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Bachの前奏曲とフーガより芦塚陽二のornament譜の例:
Cembalistの条件のページより参考例:今を遡る事40年前の私が未だ音楽大学の学生であった頃のornament譜です。

ornament奏法がもっと規模が大きくなると、kadenzを通り越して、その楽章を丸々即興で演奏しなければならない事もままある。
その最たる曲が、Handelのorgelconcertoである。私の手元にあるorgelconcerto Op.4の16曲のその殆どが、Organo ad libitumと書かれているだけで、その楽章は演奏者が即興で演奏するように指定されている。Munchenの音楽大学の学生食堂で、何度か親しくお話させて頂いた事のあるKarl Richter教授は、即興の名手であり、その録音に妙技が見受けられる。

http://www.youtube.com/watch?v=QLpfa1_Aaj8

You TubeのKarl Richter教授のHandelのorgelconcerto 第X番 Fの演奏です。
この曲には、楽章に渡る即興演奏は出てきませんが、Handelのorgelconcertoではもっとも有名な曲になります。
勿論、時代的にも、一昔前のstylの演奏になりますが、baroque音楽を身近にするために貢献した一人でもあります。


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baroque時代のornament奏法
baroque音楽では、ゆっくりした楽章を、譜面通りに演奏する習慣は、(唯一の例外である日本の音楽大学を除いては)基本的に世界的にはない。

また、大Bachや、corelliのような大作曲家達は、自らの作品を「こう演奏すればよい。」と、そのお手本を私達に残している。


次の譜例は、corelliのviolinのsonate集 第3巻 Op.5のsonateT番 の5楽章である。勿論、sonateとは言っても、BeethovenやHaydn等のsonateとは違った意味で、寧ろ組曲とかいう意味に近い。この曲も全部で6楽章ある中の第5楽章である。
一番下のpartは通奏低音のpartで、cello、若しくは(本来は)viola da gambaで演奏する。
上の段は、violinのpartであるが、本来は楽譜通りに演奏される事はなく、corelliの示唆するように、装飾音とornamentを加えて演奏する。
Cembaloは、basso continuoの左手はviola da gambaのpartを演奏しながら、右手は数字に従って、和音を加えたり、和音上で、即興のpassageを演奏する。

非常にゆっくりとしたadagioのviolinのmelodieだが、実際には、即興でmelisma(日本流に言うと、「こぶし」)で演奏される。corelli本人の手による実例である。

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