コレルリのラ フォリアの直筆譜
チェンバロやリュートのパートをガンバ譜(チェロ譜)で書き、その音符の上に数字で和音を書き表した譜面を「通奏低音」と呼ぶ。
トリオ・ソナタなどのアンサンブルや(前述のヴァイオリンやフルートなどソロの伴奏を含めて)オーケストラのチェンバロパートなどには、数字譜を即興で弾くための、通奏低音の技術を必要とする。これらの技術を習得して後、初めてチェンバリストという名前で呼ぶことができる。(補足)ペーター版や殆どの日本で出版されている版のヴァイオリン譜などは、伴奏譜はピアノのために書かれている。又コレルリのラ・フォリアやビタリのシャコンヌなどのように原本から全く別の曲として編曲されて、そちらの方が有名になっているものも多い。ペーターなどのヨーロッパの出版社では、原典版としてバッソ・コンティニュオによる(チェンバロ譜)としての版も並行して出版している。演奏のスタイルによって何れもが選択できるようになっている。
またチェンバロの楽譜には、よくハ音記号が使用される。有名なバッハのインベンションや平均律などでは、チェンバロの右手にト音記号ではなくソプラノ譜表が使用される。時代が下ってモーツァルトのピアノ作品でもオリジナルではハ音記号が多用されている。バロック音楽を研究するにはどうしても原譜を扱うことが多い。そのためにハ音記号を読めないことは致命的なこととなる。