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クラビコードとはチェンバロとよくにた音が出ますが、しかし発弦機構は全く異なり強弱やビブラートまで出すことのできる楽器です。ただし、クラビコードは音量が大変小さく、深夜に自分の部屋で弾いていても音が隣のへやにきこえることがないほどで、全く自分一人だけの為の楽器です。最初の1年位はそのクラビコードで作曲をしていました。その楽器のおかげで、ミュンヘンの忙しい作曲の合間にもバロック奏法やオーナメント(音符の装飾法)の研究はコツコツ一人で続けることができました。また、ミュンヘンのオルガン科やチェンバロ科の友人たちとも交流ができ、その分野の知識も豊富になったように思います。


帰国後
のライゼ・クラビコードは帰国するときに日本までもってかえりました。
しかし、なにぶんにも音が小さすぎて、友人たちとアンサンブルを楽しむことが出来ません。
当時、あるチェンバロ製作者の方がクラビコードを大変欲しがっていて、私のクラビコードを是非譲って欲しいという申し出がありました。
それで彼の持っているスピネットと交換することになりました。
ということで、ドイツで買ったクラビコードが日本でスピネットに変わって、友人たちとトリオ・ソナタなどのバロックアンサンブルを楽しむことが出来るようになりました。

それが現在花園教室に置いてあるチェンバロです。
その後教室を増設して子供達にもチェンバロの奏法を教え通奏低音も演奏させるようになり、オーケストラ教室にもチェンバロが必要となって、2台目のスピネットを買いました。しかし、私の夢は2段鍵盤のコンサートチェンバロを手に入れることでした。
そんなある時、イムジチなどの外国の有名なアンサンブルの団体のチェンバロ奏者が弾いていたグジョンモデルのバロックチェンバロを買わないかと古典楽器センターの佐藤さんから話がありました。
人間、諦めないで、色々とやってみるもので、頑張って金策に走り回った結果、なんとそのコンサートチェンバロを買うことができたのです。
高校生の時からの夢が、意外と早くかなったわけです。






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