このWilhelm Friedemann Bachの練習帳のfacsimileは、見にくいので、参考までに、finaleに入力してみた。
(・・・とは言っても、baroque時代の直筆のfacsimileとしては、保存状態は極めて良い方だし、演奏のために書かれている譜面なので、浄書であって、かなり綺麗な美しい楽譜の部類に属しますので、この程度の譜面ならば、直接読んで演奏出来なければなりません。)
上記のInventioの時の、指使いの話の繰り返しになってしまうのだが、この、Bachの指定した指使いは、baroqueの演奏に慣れない人達には、違和感を持たれるかもしれないし、当時の指使いに対して、無知矇昧な人達が多く、昔から、「Bachの時代には親指を使用しない、不自然で、不可思議な指使いがなされていた。」と平気で嘯(うそぶ)く人達もいて、辟易させられたものだ。
自分達の指使いは、時代によって磨き上げられて、時代とともに改良改善されて、来たので、正しく、Bachの時代の指使いは、未だ指使いのセオリーが出来る前の時代で、誤った指使いや、子供じみたおかしな指使いが使用されていた。つまり、当時の、指使いは、取るに足らない、誤った時代遅れの古臭い、指使いで、その指使いを、認める事は、原始的な、馬鹿げた事だ!!と、頭から信じて疑わない。
時代は常に、改善され、改良されて、進歩していくものだ・・・という、温故知新の欠片もない、古典への認識も微塵もない、無知さ加減をあからさまにして、平気のへいざでbaroqueの奏法を認めようとはしない。
自分の力で、判断が出来ないので、ブランドに価値を拠り所にしている、ブランド志向の馬鹿者達(若者達)のようだ。
この指使いは、勿論、mordentが、初心者のFriedemannにも楽に弾けるようにという配慮の指使いであって、同時に(教室ではピヨピヨ奏法と言っている、baroqueから古典派にかけての、一番orthodoxなarticulation(Agogik)の演奏法なのだ。
何故、超初心者であるFriedemannに対して、装飾音やbowslurから始めるのか??は、Cembaloが強弱が出来ないために、そのAgogikをCembaloの表現に取り込むのは、もっとも大切だからなのだよ。
早い時期に、articulationを取り入れた指使いを学ぶ事と、装飾音によって指使いが変わるという無駄を省くという事を初歩の指導に取り入れているのは実にlogisch(論理的)である。
日本の教育では、先ず、譜読みをして、弾けるようになってから、強弱を付けて、それが終わったら暗譜をして・・・と、無駄なlessonをしている。指使いを付けて練習した後で、trillを入れようとして、指使いを訂正している先生が居たりしてlacherlichなのだな?
私達は、その全てを同時に教えて行く。その方が無駄がないからだ。
勿論、3小節目の左手が、普通の指使いになっているのは、Cembaloを習い始めたばかりの小さな子供では、左手にmordentの装飾を入れて演奏するのは、未だ不可能だからであるよ。
勿論、Friedemannは、音楽家としては、Bach一族の、門前の小僧なのだから、見様見真似でCembaloの初歩の曲ぐらいは弾けたはずである。
だから、Bachが正式にCembaloのlectureを始めようとした時に、古(いにしえ)の昔に私が書いた、教室で始めてピアノを習う子供達のために作曲した、「始めてのピアノレッスン」 ・・・所謂、キリンさんの教則本のように、一個一個の音の譜読みから始める必要はなかったはずである。
だから、いつの間にか、何となく演奏出来るようになっていた、Friedemannに対して、その理論を説明し指導しただけなのだよ。
勿論、Bachがここで指導した事は、単に装飾音の演奏法だけではなく、装飾音の意味を含めてである。
そこの所は、初歩の初歩の教材であっても、ちゃんと押さえられている。
この指使いは、上記のような抜きの奏法を示すだけではなく、mordentによって、その曲の調を確立させている。mordentの位置は、主音⇒属音⇒主音⇒属音と、調の要の音に対して当てられている。
後半の4小節も、調の要の音にmordentとdoppelcadenceが使用されている事は変わらない。
この装飾音のmethodeは、私が子供達に指導しているmethodeと全く同じ解釈である。
参考までに:装飾音を演奏譜に直した譜面を掲載しておきます。
左手も右手と全く同じように装飾音を追記しました。
Friedemann坊やも、右手で上手に装飾音を入れられるようになったら、自分で左手に全く同じように装飾音を入れるように、Sebastian
パパから言われたはずです。
それで、両手の均等な動きの練習をしたはずなのですから。
また、参考までに、下の矢印をクリックすると、下の楽譜の演奏が聞けます。