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所が、次の60小節目は突然C Durに転調します。
つまり、ホ短調のX度からT度の和音ミソシに行くのならなんの問題もないのですが、トリック終止としてホ短調のY度=ハ長調のT度という具合に転調をするのです。
ピアノの場合には、平均律の調律なので、それでも、何の問題もないのですが、弦楽器の1stと2nd violinの人達は、ホ短調のミとソの音を弾こうとします。violaとcelloは解放弦の最低音最低弦がCですから、Cの解放弦上のkonsonanz(共鳴音、倍音)でCを取ろうとする人(所謂、この場合にはハ長調のドの音とミの音になります。)と、ホ短調のままの調で、そのY度の音を演奏しようとする人が、分かれて来ます。つまり、Cの解放弦上のハ長調とホ短調のY度のドミソの音は全く別の音なのです。しかも、一小節毎にX⇒T(dominante⇒Tonika)と転調を繰り返して、調性も不安定な状態です。
ですから、ここで、音を一本に安定させて演奏するのは大変難しいのです。
このpassageを正確に演奏するためには、60小節目のcelloとKontrabassのpitchを正確に決める事が大切です。ホ短調のY度の音で取るのか、それともCの解放弦上で取るのかです。
つまり、cello、Kontrabassがホ短調のY度を取れば、violinは狂わなく正確に音を取る事が出来ます。反対に、cello、violaがCの解放弦上にドの音、ミの音を取るとすれば、celloやviolaは問題はありませんが、反対にviolinは音の微妙な調整が必要になります。
この曲の場合では、次のpassageでせめて4小節ぐらいハ長調になっていれば、cello、Kontrabassの楽器だけがしっかりと解放弦上のCを取れば問題はないのですが、次の小節では、もうa mollのX度⇒T度と転調しているので、a mollのT度の和音の第3音のCはまた微妙にpitchが変わってしまいます。はてさて、困ったのもだ!
教室でもベテラン組のmemberの場合には、双方が何となく歩み寄ってfuzzyに音を合わせる事が出来ます。これは、多分長年のensembleの経験によるものでしょう。
しかし、初心者の子供達に指導する場合にはそうは行きません。先生がそのpitchをどのpitchにするか、正確に厳密に決めてやらないと上手く行かないのです。
正しい答えがないだけに、そこは難しい。













12年11月4日京成検見川オケ教室の練習風景です。
  この動画は非公開の動画です。