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同じ話の繰り返しになりますが、originalの譜面は、simpleで技術的にも手堅い作曲です。
それくらいでなきゃ、(それぐらいの作曲技術がなきゃ~ぁ)あの素晴らしいⅢ楽章の「lndler」 は書けないよね!!
そりゃ、そうだよな!
という事で、出版社の楽譜に「Seitzのoriginalのorchestration」と、書いてあるのは、そりゃ、嘘だよね!!
後世の凡人の手に寄る下手なarrangeだよ!!
「それならば・・・!!」という事で、いつものように、私が改訂しても、作曲者の尊厳には影響はないので、さっそく、改訂作業に入ったネ!!
baroqueの曲(例えばPachelbelのchaconne)の時のように、音を変更したり、小節数を増やしたり、というような曲自体を弄る作業はしないのだが、このSeitzの場合には、明らかに音が間違えている、或いは誤った響きのするpassageは、仕方がないので加筆訂正して、このarrangeの基本となっている、Piano譜のpartをそのままにorchestraのpartに移すという、薄っぺらな2声部を重ねただけのarrangeは、ちゃんとSeitzの重厚な和音が響くように、基本の基調になっている2声部書法をやめて、常に和音の響きがするように、多声部書法に変更した。
次の譜例は3楽章の元々の出版されているoriginalの楽譜の譜例です。
4小節目の6拍目のFisの音が、soloviolinを含めてunisonになってしまうのは、作曲者の意図のようなので、敢えて手直しはしませんでした。
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一見すると、あたかも多声部書法で作曲されているように見えますが、よく見ると、「け」10の小節から、violin1stとviolaとcelloが全く同じ音を演奏しています。つまりこの声部はPiano譜と同じに1声部にしかなりません。
arrangeの原則としては、Classicの場合には、ある程度は厚く重厚にarrangeするのですが、popular系のarrangeでは、編曲のconceptとして、solisteのmelodie(melodieや旋律)を、orchestraが邪魔しないように、ワザと薄っぺらくarrangeするのが、主流であり、amateur向けの一般的なarrange法なのです。
また、分厚くarrangeをして行くという事は、arranger(編曲者)に、ある程度の技術が必要なのです。だから、技術の劣っているarrangerの場合には、元の曲が、どんな優れた作品であったとしても、arrangeの技術で、音楽そのものを薄っぺらにarrangeしてしまっては、つまらない曲になってしまいます。
要は、演奏をする人のためだけのarrangeか、その曲のためのarrangeかの違い・・という分けだな!!
上記の譜例の「け」10からの、2ndのviolinのpartに、violaのpartが途中から入って来て、あたかも複旋律のように見えるのですが、実際には、violaと2ndviolinは重なっていて、同じ音に過ぎません。
勿論、orchestraのバランスが崩れてしまいます。
一見すると多声部書法で書いてあるように見えますが、実はピアノ譜をそのままコピーした典型的な2声部書法なのです。
ピアノならば、pedalを踏む事によって、豊かな和音の響きがしてきますが、orchestraならば、書かれている音以外は残らないので、豊かな和音として響く事はないのですから。
だから、このpassageは、このarrangeでは、非常に情けない薄っぺらな響きがしてしまいます。
上記の譜面の、originalのPiano伴奏譜です。Pianoという楽器の場合には、pedalを使用するので、非常に和声的に美しく響きます。
しかし、それをorchestraの楽器に丸写ししてしまっては、余りにもkinderei(幼稚っぽい!)です。
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