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pochette(ポシェット=ポケット)という意味は、19世紀に爆発的に流行って、色々な家庭を廻ってdanceの指導をしたdance教師が、フロック・コートのポケットにこの楽器を入れて、持ち歩いた・・という所からこの名前がついています。

但し、形はこういった形の他に、violinの型をしていて、竿が長いタイプの物も多く見受けられます。
音は、とてつもなく惨めな音ですが、こういうものは、その時代のあだ花なのでしょうからね。

下の楽器は、私の愛用の「オバQ型のviolinとviola」です。


この2台の楽器は、私の愛用の楽器で、なかなか良い音がするし、機能性も優れています。

とは、言っても、私は、violinやviolaの演奏家ではないので、楽器自体は、本当は安物なのです。
violinの先生は当たり前の話ですが、生徒達の方が、よっぽど良い楽器を持っています。

但し、私のpolicyとしては、楽器は、その楽器の値段で価値が決まるものではなく、楽器本来の価値は、音そのものであり、楽器の性能だと思っています。
という事で、この変形violinとviolaで、充分満足をしています。

但し、楽器は100万もしない安物の楽器ですが、弓は、それ相応に、楽器に対応したお値段の弓を使用しています。violinの弓も100万以上のFrenchbowだし、violaの弓も相応の値段はします。

楽器の性能は、寧ろ、弓の性能で決まるので、安物の楽器であったとしても、それなりの音が出せれば、bowで素晴らしい音を出す事が出来ます。

とても良い楽器なのに、どうしてこんなに安いのか??というと、それはこの楽器の形状にあります。
この楽器がviolinの型をしていないから、
「この楽器はfiddleである」とか言って、主張を変えなかったおバカなviolinの先生のお話は別のPageに載せてありますので、そちらを参考にしてください。
この楽器が、捨て値同然で売られているのは、この形状では、どんなに良い楽器であったとしても、これでorchestraやsoloの活動をする事は出来ないからなのです。(私は、ちっとも構わないのですがね。一般のviolinist達は結構気にするのよね)
だから、この楽器をbaroque仕様にして、演奏している人もいます。
しかし、確かに、この型のbaroqueviolinはあったので、baroqueの楽器として、舞台で演奏しているようですが、しかし、実際には、わざわざ、Chanot(シャノー)の変形violinを引き合いに出さなくても、この形のviolinは、baroque時代以前から、こんにちまで延々と作られ続けられています。
この型に固執する人は、結構多いのですよ。

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baroqueのbowについてのお話



この2本のbaroquebowは、一番orthodoxな弓です。

それぞれ、使用された時代が違います。

写真の上のbowは、一番原始的な弓で、とても細く少しでも弓に力を入れて弾こうとすると、弓の毛がbowにくっついてしまって擦れて、木の音がするか、最悪の場合には、bowが意図も簡単に折れてしまう程、華奢な弓です。

ですから、日本では一般的な、3点支持の弓の持ち方ではこの弓を弾く事は出来ません。

もっとも、modernbowで高価な弓の代名詞でもあるFrenchbowも、細くしなやかな華奢な弓ですので、3点支持の持ち方では、毛が木にくっついてしまうので、弓が逆反りになるぐらいまで、毛を張って弾いている演奏者を見受けます。
あれじゃあ、Frenchbowを奏く意味は全くないのですが、高いもの=自分にあったもの・・・という風な、ブランド嗜好のような感覚で弓を買っているので、あ〜あ!もったいない!!もったいない!!
3点支持の弦楽奏者の人は、oldhillのようなイギリスbowや、ドイツのbowが、その力に弓が対抗出来るので、良いのですがね。
Frenchbowは、1点支持の持ち方でないと、弓の性能が活かされません。

同様に、このbaroquebowは、Frenchbowよりも更に、華奢で弱々しい弓です。
だから、この弓で演奏出来るbaroqueの演奏家は、世界でも数少ないのです。

上段の古い時代のbaroquebowで、一般の3点支持のviolinの奏者が演奏すると、音にならないか、弓を折ってしまうか、最悪の場合には、手を腱鞘炎で壊してしまうか、です。
腱鞘炎は、無理矢理に力を入れてもなりますが、無理矢理に力を抜いても、不自然に筋力を使うとなってしまうのですよ。

baroqueも、やがて、時代と共に、orchestraの人数も増え、ホールも大きくなって、音量も要求されるようになってきました。

それに対応するために作られたのが、このTartinibow(タルティーニ・ボー)と呼ばれる弓です。
Tartiniが考案した弓とも言われていますが、実際にはTartiniよりも前の時代でも、場所によっては使用されていました。
大分猿山の猿の話ではありませんが、synchronicityで、同時多発的に、色々な場所で創意工夫がなされて来た事は事実です。
このTartinibowで、bowの長さも長くなって、毛も逆反りに近くなって、毛もアジャストで強さを調整出来るようになってきました。
現代のmodernbowに非常に近いbaroquebowです。

一般のbaroqueviolinの奏者は、殆どの人達がTartinibowを使用しています。
現代のbowに非常に近いので、演奏も楽で、3点支持でも耐えられる強度を持っているからです。

人々がTartinibowを使用するようになって、baroqueの演奏のstyleが少し変わったように思います。

1点支持と、3点支持の持ち方の違いは音楽を作る上で、致命的と言える程の大きな演奏styleの違いを産みだします。

しかし、基本的にsoloの演奏家のlevelにもなると、3点支持を売り物にしている演奏家でも、曲のpassageによって、平気で1点支持の奏法を使用しています。

今現在、1点支持を取る演奏家は、グルミヨー等のベルギー派のヴァイオリン奏者や、ベルリン・フィルの主席コンサートマスターであったシュバルベ先生や、曰く殆どのsoliste達は弓を持つ時に、一点支持の持ちかたをします。

世界では3点支持の教え方が主流なのに、何故、1点支持のsolisteが多いのでしょうか??

その理由は簡単です。
1点支持の弓の持ち方は、それがヴァイオリンの本来の弓の持ちかたであり、ルーツに近いからです。

私達の教室では、小学生、中学生の生徒でも、古い時代のbaroquebowで演奏する事が出来ます。

それは、教室の弓の持ち方が、ベルギー派と同じ、一点支持の持ち方だからなのです。

という事で、何の問題もなく、古いbaroquebowで演奏する事が出来ます。
勿論、当然、教室の先生達は、baroqueの演奏会では、作曲家の活躍した時代に併せて、古いbaroquebowやTartinibowの両方の弓を奏き分けて演奏しています。

それは、1点支持の持ち方をしているので、どちらの弓でも演奏する事が出来るからです。

・・・では、何故、3点支持が世界の主流の持ち方なの??

その質問は当然ですね。

一つは、音量を出す事が簡単だから・・・・、この話は色々と語弊があるのだけどね???(注へ
もう一つは弓を選ばないから・・・・・・・・・・、3点支持なら、別に高価な弓でなくとも良いからですよ。

そして、極めつけの理由は、持ち方が簡単だからです。

殆どその理由に尽きるのではないのかな??



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http://www.youtube.com/watch?v=5j-bycdcHPU

Heinrich Ignaz Franz Biberのロザリオのソナタ 第13番
 (scordatura e cis e a)
baroqueviolin 斉藤純子 basso continuo cello 牧野由起子 Cembalo萩本美紀


 Fiori musicali baroque ensemble

You Tubeと言えば、ちょっと余談になってしまうのですが、バロック・ヴァイオリンでoriginal baroqueのラフォリアを演奏している外国の団体があって、何とそのトップの演奏を日本人女性のヴァイオリニストが演奏していました。

演奏の出来不出来は、ともかくとして、弓がガンバ・ボウ(bow)ではないかというぐらいに巨大な弓で、しかも本当の弓矢の弓のようにまんまるく絞り込んで、乱暴に、凄い速い速度で(スピード違反を遥かに通り越すような速度で)キャンキャンと弾いていました。

もしも、当時のガット弦であれば、こんにちのプラスチックのガット弦ではなく、本当の羊の腸に弦なのだから、とても切れ易くて、そんな弓でそんな弾き方をしたら、一瞬で(たった一つの音も出す事なしに、)切れてしまうでしょうよ。

パフォーマンス的には、ハッタリが効いていて、パワフルで、映像的にも、音楽的にも、それなりに楽しいのかもしれないが、少なくとも私たちが求めている本当の本物の、現実的なバロック音楽の世界とはかけ離れていると思いますよ。

現代風にバロック化された、バロック音楽とでも言うのでしょうか、eccentricな演奏でしたが、それなら何で、オリジナルバロックの楽器を使うのかしら?

 しかも、弓はviolinの弓とは、ちょっと違うでしょう??
そんな、バス・ガンバの弓のような、ぶっとい弓で可愛いviolinを、ガンガンに擦るのだから、violinがキンキンと悲鳴をあげていて、可哀想でしたよ。

確かに、baroque時代はviolinの弓は、まだ確定していなくって、あり合わせのbowで演奏していたのは事実かもしれないけれど、そういう前提ならば、何でも許されるのかよ??!!

それならば、violinだって、オリジナルのbaroqueviolinを使う意味すら、ないのでは?????

ヨーロッパのbaroqueの演奏について、そういう疑問を持ったのだけど、それはそれとしても、Bruce Willis叔父さんによく似た(頭の人の)演奏が素晴らしい!!
家でも、いっその事、そういった弓を使ってそういった解釈の演奏をやろうかな??と影響されそう感じの演奏です。
困った!困った!!

http://www.youtube.com/watch?v=7mug0teM940

H purcell chaconne g  Accademia Bizantina の演奏です。
私達の演奏とは、全く違うけれど、それはそれとして素晴らしい。
但し、baroque風のmodernなstyleの演奏である!!・・・という前提ならば・・・ですよ。



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