前ページ



本来はCouperinのPageで書くべきで、ここで述べるべきではないのかもしれませんが、Couperinの場合の作曲上の癖として、この譜面では、7小節目の(rit.)と書かれたkadenzのpassage(勿論、原譜にはrit.の指定はありません。)ですが、かなりオーバーなritardandoをして、始めてmelodieの流れが自然にkadenzとして聞こえてきます。それを強引に拍の中に収めようとして、子供達に無駄な意味のない努力をさせてしまっている先生が多いのは問題です。


私が自分の生徒に対して、baroqueやrococoの曲を指導する場合には、例えば、BachのinventionやSinfoniaのような曲でも・・、或いは、CouperinやRameauのようなrococoの軽妙洒脱な曲を、lessonする時でも、先ず、最初に、楽譜上で、譜面をcheckする段階で、強拍を表す音を赤の蛍光ペン、弱拍を表す音を緑色の蛍光ペンで、crescendoを赤の矢印で、decrescendoを青の左矢印で、markさせる。
melodielineの頂点の音も、当然、その音をmarkする。
そして、markされた音に、それぞれのAgogikを表す装飾音を割り振るのである。
step oneはそれだけで充分なのだよ。
その段階がクリヤー出来れば、ornament奏法は、そんなに難しいものではない。
大きなornamentではなく、eingang(episode)のような、繋ぎから段々音符を増やして行けば良いだけなのだから・・・。


それが、Cembaloの装飾音の演奏法のlessonの第一歩(step one)だがや!!!
アハッ!

装飾音で音符の強弱を表したり、vibratoの箇所を探したり、trillerは、持続を表すのか?それとも、crescendoや、decrescendoを表すのか、accentの意味のmordentか、phraseの収めを表すprall=trillerなのか、音を繋げる、所謂、glissandoのような、legatissimoを表すschleiferなのか?
(注、schleiferはSinfoniaの4番と7番に使われています。また、4番のglissandoは、schleiferで演奏される事が多いようです。)

等々と列挙していまったが、それは、曲を演奏する時のarticulationとして、楽典的な必然であるから、若しも装飾音が書かれていなかったとしても、その場所を探し出す事は難しい事ではない。
正しく音楽の演奏法を学んでいれば、小学4,5年生ぐらいになれば、もう充分に装飾音の箇所とその種類を探し出す事が出来るのだよ。

つまり、ほんの少しの楽典の知識さえ身に付けば、センスも、感性も必要ないのだよ。
それに、ほんの少しの楽典の知識だって、小学生の力で充分なのだよ。
本当に6センスも第六感も必要はないのだよ。

baroqueの音楽は、基本的な装飾音を付ければ、それだけで、結構、聞くに耐え得るのだよな??
必要な所に必要な装飾音があれば、もうそれで、敢えてornamentを付けなくとも、それで充分なのだよ。
また、それだけで、済むのだから、それはそんなに難しい技術ではないのだよ。
少しは目が覚めた???
Wachet auf, ruft uns die Stimme
(目覚めよと呼ぶ声あり)
アハッ!・・・2!!

BachのApplicatioの最初の例でも、slurを表す指使いと、それに加えて、Tonika、dominante、Tonikaと調を構成する主要な音にmordentが、その音の強勢(Agogik)を表すように、している。
これは、BachのInventioのV番のように、音の強勢(Agogik)を表す、baroqueの演奏法の特徴であるbow-slurと同じものなのだよ。
それがBach時代のslurの考え方であり、Bachのmelodieのphraseを活かして演奏する緩徐楽章のbowーslurとは、全く別のconceptに基づいた考え方なのだよ。baroque時代の作曲家達のbowslurが一様に短いMotiv以下の単位で書かれているわけではない。

Bachにしても、それ以外のbaroqueの作曲家にしても、緩徐楽章では、結構長いphraseのslurを使用する。
ゆっくりとした、おおらかなmelodieを活かすには、phrase感も、bow-slurも、結構長く演奏しなければならない。
決して、baroqueの弓だから、短いphraseしか演奏出来ないという意味ではないのだよ。
そこも、baroqueの弓は短いからphraseが短い・・・なんて、とんでもない事を言い出す学者がいて困ってしまう。

それは、音のベクトルの意味が分かっていないのだよね。

modernのbowは張りが強くて、弦の張力も強い。
baroqueはガット弦なので、弓の張りは弱くて、弦の張力も弱い。
なら、楽器的な特性を無視して考えれば、baroque楽器は音が弱い分、弓の長さは必要ないし、modernの楽器は、弦の張力や弓の張りが強いので、それだけbowを消費するのだよ。

大型車の燃費と、小型車の燃費と同じだよ。
同じ距離を走るのなら、小型車の方が燃費が良いのに決まっているよね。

だから、先ほどの弓が短いので、phraseを短くしないと弾けない・・というのは、楽器の特性の事を何も知らない無知な人間の答えだよ。

早い曲のbowslurは、先程も書いたように、celloやviolinの楽譜に細かく書かれているので、参考にする事が出来る。
それを知れば、装飾音を置かなければならない必然の場所は難しい事ではない。

先程も言ったように、小学4,5年生ぐらいの知識があれば十分なのだよ。
このApplicatioは、それの説明の曲なのだがね???

本当のBachの曲の装飾音を付ける事は、そんな、生易しいものではない。
詳しく研究したければ、父親を尊敬してやまない、Emanuel Bachの著書を読むとBachの装飾音の理論が詳しく書かれている。
BachはCouperinやVivaldiの作品もよく研究しているのだよ。
だからその装飾音に於いても多種多様な種類の装飾音を使用しているのだな。




参考までに:教材研究 Couperinの修道尼モニカ
以前は、BeyerからBurgmullerのgradeの卒業課題曲として、このCouperinからの数曲を課題に出していた。
主な課題は装飾音の多様性、纏まりのテンポの設定、finger pedalを使用しての多声部奏法が課題だった。



超ヘボいfinaleのソフト

finaleには、装飾音は、一番簡単な装飾音しか入っていない。
trillerとmordent、ターン(cadence)ぐらいである。

所詮はアメリカのソフトなので、ジャズやロック等の記号は充実しているのだが、Classicは無理なソフトである。
だからより複雑なdoppel cadenceやdoppelcadence u, mordent等は、単純な装飾音を譜面上で組み合わせて作る。(勿論、演奏には反映されない。)
しかし、困ったことに、schleiferは、作る材料がないし、無理をして作ったとしても、音符間をいちいち広げないと挿入出来ないので、大変な手間になってしまう。
だから、今回はschleiferを装飾音(前打音)で、書き表したのだが、演奏では装飾音が前に出てしまうので、schleiferのimageが出ない。
そこは、とうとう挫折してしまった。
シベリウスとか他のソフトでbaroqueの記号に強いものはないのだろうか??
知っている人がいたら、是非教えてもらいたいものだ。





参考までに:
sinfoniaXの譜面を3声部に分けた譜面である。



この曲の装飾音を実際の演奏譜に書き換えた楽譜である。
参考までに、パソコンの音源を載せておきます。



Realisation譜

次ページ