構わないのだがね。
但し、Franceharmonyを学んだからといっても、Franceの偉大な作曲家のRavelやDebussyにそのharmonyのルールの応用は効かないしね。)


私の生徒に、夏休みの宿題として、上記の私が作成した10小節の模範解答を参考にして、そのまま、先を、続けるように課題を出した。
正しい音楽の指導さえしていれば、この程度の問題は、何の困難もなく、普通に解答する事が出来る。
次の楽譜は、生徒の解答である。(勿論、最初の10小節のsuggestがあれば・・ではあるが。。。)

生徒の答案の例:

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