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少子化の影響の性には出来ないのでしょうが、芦塚メトードで指導出来る先生が不足しているので、生徒の人数不足と先生の不足は否めないものがあります。
しかし、どんな職業でも、職人としての仕事を学ぶには、最低でも10年は掛かるように、芦塚メトードでも、芦塚メトードのspecialistと呼ばれるようになるには、10年は掛かるでしょうし、その仕事への意識を持ち続ける(motivationを保つ)には、女性としては色々と難しい問題が山積みで、弟子を養成する事が難しい状況下にあります。

という事で、各教室の生徒数の関係で、四日市の教室の場合には、ensembleはQuartettが限界ですし、千葉教室でも、専科生だけなら、7重奏、8重奏までが限界で、今回の発表会では、事実上、専科orchestraが、ポシャったままです。
中、高生になると、常に、主軸の生徒が受験年次に差し掛かってしまいますので、練習が上手く行かないのです。

という事で、千聖達の
「専科オケはないのですか?」という質問や要望を叶える事が、難しいので、今回はBrahmsの6重奏でお茶を濁そうと思ったのですが、生徒の専科オケに対しての要望で、ふと思いついて、この Vocaliseを、千葉教室の生徒達を対象にして、弦オケに編曲、手し直ししました。

soloとviolinT、U、violaとcelloのT、UにKontrabassです。
Kontrabassも二人いるので、KontrabassをT、Uに分けるか、思案中です。

専科の生徒達ですから、技術的な縛りはないので、string五部ですが、原曲のorchestraに、なるべく近い音がするように、編曲していますので、orchestraの原曲の弦のpartよりも、遥かに難しくなっています。
その分、Quartett版よりも、重厚な響きがします。
      ・・・・するはずです?   ・・・・するのかな??   ・・・・・するかもしれないのかな???   ・・・・・かな?  かな? かな? かな?


専科組versionからの13小節目のpassage

和音のぶつかり

後期ロマン派の時代から、近現代に掛けての作曲技法の一つに、非和声音ではなく、非和声和音が依音(依和音)として使用されるように、なります。

今回、実際に、このRakhmaninovの Vocaliseを、原曲に最も近い状態でarrangeをして見ると、原曲のorchestraでは、弦楽器と管楽器の音が全く違うので、異なった和音を同時に演奏しても、楽器同士では、音は、それ程溶け合わないので、異なった和音が同時に響いて、音同士がぶつかっても、異種楽器(異種の音)という事で、お互いの和音の音の干渉がなく、和音のぶつかりが気にならない・・という事ではなく、逆にとても美しく響きます。

この手法は、R StraussのRosen Kavalier(薔薇の騎士)で、銀の薔薇が登場するシーンで管楽器が依音を和音で演奏するので、本来の和音の響きと依音の和音の音が、ぶつかってしまうのですが、その和音のぶつかり(不協和な響き)が何とも美しく響きます!!

しかし、その管のpartの依和音を、同じ弦楽器で演奏すると、同音色なので、その依和音(非和声和音)が、本来の和音と溶け合ってぶつかって来るので、信じられない程の、凄まじい腹を切り裂かれる(えぐられる)ような汚い不協和な響きがします。

同じ楽器で演奏する場合でも、もしも、その楽器がピアノの場合なら、その音色が、没個性的で、ニュートラルな音なので、強い不協和な響きでも、キラキラと美しく響くのですが、弦で演奏するとなると、その和音のぶつかりは、お互いの和音が溶け合ってしまって、どうしようもなく、不協和に響きます。

Rakhmaninovのarrangeは、流石です。

という事で、実際に、教室のkammerorchestraで初見をして見ると、やはり、ちょっと和音の響きのぶつかりがあまりにも、耐えられなかったので、仕方なく、折角、
「なるべく原音のままに」・・・と心掛けたarrangeを、厳しい響きのところや、和音のぶつかりで汚く響いてしまう箇所を、弦楽器同士の演奏での響きに、「耐えられる範囲」に省略、修正を加えざるをえませんでした。

実際には、15年の2月の20日頃には、その修正版も出来上がり、finaleのfileも事務所に送って、コピーして生徒達にも配ったのですが、楽譜を校訂していると、際限なく修正箇所が出て来て、実際には、最終版というものが出来ません。
・・・という事で、椎名町の事務所のパソコンには、同じ Vocaliseのscoreが際限なく溜まって行きます。

私のパソコンでは、基本的には、修正を加えてrenewalした原稿を、以前の原稿に上書き保存するので、常に最終稿が残るようになっていますが、事務所では、人手不足で、添付されたmailが、未読の状態で、溜まってしまうので、結果、私のfinaleの原稿のどれが最終稿なのかの時系列が分からなくなってしまうようで、そのために、間違えた原稿や、bugってしまったscoreをそのまま、コピーして生徒に渡してしまって、2週間以上もその間違いの繰り返しで、音の訂正が出来ていなくって、ちゃんと練習が出来ない状態が、2週間、3週間続いてしまい、私もついつい癇癪を起こしてしまいました。
それでなくても、練習の日数が足りないのに、その自覚がないのですよ。
時間が命の私としては、時間を失う事は、我慢が出来ない失態なのでね。
3月の8日になって、やっと正しい最終稿を生徒達に渡す事が出来て、scoreも(多分)正しいversionのscoreになったのでは・・・と、思っています。
でも、timelimitは4月29日なのですよね。練習は1週間に1回しか出来ないのにね??

弦楽合奏のために、和音の鋭い音のぶつかりを省いたので、私としては、少し物足りない部分も有るのですが、Pianoの生徒達とは違って、弦の生徒達は、そういった鋭い音にぶつかりは基本的には、慣れてはいません。
何せ、弦の合奏の曲には、そういった鋭い音のぶつかりは出てこないのでね。
(作曲技法としては、一つの楽器の中では鋭い音を使用する事はよくあるのですが、ensembleとして他の楽器との音のぶつけ合いは出てこないのですよ。)



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