Bach時代の無限旋律とは、次のBachのフランス組曲の譜例を見ても分かるように、単にそのmelodieの終止音が次のmelodieの開始音になっているのに過ぎない。
但し、フランス組曲の例は、Cembaloの曲なので、当然、和声の基礎となる基音も左手に書かれていて、奏法上、何の問題もない。
因みに、この曲はinventionと同じMotivによる作曲技法によって、作曲されている。
Motiv.aとbとcのそれぞれのMotivが展開されて、曲を構成している。比較的に分かり易いところだけを色で示した。
譜例: J.S.Bach Ohne Begleitung violincello suite V sarabande
音楽は、基本的に和音を内在している。
だから、Bachのinventionや、その他のCembaloの曲のように、例え、2声で書かれた曲であったとしても、そのmelodieに含まれた和音をBasとの位置関係で、確固として感じ取る事が出来る。
しかし、弦楽器や管楽器のsolo楽器となると、音楽上の和声の基音(Basの音)を表現する事は難しい。
それでも弦楽器は、一応、多弦楽器である・・と、言う事が出来るので、和音のBasとなる音を弾く事が出来る。
そういった意味では、全く単音しか出せない管楽器よりも、ある程度は無伴奏というgenreでは、有利かもしれない。
上に掲載されたBachの無伴奏のsarabandeは、そういった、弦楽器で多声部を演奏した譜例である。
しかし、通常では、例え弦楽器と言えども、単音のmelodieを演奏せざるを得ない。
という事で、baroque時代の鍵盤楽器を除く、(基本的には単旋律しか出せない)solo楽器では、baroque時代特有の、ベースの音を強調して演奏する、という奏法で演奏する。
誤解の無いように、確認しておくが、Cembaloや、Organのような
多声部の演奏が出来る楽器であったとしても、当時の監修的に、soloの楽器と同じarticulationを用いるのが常である。
つまり、J.S.Bachは、自らのinventionやFranzosischeSuiten等でも、この無伴奏に使用されている独特のbowslurをそのまま用いているのです。
参考までに:
下に掲載したfacsimileはJ.S.Bachのinventioの直筆(Handschrift)です。