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幾ら私が勤勉にコツコツと仕事をしても、江古田教室や椎名町の事務所は、所詮、ブラック・ホールなのだよ。

研究論文そのものではなく、その仕事をするための資料すら、出て来なくなってしまう。
それは、整理整頓と、仕事をするための整理術の違いに寄る事が大きい。
整理整頓は言わずもがな、キチンと物を仕舞う事である。
しかし、仕事のための整理は、如何に探しやすく、引き出しやすくするか・・という事で、整理ではあったとしても、整頓ではない。
仕事としてのhow-toは、自分が如何に効率良く探せるのか?と言う事ではなく、始めて事務所に来た人でも、ちゃんと効率良く探せないと、「整理が出来た」とは、言えないのだよ。
そのconceptを、毎回、先生達に指導するのだが、忙しさにかまけて、なかなかやってもらえない。
仕事の時の一工夫が、「物を探す」という時間の膨大なロスを防いでくれるのだが、一工夫の時間と物を探すという時間の大きさの差が、どうしても分かって貰えないのだよ。
それをここで、言い出すと、愚痴になってしまうので、「時短と整理」のPageでも読んで貰おう。




まあ、こんな話を慕って、無駄な事は、分かっているのだが、無駄を承知で、参考のために、「声部の交差」の例を幾つか挙げておこう。

sinfoniaのT番を例に取って・・話を勧めて行く事にする。


SinfoniaT番、10小節目の1拍目から2拍目のaltoとbassのpartの「声部の交差」の例:

10小節目の声部の交差は、「声部の交差」と言うよりも同度で音が重なるという事で、左手の1拍目の4番目の音は1個である。
他の(例えばドの音が響き込まないように注意をする。2拍目の2個目の音も同度で重なる分けなのだが、altoのラの音を弾いた後のbassのラの音の伸ばしを忘れてしまいがちなので、注意が必要である。
下の譜例は、最初の2小節目の1拍目の声部の交差の例である。
日本では、ハ音譜表でPianoを学んでいる生徒はいないと思われるので、
以下は、通常のト音記号の譜面を使用して説明する。

冒頭の2小節目で、もう、この種の音の重なりの例が出て来るのだが、bassの4分音符の長さが、伸ばす事を忘れたり、逆に意識しすぎて、4分音符よりも長くなってしまったりと、その長さが不正確にならないように、注意して演奏しなければならない。

同様に、6小節目でも、3拍目と4拍目に、bassとaltoの音が重なって、2声部の音が一つになる箇所が出て来るので、細心の注意を払って演奏しなければならない。

キーボード等のオルガンのように、鍵盤を押し続ける事によって、その音が保続される楽器ではこの音の干渉の美しさを聞き取る事は容易である。

折角、私の生徒のお客さんとして、教室に来てくれたのだから、その女の子には、サービスで、lesson室のpipeorgelで演奏させてあげた。
初めてpipe organを弾くという事で、pipe organのpipeの異様な音にかなり引いてしまっていたけれどね??

pipe organを見たことがないのは勿論だけど、ピアノという楽器しか知らないで、Cembaloの音も、pipe organの音も一度も聞いたことがなければ、そりゃあ、異様な音に聞こえるだろうよね。

しかも、organは、鍵盤を押し続ける限り、音が持続する楽器なので、指が他の音を無意識に押していたり、逆に伸ばすべき音を取ってしまっていたら、容赦なくその音が聞こえてしまう。
Pianoとは違って音が減数する事はないのだからね。



次は、17小節4拍目から18小節1拍目のsopranoとaltoのpartの声部の交差の例:
この譜例は、声部の交差の典型的な例である。
ピアノだけで、学習している生徒はaltoの保続された音の伸びを聞き取る事が出来ない。

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