右側の写真のpositiv organは、1段しかありませんので、かなりの小型の positiv organですよね。
右下の写真の可愛いOrganの左下の後ろに見える黒い部分は、フイゴです。
左手でフイゴを動かしながら、右手で鍵盤を演奏します。
これはbaroqueやRenaissanceの絵画によく見受けられる楽器であります。
2015年5月29日続き
さて、温故知新の話の続きですが、歴史認識にしても、原発の問題にしても、昔を知らない事に依る無知が、色々な誤解や過ちを引き起こします。
歴史の中には、オーパーツのように、時代を超越した偉人が時々出てきます。
私が一番驚いているのは、ギリシャの文人や数学者のおエライさん達もそうですが、Renaissance期に発明された時計は、その機構を現代と何一つ変わっていないのです。
1500年代の後半には、ガスパーロ・ダ・サロやアマティがviolinを作り上げたのですが、これはStradivari同様の最高傑作で、こんにちの楽器製作者の目標でもあります。
弓もトルテの弓が現代でも最高と言われています。
つまり、温故知新どころではなく、その当時の域にも達する事は出来ないのですよ。
その後、violinは色々な改良を加えられて来たと、言われていますが、一つを得るという事は、一つを失う事でもあるのですよ。
つまり、大きな音量と引き換えに、美しい音を失ってしまったのですよ。
トルテ以前のbaroquebowなのですが、ヨーロッパで、自称世界的なbaroque演奏の団体が数多くあって、ガンバ...棒よりも更に、頑丈でぶっといrundbow(円形のアーチ状の弓)を使って、ガンガンビシビシと大きな乱暴な音で演奏するのがbaroque演奏の一般的になっています。
Spitzeであろうと、froschであろうと、sforzandoやaccentを付けて、平気で演奏しています。
でも、そんな弾き方をすると、細くてしなやかなbaroqueの弓は、一瞬で折れてしまいますよ。
だいたい、弓の歴史書のなかに、そんな巨大な弓はなかったし、あったとしても、当時の遺伝子操作されていない自然な羊さんからのガット弦では一瞬で切れて使い物にはならなかったでしょうにね???
そんなモンスター棒でもこんにちのガット弦が切れないのは、ガットもどきのナイロンの弦だからです。
でもbaroque時代には、そんなものはなかったのですよ。
少なくとも、戦前の日本にもナイロンはないろン!!
そんなのは常識的に考えれば分かるのに、それをperiod奏法と呼んでいるブルースウィリスのそっくりさんの、baroqueviolinの奏者がいるので困ったものです。
しかし、その演奏をperiod奏法と思わなくて、baroqueもどきの音楽として捉えると、なかなか面白くて、結構好きな演奏なのですがね。
(Stefano Montanari さんの話ですがね。)
ちなみに、蛇足ですが、violinの弓が、baroquebowから、現代のbowになるのには、 Francois Tourteの弓に改良により弓の型が確立します。
1782年、Tourte が34歳の時に、violinistで作曲家の Jean-Baptiste ViottiがTourteを訪問し、新しい、ヘッドとフロッグの高さが等しい反りのある弓の改良を要求した。
1790年以降、Viottiや R.Kreutzer 両名のviolinistからadviceを受けながら、共に研究を重ね、5年の歳月をかけて現代の新しいbowの型を完成させた。
弓毛の不安定さを補うためにリング(フェルール)を発明。
同時にオープンフロッグからスライドのある、カバードフロッグへの改良
スティックの重量バランスを確立。
つまり、1790年から1810年に掛けて、violin(弦楽器)のbowを完成させたのです。
という事で、その時代の作曲家達はどうだったのですかね??
TourteがVottiから、弓の改良を求められて、その研究に入ったと思われる、1790年には、Mozartは死の直前です。1791年の12月にはMozartは死んでしまいます。
Beethovenは1770年の産まれですから、1790年には丁度20歳です。Tourteがbowを完成させるには、後約10年の歳月が必要ですから、Beethovenにとっては円熟期に差し掛かった30歳ぐらいでTourteのbowに巡り会う事になります。
という事で、BeethovenのQuartettは、clipaccentが可能なのです。
Tourteが1795年ぐらいにbowのある程度の状態を完成させたとしても、1780年ぐらいで、ヨーロッパの音楽界の弦楽器がTourteのbowに変わった分けではありません。
つまり、Tourteの強い張りの弓に対抗するには、violin本体も現代のviolinと同様に強い張りの弦を持つ必要があります。
力木を足したり、指板の長さを長くしたり、色々とmodern仕様に変更しなければなりませんでした。
私達は生徒達にbaroqueを指導する時に、baroquebowで現代のmodernviolinを演奏させる事はありますが、modernの弓でbaroqueviolinを演奏させる事は、絶対にありません。
baroqueviolinは、現代仕様のviolinに比べて、極めて華奢だからです。
当然な事なのですが、violinを勉強している人は以外と無知なので、楽器屋で、自分の弓でbaroqueviolinを演奏しようとして、お店の人に、怒られている演奏家をよく見かけるのでね・・・???
大きな音量の大orchestraは色彩豊かで表現力にも富んでいます。
基本の調の違う色々な楽器を組み合わせる事は、豊かな音を出す事が出来る反面、たった一つのドの音を揃える事すら難しくなってしまったのですよ。
baroqueの演奏で、vibratoをしないのは、当時は、vibratoの技術が稚拙であったから・・と言われていますが、それは大変な間違いで、baroque時代の人達がvibratoをしなかったのは、美しい純正の和音の響きを活かす為であって、決してvibratoを出来なかった分けではないのですよ。
私が専科の生徒達にbaroque時代の奏法を教えるのは、私自身が、baroque音楽の専門家であるからという意味ではなく、baroque時代の奏法を知れば、今、伝承されているviolinの奏法というものが、必ずしも正しい奏法である、という事ではない・・という事を、自ずから知る事が出来るからです。
それに、私は作曲家だから現代曲が専門なのですがね。
歴代の偉大な作曲家達も、baroque時代の作曲家への研究者でもあったのですよ。
BrahmsやSait-SaёnsのCouperin研究とか、BartokやLisztのBach研究とか・・です。
これも温故知新なのですよ。
昔を知れば、何が正しいかが分かる。
前の総理がどう言ったかではなく、日本人として歴史を学んで欲しいものですよね。
現代の人が昔の人達よりも優れている事は何もないのですよ。
だったら、歴史や科学に徹底的に学べば、良いのです。
5月30日20:30
夜の食事は椎名町で、先生達と一緒にします。
その前にシーズーのドルとプリの散歩に行って食事して帰ると、どうしてもシンデレラタイムの深夜、1時半にはなるようです。
という事で、一昨日の話迄戻るのですが、一日中、耳の後ろのリンパが痛くて喉も少し腫れ気味で、少し微熱もあるようなのですが、痰が出て咳も出るので、風邪が治りきっていないのか、それともまたぞろ引き直したのか、それとも歯周病で、細菌感染でも起こしたのか?色々悩みながら、病院に行くべきか、行かざるべきか、それが問題だ!!・・と思っていたのですが、やはり昨日は一日微熱気味で、体調不良で起きていると意識混濁になるし、眠るとイライラするし、と、毎度お馴染みの欝状態でした。
しかし、そういった体調不良の状態も、余りにも、日常的なので、教室で生徒達に「徹夜だ!」と言っても、先生達に「欝が酷いから・・」と言っても、「いつもの事でしょう??」と、構ってくれません。
・・ってチョッと前にも、同じ愚痴を書いたよね?!
同じ事を書くようになると、アルツハイマーの初期段階かな??・・・で、何を言いたいのかというと、「それは兎も角...、どうせ、寝れないのなら」と、これもいつもの通りなのですが、体調不良と微熱気味なのを押して、このpurcellのChaconyのbasso continuoのpartを、何とか頑張って書き上げてしまいした。
この曲はbaroqueの室内楽の形式である、triosonateというgenreの中でも、Chaconyという形式なので、当然、複音楽の荘重なsonateであるkirchensonateという形式に属します。
という事は、basso continuoを司る楽器としては、寧ろ、Cembaloよりも、pipeorganでcontinuoを書いた方が自然なので、Cembalo譜としてではなく、Organ譜として、continuoのpartを書き上げました。
但し、この曲の私のarrangeは、完成された演奏会のために作り上げた演奏を想定した最終稿ではなく、その一つ前の、生徒達にbaroqueの音楽の作り方を指導する上でのtemplateとして作っているので、ornamentは基本的なarticulationやAgogikを表すもの、slurやglissando(legatissimo)を表すschleifer等に限定して、教科書的に、オタマジャクシにornamentを付けています。
という事で、演奏者の感性やinspirationを必要とするより自由な才気溢れたornamentやImprovisationは、今回のarrangeでは、全く使用していません。
あくまで、お勉強を目的とした、step oneの教材として書いています。
ですから、今回の動画はornamentの楽譜付きの動画になります。
scoreの真ん中の2段はoriginalの楽譜のままで、最上段の2段が装飾譜となります。
勿論、通奏低音のOrganのpartのRealisationは私の書き上げたものです。アハッ!