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勿論、私には、そんな高価な鮫肌の擦り器を買うような、そんな経済力はない。
だから、この鮫肌の擦り器は、デパートや専門店で買った物ではなく、仕事の旅行でついでに、漁港に立ち寄った時に、お土産品として売られていたものを買いました。
その時の土地の値段で、3800円ぐらいで売っていたのですよ。

その時には、その値段に、流石の私も、「えっ?!」と、驚いてしまったね。
「何で、そんなに安いの??」ってさ・・!!

木の材質もしっかりしているし、鮫肌も、幾つかから選べたので、かなりしっかりした、肌になっている。


しかし、隣の真ん中の鮫肌の方が、東京のデパートで買ったものだから、他の鮫肌よりも、遥かに高価なのだよ。



女性の肌を指す言葉に、餅肌や鮫肌という言葉があるのだが、鳥肌が立つという、あの鳥肌も鮫肌の事なのだが、怖い時や嫌な時に、「鳥肌が立つ」のは、誰しも・・で、当たり前なのだが、可哀想な事に、普段に生まれつきに鮫肌の人も居る。
また、体の極、一部分だけが、鮫肌の人も居たりする。
(だからと言っても、幾ら、鮫肌の女性であったとしても、山葵は擦れないよ!!)


実際の鮫肌をupして見てみよう。
この写真はデジカメで、思いっきり拡大した写真です。(顕微鏡写真じゃあ、ありませんよ。顕微鏡写真ぐらいに粒子が細かくなると、山葵は摩れなくなってしまうからね。)


細かい粒粒はこのようになっていて、山葵の繊維質をこのキメの細かい粒子で切り裂くのだ。

でも、生山葵のとても良い所は、その刺激を、摩り加減で調整出来る事なのだ。

山葵の刺激が嫌いな人ならば、寧ろ、おろし金の両面の擦り面の細かな目の方で擦ると良い。
鮫肌の場合には、力を入れて、荒く擦ると、香りが立つのだが、辛味は出ない。

爽やかな山葵の香りだけで、刺激は少なくなるのだ。
繊維分を強く出せば出す程、刺激は少なくなる。
逆に、ピリ辛が好みなら、鮫肌に力を込めないで、二度摩り、三度摩りをして、ドロドロにしていくと、辛味は思いっ切り増していく。飛び上がる程に辛くなるのだよ。
寿司ネタの山葵の時には、よく思いっ切り辛いように擦る。
生山葵で、蕎麦を食べる時には、山葵の香りを味合うために、蕎麦に山葵を乗せて食べる。(勿論、刺身でも同じように食べるのだが・・)つゆダレや、醤油に生山葵を混ぜてしまうと、生の山葵の折角の風味がつゆダレや醤油の味で、飛んでしまうからだ。

私が未だ若かった頃には、上野や新宿の飲み屋街辺りの安い大衆寿司屋では、大根おろしをキツく絞って、粉わさびと練り合わせて、「本山葵だよ!」と、寿司屋のイタさんが、客に出していた。
その当時は、本わさびは普通には売られていなくて、とてもとても高級な料亭でしか手に入らないものであったのだよ。

イミテーションでも、寿司屋のカウンターで食べると、本物のワサビに感じてしまうから、不思議だよな??
だから、そのお店が、本わさび(生山葵)を使っている・・・と、本気にしている客も、結構、いたからね。

今だと、お店の信用に関わる大問題になったかも知れないけれど、当時は、そういった安、大衆寿司屋に、本山葵がある分けはないし、お店としても、それで、お客を騙して、稼いでいる分けではないから、飾り包丁の延長線上ぐらいの、「気は心・・」で良いのかな???

粉わさびというのが、当時の寿司屋の定番だったから、如何にも粉わさびというのを、さも本わさびのように見せるという事も、一手間のお客サービスになるのだよ。

今だと、普通に本山葵が手に入るし、本山葵で寿司を握っている寿司屋も多いのだから、それこそ、問題になってしまうかもしれないけれどね。

ここで一言、・・・粉わさびに混ぜ込む大根おろしは、鬼おろしで擦ったものでは、本山葵もどきにはならない。
それこそ、普通目の卸金で擦って、汁を絞ったものを使うのだよ。
ここも、適材適所なのだな。


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