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「ノン・ミスで弾けたか?」ではなく、「10回のうちに、何回ノン・ミスで弾けたか?」が大切なのです。

ミスをしないのも、一つの癖なのです。
「ミスをしないで演奏出来る癖をつける」と、いう性格を身に付けるということは、Beyerのように、曲が短い、16小節や32小節ぐらいの曲を勉強する、初歩の間だからこそ可能なのであります。

中級や上級者になると、一回弾き通すだけでも、五分も十分も掛かってしまいます。

一々、ノン・ミスで、曲の全体を演奏出来るかのcheckをlessonでしなければならない・・という事では、lessonの時間の中でそう言ったcheckをすると、それだけで、lessonが終わってしまいます。

譜読みが出来ていなくて、その譜読みを先生たlessonで手伝うとすれば、大きな曲を何曲もlessonするのは、不可能になってしまいます。

暗譜は完璧か?

どうすれば、暗譜が出来るようになるのか?という事を知っている人はいません。
ただ、練習を積み重ねて、何時の間にか、暗譜が出来ていたというのが本当でしょうね??
暗譜をしている・・と、思い込んでいる生徒達の多くは、指番号で覚えていたり、音で覚えていたり、極端な例では、先生の弾く鍵盤を見て、覚えている生徒すらいました。
それでも、間違えなく弾ければ「暗譜は完璧だった」と言う事になってしまいます。
しかし、それは大変な誤りです。
そんな暗譜は、暗譜とは言えません。
私はlessonでは、よく曲の途中から、左手だけを弾いて、生徒に入って来るように要求します。
それで、1,2秒でも考えてからしか、入れなければその暗譜は完全ではありません。
また、小節番号を言って入らせる場合や、練習番号で演奏し始める場合も有ります。
soloのviolinの子供が弾き始めると、basso continuoのcelloとCembaloの生徒達が入って来ます。「何処から・・」というsuggestを生徒達に与える事はありません。
それは暗譜のためにはならないからです。
曲のpassageを、発表会の当日変更する事もザラにあります。
それに対応出来なければ、(一度、覚えた暗譜の譜面を覚え直す事が出来なければ、)上手になる事は出来ません。
何故間違えたのか、どう直せば良いのか??・・・それが自分で、言えなければ、そのpassageが良くなる事はないのですよ。
もし、生徒が自分で自分のミスを理解しているのなら、先生はそれをそれ以上追求する必要はないのですよ。
これこそが、究極のlesson時間の「時短」です。

Dittersdorf PianoconcertoAT芦塚先生lesson風景
(Pianosoloは七星ひかり(小学6年生)です。)
暗譜のコツは、しっかりと覚えている所と、うる覚え(うろ覚え)の所をちゃんと区別が出来ると言う事です。
それが出来るようになると、学校の成績等は一発で上がります。
音符を覚えるよりも、学校の勉強の方が覚えるのは簡単だからです。

いつも私がlessonで、口を酸っぱくして、言っているように、「暗譜は単なる習慣」に過ぎません。

レッスンでいつも暗譜する癖がつくと、暗譜できるまでの練習回数が極端に少なくなります。
(記憶についてのお話しを参照してください。)

暗譜が早くできるようになると、レッスン時間にゆとりができるので、本来のレッスンをより多く取れるようになり、指導して行く上でもとても楽になります。


反面、(私の経験を述べるとすると、)高校のときからピアノを習い始めた私ですが、最初についた先生の方針で、ピアノを始めたばかりのバイエルの段階で、暗譜してレッスンを受けていたので、チェルニー30番や40番の段階になったときには、一回、初見で弾き通すだけで、その曲を完全に暗譜で弾けるようになっていました。

しかし音楽大学受験のために先生が変わって、(その先生の方針で)曲を暗譜しないで(譜面を常に見た状態で)レッスンを受けていたら、(一度身についた能力ではあったのですが、)一瞬にして暗譜ができなくなってしまいました。
(人生と同じで、)悪癖は、一度身につくと中々治すことができないようです。
それとも、女性の転落の方がrealityがあるかな??

すっかりと暗譜が苦手になってしまったので、「昔の夢よ、もう一度!」と、「暗譜のメトード」を作り上げるお話しが、ここから始まるのですが、それはまた次の機会にしましょう。