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この同じpassageは後半、再現部の31小節目から最後の小節迄、同じ動きが繰り返されます。

 

また、単なるscaleの動きをしているように見える、3,4小節目も、その非和声音(経過音)を省いて見ると次のような思いもかけない動きになります。
譜例:4-a

3小節目、4小節目のscaleの動きから、非和声音を取ると・・・・

譜例:4-b

この型はそのまま、展開部の17小節目の4拍目のauftaktから118,19小節目にc mollとなって表れ、20小節目からは拡大された型で左手に現れます。

譜例:5

逆にこのthemaが縮小された形が6小節目の4拍目のauftaktに現れます。

譜例:6

 

 

 

 

 

 

この動きを和音としての形に還元すると、次のようになります。

譜例:7

 

そして、その和音としての形は、30小節目の右手にそのまま使用されています。

譜例:8

ここ迄の説明は、sonate形式の説明ではありません。

あくまでthemaのMotivが如何に有効に分析的に活用されているかの説明なのです。
こういった例は実際のClmentiの作曲技法のほんの一例に過ぎないが、それでも、Clmentiの作曲技法の優れた一面を、垣間見る事が出来るでしょう。

sonate形式の説明はすこぶる簡単です。
それは音楽形式と言うものが、作曲上のテンプレートに過ぎないからなのです。

まづ基本は大きくABAの構造を取ります。
勿論、Codaがあったとしても、なのです。

私は形式を説明する時に、子供達には3段論法や五言絶句の説明をします。
形式が音楽の形式であっても、論文や詩、小説の書き方にしても、或いは仕事上のレポートの書き方も、基本の形式は変わらないからなのです。
音楽を勉強する事はその全てを勉強する事になるからであります。
という分けで・・・・

Aの部分は提示部といいます。

Bを展開部といい、繰り返されるAを再現部という。

この呼び方は人によっても違うので、それはその都度変更すれば良いが、基本の考え方は同じであります。
流派が異なれば、言い方が代わるというだけのことです。

 

Aの提示部であるが、第一themaAが2回反復されて、第一themaBの主題に移行するという考え方が一般的であります。
そういったFormを私達はbogen formと呼んでいます。
1小節のAと1小節のAが来て、その後に分割されない2小節のBが来るという形であります。この形式は、古くはBach以前のBiber等の作曲家等々も使用したForm(形式)です。

譜例:9

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